2014年12月11日木曜日

カバジタキセルの重篤な副作用に注意!

2014年に新しく承認された抗がん剤カバジタキセル(ジェブタナ)で、5人の死亡例があったことが確認された。

9月の販売承認以降、計約200人に投与され、12月3日までに40人でこの症状など重い副作用が報告され、うち60~70代の男性5人が発熱性好中球減少症が原因と思われる敗血症などで死亡した。
内4人は1サイクル目(6~8日目)で死亡している。
好中球(*)の減少という副作用は、薬の添付文書にも記載されており、感染症患者らに投与しないように警告されているが、この薬を販売するサノフィは、ジェブタナを使う場合は、患者の感染症の確認はもちろん、初回投与後から血液検査を頻繁に実施し、特に発熱の有無などに注意を払うなど、医療機関に対しより一層の注意を呼びかけている。
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201412_1.pdf

注) 
好中球:白血球の一種で生体内に侵入してきた細菌や真菌類に対し遊走性を示し、
   炎症部に集合して、貪食、殺菌、分解を行うことで感染を防ぎ、生体を防御する。

         
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イレッサでは、副作用が少ない「夢の抗がん剤」などといううかれた前評判もあり、使用上の注意を甘く見て、抗がん剤を専門としない医師の処方によることも多かった結果、600人以上が亡くなるという惨事を引き起こしている。
これは大きな訴訟事件となったが、これ以来、我国の新薬承認が慎重になり、常に他国より数年遅れることが普通になってしまったのは負の側面と言える。一方、このたび早期にこのような警告が出されたことは、イレッサの良い教訓のひとつと解釈しても良いのではないか。
副作用マネージメントというのは、本来腫瘍内科医が得意とするところですが、これまでドセタキセルぐらいしか経験のない(ドセタキセルの投与方法は統一されておらず、それぞれの医療機関でやり方が異なっている)泌尿器科医が、抗がん剤の専門家と同様に、副作用に対し、適切かつ速やかな処置を行えるかどうかという問題点が、なお残っているように思われる。