デンマークCopenhagen大学のDavid D Orsted氏らは、初めて測定されたPSA値がそれ以降の前立腺癌罹患とこれによる死亡の予測に役立つかどうかを調べ、【ASCO GU 2012】で発表した。
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523517.html&cnavi=1)
デンマーク人の一般男性4383人を、PSA値に基づいて6群に分類し、前立腺癌罹患のハザード比と前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した。
PSA値 0.1-1.00 1.01-2.00、2.01-3.00、3.01-4.00、4.01-10.00、10超
罹患ハザード比 1.0 3.0 6.8 6.6 16 57
死亡ハザード比 1.0 2.2 5.1 4.2 7.0 14
次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めたところ、参照群(PSA=0.1-1.00)では、年齢が上昇しても増加はわずかだったが、PSA値が10ng/mL超群では、それぞれ非常に高い値になった。
年齢層 45歳未満、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上
PSA値0.1-1.00 0.6% 0.7% 1.1% 1.2% 1.3% 1.1% 1.3% 1.5%
PSA値10超 35%、 41%、 63%、 71%、 77%、 69%、 75%、 88%
米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、PSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に過剰治療により有害事象を増加させる可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表したが、今回の発表は過剰診断(治療)に関しては言及されていないものの、PSA検診の取扱いをめぐるガイドラインの論議に一石を投じるものと言えよう。
また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初回PSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。
・4超 引き続き詳細な検査
・2-4 2~4年間隔でPSA検査
・2以下 65歳未満:10年ごとにPSA検査、65歳以上:再検査不要