2012年1月30日月曜日

TAK-700 第Ⅲ相治験開始

(2012/01/30)
武田薬品は1月27日、米子会社ミレニアム・ファーマシューティカルズを通じて、グロバールで臨床試験を進めている前立腺がん治療薬「TAK-700」について、国内での患者登録を終了し、フェーズ3試験を開始したと発表した。同社が重点疾患領域と位置づける「がん・泌尿器科疾患」で期待の開発品。国内では14~15年度、欧米では14年度に上市を見込む。 
TAK-700は同社が創製した経口かつ新規の作用機序(非ステロイド系の男性ホルモン合成酵素阻害剤)の前立腺がん治療薬。既存薬のリュープリンは、精巣での男性ホルモンの産生のみを抑制する「LH/RH誘導体」で注射剤であるのに対し、TAK-700は男性ホルモンの生成に重要な役割を持つ酵素(17、20-リアーゼ)を選択的に阻害し、精巣と副腎の両方に由来する男性ホルモンであるアンドロゲンの生成を抑制する経口剤で、リュープリンとは異なる特徴を持つ。
今回のフェーズ3試験が「転移性のホルモン抵抗性の前立腺がん」を対象にした臨床試験であるのに対し、「非転移性のホルモン抵抗性の前立腺がん」という別の適応症取得に向けた臨床試験も進行中。ホルモン抵抗性の前立腺患者を幅広く治療できる薬剤を目指す。

2012年1月27日金曜日

ロボット支援手術(他)が新たに保険認定へ

(2012年1月19日)
厚生労働省の先進医療専門家会議(座長は慶応大名誉教授の猿田亨男氏)は、第2項先進医療に指定されていた技術のうち、23技術について保険導入が妥当とし、2012年度の診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会に報告することを決定した。
(追記:この報告の内容は1月30日開催の中央社会保険医療協議会で了承され、
 2012年4月からの保険適用が決定しました)
保険導入が妥当とされたものは23技術(カッコ内は総合評価)。
そのうち、泌尿器関係と思われるもの5技術を抜粋しておきます。

・人工括約筋を用いた尿失禁手術(A)*
・内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術(A)
・根治的前立腺全摘除術における内視鏡下手術用ロボット支援(A)*
・腹腔鏡下膀胱内手術(B1)
・腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術(B1)

* 前立腺がんの手術による尿失禁の重症者は約2200人で、年間約360人の新規患者が出ているという。
治療には、骨盤底筋を鍛える体操や尿道へのコラーゲン注入、薬物療法の他、メッシュテープで尿道をつり上げる手術もあるが、いずれも重症者への効果は期待できず、人工括約筋が最も重症者に適した治療法となる。

* 前立腺がんの手術では、腹腔鏡手術や小切開手術はすでに保険適応となっているので、このたび注目されるのは、ロボット(ダ・ヴィンチ)支援手術。
2010年9月時点におけるダ・ヴィンチの保有台数は、アメリカが1160台(2010年6月時点)、ヨーロッパが276台、アジアが81台(日本13台、韓国30台、中国15台)です。
まだまだ国内の普及度は低いのですが、保険適応となったのは、今後さらなる普及が見込めそうという読みがあったのかも知れません。
アメリカでは前立腺がんでの前立腺全摘除術の85%がロボット支援手術となっています。
日本でもっとも実施例の多い東京医科大学病院でも、前立腺全摘除術の80%をロボット支援手術が占めるまでになっています。

* 一方、保険適応が見送られたのは、粒子線治療(陽子線や重粒子線)です。
治療実績というよりも、保険適応した場合の負担額の多さに腰が引けたということではないでしょうか。

参考までに、上記以外に保険導入が妥当とされた18技術は次の通りです。

・CTガイド下気管支鏡検査(A)
・抗悪性腫瘍剤感受性検査(HDRA法又はCD-DST法)(A)
・内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術(A)
・超音波骨折治療法(A)
・色素性乾皮症の遺伝子診断(A)
・腹腔鏡下直腸固定術(A)
・肝切除手術における画像支援ナビゲーション(A)
・先天性難聴の遺伝子診断(A)
・マイクロ波子宮内膜アブレーション(A)
・内視鏡的大腸粘膜下層剥離術(A)
・インプラント義歯(B1)
・筋強直性ジストロフィーの遺伝子診断(B1)
・腫瘍脊椎骨全摘術(B1)
・腹腔鏡補助下膵体尾部切除又は核出術(B1)
・エキシマレーザー冠動脈形成術(B1)
・三次元再構築画像による股関節疾患の診断及び治療(B1)
・隆起製皮膚線維肉腫の遺伝子検査(B1)
・先天性銅代謝異常症の遺伝子診断(B1)

2012年1月24日火曜日

デノスマブが固形癌骨転移による骨病変の適応で国内製造販売承認を取得

第一三共とアストラゼネカは、1月18日、抗RANKリガンド抗体であるデノスマブ(商品名ランマーク皮下注120mg)について、「多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変」の適応で国内製造販売承認を取得したと発表した。

用法・用量は、「通常、成人にはデノスマブ(遺伝子組換え)として120mgを4週間に1回、皮下投与する」。

デノスマブは破骨細胞の形成、機能、生存に必須の蛋白質として知られているRANKリガンドを標的とするモノクローナル抗体。第一三共が米Amgen社から導入し、2011年5月にはアストラゼネカと日本におけるコ・プロモーション契約を結んでいた。

デノスマブについては、3つの国際共同フェーズ3試験のデータをもとに申請を行っており、乳癌骨転移を対象とした試験、前立腺癌骨転移を対象とした試験、固形癌骨転移および多発性骨髄腫による骨病変を対象とした試験だ。乳癌骨転移を対象とした試験には日本人も参加した。