2012年2月13日月曜日

IMRTは合併症が少なく病勢コントロールも良好

いまさらという気がしないでもないのですが、IMRTに関してこういう報告がありました。(ASCO GU 2012)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523516.html&cnavi=1

前立腺がん患者に対する強度変調放射線照射(IMRT)は、旧来の原体照射法(CRT)と比較して、合併症の発生が少なく、追加治療を必要とする割合も低く、良好な病勢コントロールが可能と考えられる。(ASCO GU 2012)

前立腺がんに対する放射線治療は、IMRTや粒子線治療など、合併症を抑えつつ線量増加を図る方法が急速に導入され、米国におけるIMRTの使用は、2000年の0.15%から、2008年には95.9%まで急速に増加している。

■IMRTとCRTの比較:2002~2006年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象

IMRT(6666人) CRT(6310人)
腸疾患      13.4(%/年)  14.7(%/年) CRTで多かった
股関節骨折    0.8       1.0      CRTで多かった
勃起障害の発生  5.9       5.3      IMRTで多かった
尿路疾患                     有意差はなし
追加治療の割合  2.5       3.1      CRTで多かった(線量の差)

■粒子線治療とIMRTの比較:2002~2007年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象

粒子線(684人) IMRT(684人)
腸疾患の発生   17.8       12.2     粒子線で多かった
その他の合併症                  有意差なし
追加治療の割合                  有意差なし

今回の結果は、前立腺癌に対する現在の標準的な放射線療法として、IMRTの使用を裏付けるもの。
腸疾患の発生でもIMRTは粒子線をしのぐ結果を出しているが、コンピュータと連動した高度な照射法が、粒子線に対する物理特性の劣勢を十分カバーしえていると推察できる。
IMRTと粒子線治療の有効性を比較する無作為化臨床試験が今後さらに必要になると思われる。