2012年6月9日土曜日

アルファラディンは全生存期間を延長




詳細は「がんナビ」参照、以下要約。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2012/201206/525286.html&cnavi=1

骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対するラジウム-223(アルファラディン)投与は、有意に全生存期間(OS)を延長することが、フェーズ3臨床試験で確認された。

アルファラディンは、骨転移を有する癌患者の治療目的としたアルファ線放射性医薬品で、
カルシウムのように骨に取り込まれ、骨転移巣を攻撃する。

対象は複数の骨転移巣を有する(他臓器転移はない)去勢抵抗性前立腺がん患者、
計921例。平均年齢70歳。
アルファラディン投与群対プラセボ(非投与)群の比を2:1に振り分けた。

【結果】
・全生存期間中央値:プラセボ=11.3カ月、アルファラディン:14.9カ月
となり、全生存期間を有意に延長している。
・ドセタキセル投与歴があるグループや、ビスホスホネート製剤使用中のグループでも、
ほぼ同様の結果。
・ALPが低い(220未満)グループでは全生存期間に有意差は見られなかったが、
高い(220以上)グループでは、有意差(3.3カ月延長)が見られた。
・骨関連事象(SRE)の発症までの期間も、プラセボ=6.7カ月に対し、
アルファラディン12.2カ月と有意に延長していた。
・安全性と忍容性についても特に問題はなし。

米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)でRoyal Marsden HospitalのChris Parker氏が発表しましたが、同氏は先に、2011/9/23 EMCC(ストックホルム)でも、同様の内容を報告しており、さきにここでも紹介しました。
http://higepapa.blogspot.jp/2011/10/blog-post_07.html

局所進行がんにはホルモン療法単独より放射線療法併用が有利

ASCO(米国臨床腫瘍学会)2012の情報です。
要約は次の通り。

局所進行前立腺がん患者を中心としたグループで、ホルモン療法単独の場合と
ホルモン療法に放射線療法を併用した場合を比較した結果、
放射線療法を併用したほうが、全生存率が優れていた。

【対象】局所進行前立腺癌(T3またはT4、N0またはNX)が9割近くを占め、残りは、
限局性前立腺癌(T2かつPSA>40μg/L、
またはT2かつPSA>20μg/LかつGleasonスコア8-10)

【方法】ホルモン療法:LH-RHアゴニスト(or精巣摘除術)
放射線療法:骨盤に45Gy+前立腺に20-24Gy(or前立腺のみに65-69Gy)
両群の人数:それぞれ約600人。
患者背景:両群は同様で、T3/T4の患者が9割を占める。

【結果】最終解析(追跡期間中央値は8.0年)

ホルモン療法単独群  放射線療法を併用群
10年全生存率     49%         55%   

この研究で裏付けが取れたという意味はあるのでしょうが、予測通りといいますか、
ほとんど当然と思える内容なので、それほど新鮮味はないですね。

2012年6月8日金曜日

転移がんに対する間欠療法は、持続療法より有利とは言えない


ASCO(米国臨床腫瘍学会)2012の情報がいくつか入って来たので、順に紹介させてもらいます。
元の記事(↓)は煩雑なので、かなり要約してあります。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2012/201206/525245.html&cnavi=1

転移がん(ホルモン感受性あり)に対する標準治療は「持続ホルモン療法」とされているが、QOLに優れる「間欠ホルモン療法」で、はたして同等の効果が得られるのか。
その研究結果がASCO(米国臨床腫瘍学会)2012で発表された。

【試験内容】
転移がんの前立腺患者約3000人を登録。導入時ホルモン療法(MAB療法7カ月)で、PSAが4以下となったケースの中から、1500人を、持続ホルモン療法群と間欠ホルモン療法群に、ランダム(約半々)に振分けた。
間欠ホルモン療法では、PSA=20でホルモン療法開始、7カ月以降にPSAが正常化したら観察に移行する。

【患者背景】
振分け時の平均年齢70歳、PSA=0.2以下:35%、ホルモン療法歴なし:87%、骨痛あり:30%、GS=6以下:約25%、7:約50%、8-10:27%

【結果】
          持続ホルモン療法群  間欠ホルモン療法群
1)全生存中央値     5.8年         5.1年    ------- 全体
2)全生存中央値     4.4年         5.0年    ------- 広範転移型
3)全生存中央値     7.1年         5.2年    ------- 狭小転移型

【結論】
1):全体では、間欠ホルモン療法群の非劣性が示されず、
2):転移が広範な人では、間欠ホルモン療法の非劣性が示されたが、
3):転移が狭小な人では、持続ホルモン療法のほうが有意に優れていた。

全体的には、同等とは言えないという結果になったが、転移が広範な患者では間欠療法は持続療法と同等と言えるとのこと。
転移が広範な人と狭小な人でなぜ食い違う結果になったのか。
この原因が説明されていないので、評価に戸惑う記事と言える。