2011年2月23日水曜日

アビラテロン(第3相臨床試験)が全生存期間を延長

去勢抵抗性の転移性前立腺癌において、アビラテロン(CYP17阻害薬)が、プレドニゾンとの併用で、前立腺特異抗原(PSA)値を半減させ、一部の患者では骨転移の改善も見られたことが、フェーズ2臨床試験の発表(2008/10)で、明らかになっていたが、このたび(2011/2)、国際無作為化二重盲検フェーズ3試験の結果が発表された。
(ASCO GU:米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのH.I.Scher氏)

ドセタキセルベースの化学療法がうまくいかなかった去勢抵抗性の前立腺癌において、アビラテロンとプレドニゾンの併用は、プラセボとプレドニゾンの併用に比べ、全生存期間を3.9ヵ月延長することが明らかとなった。

アビラテロンは経口で、不可逆的にCYP17を阻害し、精巣、副腎、前立腺におけるテストステロンの産生を押さえ、血清中のアンドロゲンを検出レベル以下に低下させる。

2011年2月21日月曜日

デガレリクスがファーストラインに

(ASCO GU、米Carolna Urologic Research CenterのN.D.Shore氏による発表。)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2011/201102/518568.html

リュープリンやゾラデックスに代えて、デガレリクスがファーストラインとなる日が近付いている。
GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニスト(阻害剤)であるデガレリクスは、
LH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アナログ(促進剤)であるリュープロレリンと比べ、
PSA無増悪生存率において優れており、ホルモン療法のファーストラインとなることを示唆する結果が明らかとなった。

試験では、前立腺がん患者(全ステージ)をデガレリクス群(409人)とリュープロレリン群(201人)に割り付けた。
デガレリクス群は最初の月は240mg、その後毎月80mg(207人)または160mg(202人)を投与された。
リュープロレリン群は月当たり7.5mgが投与された。リュープロレリン群の患者はビカルタミドの投与も受けられることとされた。

その結果、PSA無増悪生存率はデガレリクス240mg/80mg群が、リュープロレリン群よりも有意に高かった(p=0.05)。
PSAが20超の患者でPSAの悪化または死亡が25%の患者で起こる期間の中央値(TTP25%)は、
デガレリクス240mg/80mg群がリュープロレリン群よりも有意に長かった(p=0.01)。

また、リュープロレリンを途中からデガレリクスに変更した場合でも、PSA無増悪生存率は有意に改善した(p=0.003)。
これはPSAが20超の患者でも同様であった。

国内で実施されたフェーズ2試験の結果、デガレリクスは日本人の前立腺癌に対しても有効で、安全に投与できることが明らかとなっている。

間欠療法の生存期間は持続ホルモン療法と変わらない

(ASCO GU:カナダSunnybrook Health Science CentreのLaurence Klotz氏の発表):不完全な要約です。
放射線療法後にPSA再発のあった患者に対し間欠療法を行ったところ、全生存期間は、持続的ホルモン療法を行った患者に引けをとらないということが判った。
これまでは、間欠療法によるQOLの改善は示されていたが、生存期間に対する証明はされていなかった。
調査対象は、放射線療法(初期治療または全摘後の救済治療として)を受け1年以上経過した、PSA=3以上、テストステロン=5nmol/L以上の患者。
間欠療法群、持続療法群、それぞれ700人弱を比較した。
間欠療法では治療休止中にPSAが10を超えた場合は治療を再開、各サイクルで、抗アンドロゲン剤と、
LHRHアゴニストの投与を行った。
臨床的な進行を認めた場合や、治療中止後2カ月以内にPSAが10を超えた場合は持続療法に切り替えた。

間欠療法群が抗アンドロゲン剤の投与を受けた期間は3.5カ月(中央値)、LHRHの投与を受けた期間は15.4カ月(中央値)であった。
持続療法群ではそれぞれ2.9カ月と43.9カ月であった。

全生存期間は間欠療法群8.8カ年、持続療法群9.1年。
去勢抵抗性となるまでの時間は、間欠療法群9.8年、持続療法群10.0年。
7年間の死因別死亡数にも有意差はなかった。
有害事象では、ホットフラッシュが間欠療法群で有意に減少した。

これらの結果から、Klotz氏は「根治的放射線療法を施行後にPSA再発を認めた前立腺の多くの患者に対し、間欠療法群は標準治療であるべきと考える」と述べた。

国内で開発中の前立腺がん治療薬

2011/2 現在
 

2011年2月14日月曜日

2011年2月13日日曜日

NCCNガイドライン日本語版について

NCCNガイドライン日本語版の前立腺がん治療フローチャートですが、
いくつか疑問点があり、今日、先端医療振興財団に問合せメールを入れてみました。
一患者からのメールにお返事がいただけるかどうか・・・
質問は以下の5項目です。

1)超低リスクという概念が2010年より新たに採用されましたが、
PROS1では超低リスク群のステージがT1aとなっており、
PROS2では超低リスク群のステージがT1-T2aとなっています。
原文(V.2.2010)ではT1cとなっておりますが、いずれが正解でしょう?

2)PROS2~4において、「経過観察」という用語と
「モニタリング」という用語が混在していますが、
これらは同じものではありませんか?・・・それとも異なる内容でしょうか?

3)PROS4、5において、PSA値が「検出限界未満」という表現が見られますが、
良く用いられる高感度PSA測定ではかなり小さな値も検出可能ですが、
これはを高感度PSAを前提としているのでしょうか?

4)PROS5において、「その後の2回のPSA測定で、検出限界以上となる」
という訳文がありますが、意味がわかりかねます。
「PSAが検出可能となり、2連続上昇を示す」ということではないでしょうか?

5)PROS8において、「神経内分泌腫瘍ではない」という表現が、
「生検を考慮」からの分岐として、上下2段で用いられていますが、
下段は、「神経内分泌腫瘍」とし、
”ではない”を削除するのが正解ではないでしょうか?

2011年2月9日水曜日

NCCNガイドライン

NCCN前立腺がん治療ガイドライン「フローシート」の日本語版を作成しました。

医療者向けのガイドラインの全文(日本語版)は、すでに先端医療振興財団のHPにアップされていますが、
http://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/urological/japanese/prostate.pdf

この「フローシート」は、どちらかと言えば患者向けのガイドラインです。
医療者用ガイドラインをベースとしながらも、意味がわかりにくい所では、適宜患者向けのガイドライン(英語版)を参照し、できるだけ読みやすくしたつもりです。
ただ、ツリー構成で9ページありますから、辿るのが大変。
パラパラとページをめくったぐらいでは、ちょっと判りにくいかもしれません。
もし、興味がありましたら、ダウンロード(下の表紙をクリック)して、じっくり目を通してみてください。