2012年5月30日水曜日
前立腺がんの低酸素状態と再発予測について
(2012年3月31日 Clinical Cancer Research誌の電子版に掲載)
多くのがん種で、腫瘍内は低酸素状態にあると言われているが、前立腺がんではこれまで一度も決定的な証明はされたことがない。
米国癌学会で発表されたこのたびの研究によれば、前立腺がんにおける低酸素(酸素欠乏)状態は、中間リスクの患者における早期の生化学的再発や放射線治療後の局所再発と関係していることが判った。
放射線治療前に限局性前立腺がんの男性247人の低酸素状態を測定し、6.6年間(中央値)追跡調査したところ(5年間の生化学的な無再発率は78%)、腫瘍内の酸素測定値が10mmHg未満であれば、早期の生化学的再発を予測できることが判った。
酸素測定部位において大きな腫瘍のある患者142人を特異的に調査した時、低酸素状態は早期の生化学的再発とより強い関連があることを発見した。
さらに、追跡期間中に生検が行われた70人の患者において、低酸素状態は再発を予測・同定した唯一の要因であった。
「前立腺がんが、低酸素状態であるならば、悪化もしくは、悪化するまでの期間が短縮され、治療後数年のうちに、がんが再発する傾向にある」と、研究者(Milosevic医師)は述べた。
しかし、前立腺がんの低酸素状態を厳密に測定することは簡単ではなく、広く日常臨床に普及させるためには、より適切で簡便な方法を探る必要がある。
前立腺がんのこの特性の発見は、低酸素状態あるいは低酸素の徴候を標的とする新しい治療概念の探索、ひいては患者の転帰の改善につながる可能性がある。
詳しくは「海外癌医療情報リファレンス」参照のこと http://www.cancerit.jp/17349.html