2009年1月12日月曜日

骨転移の対処法

骨転移の対処法としては、次のような対応が一般的です。

1)まずは疼痛緩和を強く要望する
   痛みからの解放は、患者の権利でもあり、がん対策基本法でも重要項目として
   取り上げられている緩和医療の精神です。
   ただし、緩和ケア(WHO方式3段階除痛ラダー)に習熟した医師であることが必須。
   習熟した医師でもこれが効かない場合(骨痛の場合これもありえる)は(2)

2)神経ブロック あるいは オピオイド(医療用麻薬)のくも膜下投与。
   これで痛みは取れるはずですが、やはりその技量を持った医師が必要です。
   また、これだけでは骨転移そのものは改善しない為、以下の併用が望ましい。

3)ビスフォスフォネート剤(ゾメタ等)の静注。

4)骨転移が限局的であれば放射線の外部照射。

5)骨転移ヶ所が多ければ放射性同位元素(メタストロン)の静注。
   ただしこの処置ができる医療機関は限られています。

以上ですが、主治医とも良く相談なさってみてください。(私見)

2009年1月9日金曜日

東大、数学モデル用いた前立腺がんの治療法を開発

 東京大学生産技術研究所の合原一幸教授らは、数学モデルを用いた前立腺がんの治療法を開発した。前立腺がんの大きさを反映する、糖たんぱく質の一種「前立腺特異抗原(PSA)」に着目。微分方程式を応用し、PSAの数値から投薬の最適なタイミングを患者ごとに割り出す。有効な治療法の提供につながるため、患者のQOL(生活の質)の向上が期待できる。 前立腺がんに対し、国内の多くの病院では抗男性ホルモン剤などを投与するのが一般的。ただ投与をそのまま続けていくと効果が薄れ、がんが再発してしまうことがある。そのためPSAに応じて投与を中断・再開する治療法が提唱されているものの、患者により効果にバラつきがあるのが難点だった。(日刊工業新聞 2008年12月24日)

意味がもひとつ分かり難い記事ですが、推測するにどうも前立腺がんに詳しくない記者が書いたようです。

間歇療法を行う時は、PSAがどの数値まで下がればホルモン剤を休止し、どの数値まで上がれば再開するかが重要なポイントとなりますが、
「患者それぞれのPSAの値(初期値かどうかは不明)から、間歇療法におけるホルモン剤投与の休止と再開のタイミングを数式で判断可能とした」と言えばもっと明快になるでしょう。
その式の中でPSAの値を函数としてどのように扱っているのかをもっと知りたいですね。
素人には理解不能なほど高度な数式なんでしょうか?(^^;;;

2009年1月8日木曜日

術前の血漿HER2、EHFR値は予後に関連

ヒト上皮増殖因子受容体-2(HER2)および上皮増殖因子受容体(EGFR)発現は前立腺癌の進行に関連することが知られている。限局性前立腺癌に対し根治的前立腺摘出術ならびに両側リンパ節切除術を施行した患者227例の術前の血漿HER2およびEGFR値を市販のELISAにより測定した。術前血漿EGFRおよびHER2の中央値はそれぞれ31.4ng/mL(4分位範囲19.2ng/mL)および10.0ng/mL(2.7ng/mL)であった。精嚢浸潤のみられた患者ではHER2が上昇していた(p=0.033)。標準的な術前予測因子で補正した個別多変量解析では、EGFRの低値、HERの高値およびHER2/EGFR比の高値がPSA増悪と関連していた(それぞれp=0.003、p<0.001およびp<0.001)。標準的な術後予測因子で補正した個別多変量解析では、EGFRの低値およびHER2/EGFR比の高値がPSA増悪と関連していた(それぞれp=0.027およびp<0.001)。PSA増悪のみられた患者ではHER2が有意に高値(p=0.023)、EGFRが低値(p=0.04)であり、侵襲性癌の特徴(転移の発症、PSA倍加時間<10か月または局所救済放射線療法無効)を示した。
根治的前立腺摘出術前の血漿HER2およびEHFR値は術後の前立腺癌の進行に関連しており、長期の無再発生存期間および早期転移の予測ツールになりうると考えられた。
↓ 原文
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=AbstractPlus&list_uids=17875766

直腸脱気チューブ

前立腺がんの放射線治療で最もやりにくいのは直腸の位置が定まらないこと。
直腸脱気チューブは直腸に挿入して直腸の形状を固定し、放射線を前立腺のみに照射しやすくする器具。先端は滑らかな半球状で直腸に挿入しやすい。側面に細長い楕円(だえん)形の穴が複数空いており、挿入すると穴から直腸内を脱気できる。
アオイ(静岡県御殿場市)が製造し、ネジメーカーの東海部品工業(静岡県沼津市)が包装・検品を担当、医療機器専門商社の協和医科器械が販路を開拓する。(日刊工業新聞 2009年01月08日)

デガレリクス(Gn-RHアンタゴニスト)

米国食品医薬品局(FDA)2008年12月29日の発表によると、FDAは注射剤degarelix〔デガレリクス〕を前立腺がん治療薬として承認した。前立腺がん治療薬では数年ぶりの新薬となる。
Degarelixは進行性前立腺癌の治療を目的とする、Gn-RH(*)アンタゴニスト(受容体拮抗薬)。
リュープリンやゾラデックス等のLH-RHアゴニストがLH-RH受容体の働きを刺激する(ダウンレギュレーション作用で結局は抑制に働く)のに対し、
デガレリクスは同受容体と拮抗して直ちに抑制作用を発揮させるのが特徴。
この薬群は、前立腺癌が成長し続けるうえで重要な役割をもつテストステロンを抑制し前立腺癌の成長と進行を遅らせ、去勢と同等の状態を作り出す。
これまでのLH-RHアゴニスト(アナログ剤)というのは、要するにLH-RHの類似偽薬ですから、
LH-RHの自然な反応として、一時的せよテストステロンの上昇を招くことがあります(フレアーアップ現象)。
その過剰連続刺激に対する防御反応から、今度はレセプターが減少しテストステロンの産生が抑制されるわけですから、
初期投与時には、前もって抗男性ホルモンでテストステロンを下げておく等、それなりの注意が必要でしたが、アンタゴニストであるデガレリクス(degarelix)は直接テストステロンの産生を抑制するので、フレアーアップ現象はみられず、その必要はありません。
どちらの薬剤の投与でも、患者のほぼ全員に、精巣摘出術と同等レベルのテストステロン抑制効果があり、副作用に関しては類似しており特に優劣はありません。

* GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン):
FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)を下垂体前葉から分泌させるペプチドホルモンで、視床下部で合成、分泌される。

2008年12月12日金曜日

RI標識モノクローナル抗体の治療メカニズム

 放射線治療は、従来、放射性同位元素線源あるいは他の放射線照射装置を用いて体外から特定部位の患部に向けて放射線を照射するか、特定患部に放射性同位元素を含んだ小型器具を挿入留置しそこで照射するものであった。それに対し、ここで取り上げる放射線治療は、RIで標識された薬剤を体内に投与し、この薬剤が体内で存在する場所(病変部)をRIから放出される放射線で照射する、即ちミクロのレベルで内側から照射するものである。よって、標的病変への照射は、RIのキャリアーである薬剤の体内分布によって決定される。もし、化合物が病変部位に特異的に結合しそれ以外の正常組織に結合せず、かつ、放射線の飛程が非常に短かければ、高濃度に薬剤が存在する病変部位の放射線照射線量は、正常組織に比べて高くなる。実際、β線のエネルギーは、生体組織内では発生位置から飛程2~3mm以内ですべて吸収される。 β線放出核種を運搬するモノクローナル抗体は、血中投与されると血流にのって全身に分布し、自分自身で癌細胞などを探してそこに安定的に結合する。これにより、癌組織は集中的に放射線照射を受け、一方、癌組織以外の正常組織はあまり照射されない。これが、RI標識モノクローナル抗体によるRI治療の基本コンセプトであり、薬物動態に基づく選択的放射線照射が最大の特徴である。この治療法のメリットは、体外から狙った場所以外照射できない体外照射法と違って、全身を対象に治療でき、診断では発見できなかった小さな病変ももらさず照射し得ることにある。 1980年代より、血液腫瘍・黒色腫・肺癌・乳癌・大腸癌などに選択的に結合するモノクローナル抗体を、I-131・Y-90・Ho-166・Lu-177・Re-186などのβ線放出核種で標識し、それを用いてがん細胞移植マウスで治療実験が行われた。1990年代に入り、特に高い治療効果が期待されたNHL(非ホジキンリンパ腫)で臨床試験が行われた。

2008年11月14日金曜日

クモ膜下オピオイド投与

薬剤がモルヒネだけだった時代は疼痛コントロール率は6割程度だったが、近年はオピオイドのバリエーションが増え、WHO提唱の適切な処置を行えば、9割近くの患者は疼痛が取れるようになった。
残る1割に対しても、疼痛コントロール専門施設(ペインクリニックや疼痛麻酔科)では、良く施される神経ブロック以外にも「クモ膜下オピオイド投与」が用いられつつある。これは、オピオイドやNSAIDsが効かない難治性の痛みに対し、皮下埋め込み型ポートを使ってくも膜下にオピオイドを投与するもので、手術時の麻酔手法を疼痛緩和に用いたもの。 痛みさえ緩和されれば普通に生活できる患者でも、強い疼痛が除去できないためにオピオイドを増量しなければならず、傾眠がちになって、結果的にQOLを大きく下げてしまっているという現状があるが、クモ膜下オピオイド投与はこういったケースに劇的に効き、寝たきりだった患者さんが普通の生活ができるほどになることもある。

(その他、疼痛緩和の注意事項)
胸水の貯留による苦悶感は、胸水のコントロールが先。
長期臥床患者で気をつけなければならないのは、廃用性の痛み。
フェンタニルは便秘の出現率がほかのオピオイドより低いが、それでも排便コントロールに油断があってはならない。

2008年11月8日土曜日

耐性がんの原因は「RPN2」遺伝子の働き

中日新聞他 2006 /9
 抗がん剤が効かなくなる耐性をがん細胞に持たせる遺伝子のひとつを【国立がんセンター研究所】【大阪府立成人病センター】のグループなどが特定した。この遺伝子の働きを抑えることで抗がん剤の効き目を回復させられる可能性があるという。
 研究グループは「RPN2」と呼ばれる遺伝子が、がん細胞の内部から外部へポンプのように抗がん剤をくみ出すたんぱく質の働きを調整していることを発見。
RNAの断片を細胞に入れ遺伝子の働きを抑えるRNA干渉という手法を用い、マウスに移植した薬剤(ドセタキセル)耐性乳がんでRPN2が働かないようにしたところ、抗がん剤が劇的に効くようになり、直径5ミリあったがんが7日間で1ミリ以下に縮小した。

2008年10月3日金曜日

IMRT実施施設

厚生労働省先進医療認定施設(2008/3まで:現在は保険診療) 以下の19施設

北海道大、京都大、東京大、先端医療センター(兵庫)、近畿大(大阪)、東北大(宮城)、名古屋第二赤十字、滋賀医大、長崎県立島原、癌(がん)研有明(東京)、千葉県がんセンター、東京女子医大、国立がんセンター東(千葉)、聖隷浜松(静岡)、名古屋市立大、木沢記念(岐阜)、栃木県立がんセンター、愛知県がんセンター中央、旭川医大(北海道)

前立腺がんのホルモン療法

前立腺がんのホルモン療法

●LH-RHアゴニスト:ロイプロイド、ゴセレリン、ブセレリン
 精巣でテストステロンの分泌を抑制します。

●抗男性ホルモン剤:フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド(Nilandron)
 アンドロゲン(男性ホルモン)の作用を阻害します。

○ケトコナゾール(Nizoral:適応外薬)、アミノグルテチミド(未承認薬)
 副腎における男性ホルモンの分泌を抑制します。

●エストロゲン(女性ホルモン):エストラサイト、プロセキソール、ホンバン (製造・販売中止)
 精巣でテストステロンの分泌を抑制します。
 (米国では副作用を懸念しほとんど用いられていません。)

●精巣摘出術によって精巣摘出し、ホルモンの分泌量を低下させる。

○Gn-RH拮抗薬:アバレリクス(Plenaxis)
 重篤な副作用(アナフィラキシーショック)に注意。
 骨髄圧迫や尿閉など腫瘍増大による症状があり、他の内分泌療法薬が使用できず
 去勢を拒否した進行前立腺癌患者が対象。

●ドセタキセル(タキソテール)とエストラムスチン
 日本では2008年に承認されました。

・ドキソルビシン(アドリアマイシン:適応外薬)とケトコナゾール(適応外薬)の隔週投与

・abiraterone acetate(CB7630)
 タキソテールの失効のホルモン耐性(転移)がんにも有効。
 (フェーズⅡ臨床試験:2008/2)


前立腺がん未承認薬:アミノグルテチミド、スラミン、

前立腺がん適応外薬:ケトコナゾール、ドキソルビシン、プロゲスチン、
    シクロホスファミド、ビンブラスチン、エトポシド

2008年8月9日土曜日

Provenge® ―前立腺がん治療用樹状細胞ワクチン

Provenge®(一般名sipuleucel-T)は米Dendreon社(NASDAQ:DNDN)が開発した前立腺がん治療用ワクチンである。Dendreon社は1992年に設立されたバイオベンチャー。米国シアトルに本拠地を置き、免疫系を利用したがん治療薬の開発を行う。2000年、NASDAQに上場した。Provenge®は患者自身の樹状細胞と融合たんぱく質から成る。融合たんぱく質には抗原となるPAP(前立腺がんの多くで見られる前立腺酸性ホスファターゼ)と樹状細胞を刺激するGM-CSFが含まれる。患者の血液中から採取した樹状細胞の前駆細胞にPAP抗原と上記の融合たんぱく質を作用させ、活性化した樹状細胞を患者に戻す。樹状細胞に刺激されたT細胞が抗原を有する前立腺がんを攻撃すると考えられる。前立腺がん患者23を対象としたフェーズⅢ臨床試験(多施設におけるプラセボ24対照ランダム化二重盲検比較試験)では、Provenge®投与群はプラセボ投与群に比べ生存期間の中央値が4.5カ月延長し、死亡リスクが41%減少したもよう。同社は2006年11月にFDAに対して生物製剤承認(Biologics License Application:BLA)を申請した。FDAの諮問委員会からはProvenge®の一定の安全性と有効性を認められたものの、承認可能通知25と共に追加の臨床試験データの提出を求められた(2007年5月9日同社プレスリリース)。現在進行中のホルモン不応答性前立腺がん患者を対象としたフェーズⅢ試験では全生存期間(overall survival)を評価しており、2008年に中間結果が得られる見込みである。

2008年8月8日金曜日

前立腺がん検診:75歳以上は行わず(米国)

米国でPSAによる前立腺癌検診は75歳以上には行わないことを推奨。

米国Preventive Services Task Force(USPSTF)は、75歳以上の男性には、PSA(前立腺特異抗原)検査による前立腺癌検診を行わないように推奨する新しいガイドラインを発表した。同ガイドラインでは、75歳未満の男性においても、PSA検査による弊害が有効性に勝るという十分なデータがないとしている。

  このガイドラインは、Annals of Internal Medicine誌の8月5日号に掲載された。同ガイドラインによると、75歳以上の男性もしくは予想される余命が10年以下の場合には、前立腺癌検診で 発見された癌を治療することで得られる利益は少なく、検査陽性時に行う生検などで生じる不利益に勝らないとした。そのため、75歳以上の男性に対しては、 PSAを用いた前立腺癌検診は行わないよう推奨するとしている。

 また、75歳未満の場合でも、前立腺癌検診で得られる利益に関する十分な科学的データがなく、生検などで生じる不利益に勝るかどうかの判断を行うことができないとした。そのため、75歳未満についても、PSA検査による前立腺癌検診の有効性を判断していない。

 日本においても、PSA検査による前立腺癌検診を巡って、厚生労働省と泌尿器科学会が対立している。今回米国で発表された新しいガイドラインは、日本におけるPSA検査のあり方にも影響を及ぼしそうだ。

小板橋 律子=日経メディカル別冊

前立腺癌にabirateroneが顕著な結果

前立腺癌の新薬abirateroneの著しい結果が英国他で期待を集めている。
Abiraterone(アビラテロン)はテストステロンを阻害する薬剤で、最新の第2相試験では、前立腺癌のマーカーであるPSA値を半分に下げ、治療後増殖していた腫瘍をも縮小させた。

この発表は7月8日の欧州癌学会(ESMO)年 次総会で報告されたもので、Institute of Cancer ResearchおよびInstitute and The Royal Marsden NHS Foundation Trustによる進行前立腺癌対象の2つの第2相試験からの結果である。両試験でabirateroneは患者のPSA値を50%低下させた。

両試験では、テストステロンの生成を抑えるため精巣を摘出していた参加者全員がabiraterone1,000ミリ/日を受けた。
1つの試験は、化学療法を受けていない患者が対象とされた。34人のうち22人で2ヵ月後にPSA値が50%低下、一部の患者で腫瘍縮小が認められた。も う1つの試験では、標準であるドセタキセル化学療法にも進行した患者28人にabirateroneを投与した結果、10人で50%以上のPSA減少が 3ヶ月以上進んだ。大きな副作用は報告されていない。
男性ホルモンは主に精巣で生成されるが、副腎やほかの場所でも作られる。これらのホルモンが前立腺癌を促進するため、まず、精巣でのテストステロン生成を 阻害する治療が行われるが、精巣以外で作られるホルモンに対して有効でなかった。Abirateroneはその他の場所で男性ホルモンを作る際に必要な酵 素を標的にしている点でこれまでの治療と異なっている。

研究者らは、この結果はあらゆる治療が効かなくなった前立腺がん患者にとって大きな前進となるであろうこと、および、この薬剤はこれまで治療不可能とされ た患者にとってきわめて有望であると述べている。しかし、この結果は初期段階であり、極端な期待はしないようにとの勧告も出された。同薬は2011年ごろ 利用可能となる見込みとのこと。
原文記事Cancer Research UK

2008年6月20日金曜日

胆道がん

胆道がん(胆嚢を含む)は欧米では非常にまれだが日本ではさほど珍しくはない。治療法としては手術が中心で、日本の胆道がんの手術成績は世界でもトップクラスにある。5年生存率は進行度(ステージ)に比例する。1988~1997の国内4770人のデータ分析によるとステージ1:77%、ステージ2:60%、ステージ3:29%、ステージ4a:12%、ステージ4b:3%、近傍のリンパ節転移だとステージ2でしょうか?この時のデータ分析では術後補助化学療法(5FU、UFT、アドリアマイシン等)では予後の改善はみられなかった。ただし、ここ1~2年で胆道がんへ適応が拡大された新しい治療薬が登場し、ゲムシタビン(商品名「ジェムザール」)とS-1(経口5-FU系抗がん剤:商品名「TS-1」)、においては、予後の向上が期待されている。近年は放射線治療(IMRT等の外部照射、術中照射、腔内照射)も可能となっているが・・・放射線治療医でなければこれを否定する人も多い・・・リンパ節転移がある場合は根治的照射とはならないでしょう。
膵がんでは「放射線+化学療法」よりもゲムシタビン単独のほうが良い効果を上げている。ゲムシタビン(ジェムザール)との組み合わせで効果が期待できそうなのはカペシタピン(ゼローダ)と エルロチニブ(タルセバ)だけ。5Fu、ペメトレキセド、イリノテカン、シスプラチン、オキサリプラチン等は効果なし。ただし、胆道がんでのデータはない。

2008年6月4日水曜日

米国がん治療学会(ASCO)の報告-3

(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 鈴木啓悦Dr)
MAB療法が進行前立腺がん患者の生存率を改善することはすでに報告されている。LH-RHアゴニスト(ゴセレリンorリュープロレリン)と、非ステロイド系抗男性ホルモン剤(フルタミドorビカルタミド)を併用する「MAB療法」継続中にがんが再燃し、アンドロゲン非依存性がん症例を示した場合、抗男性ホルモン剤を中断しアンチアンドロゲン除去症候群を見極めたうえで(PSA値が50%以上低下することを確認)、抗男性ホルモン剤を別種のものと交換する・・・いわゆるアンチアンドロゲン交替療法を施行と、約60%は再びホルモンに対する感受性を示し、がん特異的生存期間が有意に延長された。別種の抗男性ホルモンを用いた2次MAB療法への反応が生存期間を延長する最も重要な因子の1つとなる。2次MAB療法に反応しなかった症例はホルモン非依存性のがんであり、ドセタキセルを含む化学療法等の新規治療法を早期に開始する必要がある。(病期C,Dの前立腺がん症例232例の内、1次MAB療法に対する反応はPSAが4以下に下がったのが175例(75%)残りは全てPSAが50%以下となった。)

2008年6月3日火曜日

米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表-2

表在性膀胱癌患者の再発予防には、膀胱内へのゲムシタビン投与の方がマイトマイシンを投与するよりも効果が高く、安全性は同等であることが明らかとなった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506654.html

スニチニブ(転移性腎細胞がんに適応)

マルチキナーゼ阻害剤スニチニブは、転移性腎細胞癌に対して、既に無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)でインターフェロン(IFN)αを上回ることが示されていたが、全生存期間(OS)でも上回ることが明らかとなった。これでスニチニブは転移性腎細胞癌のファーストライン薬としての地位が明確となった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506657.html
米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表

2008年4月25日金曜日

再燃前立腺がんのホルモン(化学)療法について

 【A】                 【B】
LH-RH単剤        MAB(LH-RH・抗男性ホルモン)
  ↓                   ↓
抗男性ホルモン      抗男性ホルモン中止
  ↓                  ↓
   → 別種抗男性ホルモン ← 
         ↓ 
     女性ホルモン剤 
         ↓ 
    ステロイドホルモン剤
         ↓
       抗がん剤

・LH-RH: リュープリン ◎
       ゾラデックス ◎
・抗男性ホルモン:非ステロイド系  カソデックス ◎
           非ステロイド系  オダイン   〇(肝機能障害がカソより大)
           ステロイド系   プロスタール 〇(効果が非ステロイドより弱) 
           間歇療法も有用(評価未定だが良の報告多し、少なくとも害はない)
・女性ホルモン系低容量抗がん剤:
        エストラサイト・・・血栓注意(肺塞栓・脳梗塞・脳血栓・心筋梗塞) △
        (効果がなくなれば一旦中止→再使用すれば再度効果復活)
・ステロイド剤 :デカドロン 〇
          プレドニン 〇
・抗がん剤   :タキソテール(プレドニゾン併用) 〇

・骨転移の発現と進行を抑える:ゾメタ 〇
・骨転移の予防照射:頸椎や胸椎などの主要支持部を予防的照射も効果あり
・骨転移の疼痛除去:緩和照射(放射線療法) 〇
        ”8gy x 1回”で有効かつ安全
        骨痛はオピオイドが効かない場合も多い
・多発転移:メタストロン注(Sr-89) 〇

2008年4月2日水曜日

骨転移の痛み緩和:1回照射(8Gy)が分割照射と同等

骨転移の痛み緩和目的の外部照射は、これまでわが国では
通常30Gy/3Gy・10回、24Gy/4Gy・6回、20Gy/4Gy・5回などの分割照射として行なわれて来たが、
欧米ではすでに、病的骨折や他の病的疼痛がない有痛性骨転移に対して、
複数の大規模比較試験の結果、分割照射と8Gy・回照射の同等性が証明されている。
このたび、日本でも多施設共同前向き試験JAROGO201の結果これが追認され、
日本臨床腫瘍学会(2008/3)で発表された。
8Gy・回照射による骨転移の痛み緩和が治療選択肢の1つとなると、
患者の肉体的・時間的負担の緩和、医療コストの節約に繋がることが期待される。

GVAX:前立腺がん免疫療法ワクチン

武田薬品工業は、GVAX免疫療法ワクチンについてCell Genesys社と独占開発販売契約締結を発表した。
同ワクチンは、FDA(米食品医薬品局)の優先審査対象に指定されており、
現在、進行性前立腺がん患者を対象とした2つのフェーズ3臨床試験を実施中。
1つは2009年後半に最終結果が得られる見通しで、他の1つは2009年前半に患者登録が終了する見込み。
GVAX前立腺がんワクチンは、2種類のヒト前立腺腫瘍細胞株を、
遺伝子操作によって人体内での増殖能力をなくした上で、患者の免疫システムを活性化させるもの。
武田はこの契約に一時金として5000万ドル、日米欧の開発・販売の進捗状況に合わせ最大2億7000万ドルを支払う。
さらに、フェーズ3臨床試験を含む今後の開発および上市後の販売に関する費用を全額負担し、
売上額に基づくロイヤルティも別に支払う。


GVAXワクチンの効果が良好というのは前立腺がん以外の肺がんやすい臓がん等でも耳にします。
適応はもっと増えるかもしれません。
我々が恩恵にあずかれるのは、まだだいぶ先の話しでしょうね。
参考までに、以下に『海外癌医療情報リファレンス』関連ブログ(2007-04-05)よりの抜粋記事を載せておきます。
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前立腺がんワクチンGvax、Provenge良好な結果
Gvax(Cell Genesis社)の前立腺癌における第3相試験の結果が予想以上に良好。
同じく有望な前立腺癌ワクチンProvengeの結果をも超える可能性。
2002年の第2相試験(米国)ではホルモン不応性となった前立腺癌対しその生存期間中央値は、
タキソテール18.9ヶ月に対し、Gvaxは22ヶ月・・・2007年の高用量試験(22人)では35ヶ月・・・であった。
Dendron社はProvengeが同様の病態の前立腺癌患者において、生存期間中央値を4ヵ月半改善したとしているが、
Gvaxはそれを上回る期待が持てる。
また、Provengeは個々の患者の細胞からカスタマイズするのに対し、
Gvaxは画一化されたワクチンであるため商業化しやすい利点もある。