2012年6月8日金曜日
転移がんに対する間欠療法は、持続療法より有利とは言えない
ASCO(米国臨床腫瘍学会)2012の情報がいくつか入って来たので、順に紹介させてもらいます。
元の記事(↓)は煩雑なので、かなり要約してあります。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2012/201206/525245.html&cnavi=1
転移がん(ホルモン感受性あり)に対する標準治療は「持続ホルモン療法」とされているが、QOLに優れる「間欠ホルモン療法」で、はたして同等の効果が得られるのか。
その研究結果がASCO(米国臨床腫瘍学会)2012で発表された。
【試験内容】
転移がんの前立腺患者約3000人を登録。導入時ホルモン療法(MAB療法7カ月)で、PSAが4以下となったケースの中から、1500人を、持続ホルモン療法群と間欠ホルモン療法群に、ランダム(約半々)に振分けた。
間欠ホルモン療法では、PSA=20でホルモン療法開始、7カ月以降にPSAが正常化したら観察に移行する。
【患者背景】
振分け時の平均年齢70歳、PSA=0.2以下:35%、ホルモン療法歴なし:87%、骨痛あり:30%、GS=6以下:約25%、7:約50%、8-10:27%
【結果】
持続ホルモン療法群 間欠ホルモン療法群
1)全生存中央値 5.8年 5.1年 ------- 全体
2)全生存中央値 4.4年 5.0年 ------- 広範転移型
3)全生存中央値 7.1年 5.2年 ------- 狭小転移型
【結論】
1):全体では、間欠ホルモン療法群の非劣性が示されず、
2):転移が広範な人では、間欠ホルモン療法の非劣性が示されたが、
3):転移が狭小な人では、持続ホルモン療法のほうが有意に優れていた。
全体的には、同等とは言えないという結果になったが、転移が広範な患者では間欠療法は持続療法と同等と言えるとのこと。
転移が広範な人と狭小な人でなぜ食い違う結果になったのか。
この原因が説明されていないので、評価に戸惑う記事と言える。