2009年4月27日月曜日

性機能温存にPDE阻害薬の術後早期投与が有効

全摘術での性機能温存は難しく、両側神経温存術でも性機能温存は半数強にとどまるが、
PDE阻害薬(PDE5i:バイアグラもこの1種)の術後早期投与が
補助療法として有効である可能性が示された。

両側神経温存手術を行った患者を対象にPDE5i内服群と非内服群に分け、
性機能を評価するEPICスコアを用いて比較追跡を行ったところ、
概ね次のような結果が得られた。

     術前  術後すぐ 術後3年
内服群   40   1桁   30
非内服群  30   1桁   10

PDE5iは前立腺全摘除後の性機能回復のリハビリテーションとして有効であり、
かつ術後早期からの投与がより効果的であると考えられる。
東北大では、手術直後からPDE5iの内服を開始、初めの1ヶ月は2回/週、あとは1回/週としている。

2009年4月10日金曜日

前立腺がん:照射線量はリスクによって調節

NCCNの第13回臨床ガイドライン(2008年)で、前立腺がん放射線治療ガイドラインの改訂版が発表された。

低リスク前立腺がんに対する線量は70~79Gyで十分であり,リンパ節には照射しなくてもよい。また,アンドロゲン抑制療法も必要ない。
前立腺の位置は膀胱や腸の充満状態により最大2cmは変化するため,75Gyを超える線量では,照射ごとに位置確認をする特別な作業が必要。

中~高リスク患者では,75~80Gyの照射が必要で,骨盤リンパ節への照射も同時に検討すべきで、
照射療法後4~6か月間のアジュバントアンドロゲン抑制療法の併用を考慮すべきである。

標的臓器の移動には照射ごとの移動と1回の照射中の移動があり,照射中の臓器移動のほうが制御困難である。
照射中の標的臓器の移動は,患者の呼吸や心臓の鼓動,腸運動,嚥下,くしゃみなどの動作により発生する。
高線量を照射する際には,直腸などの近傍組織に有害な影響を与えないため,標的の移動制御はより重要となる。

2009年4月7日火曜日

グリソンスコアと生命危険度

(PDQより抜粋要約)
PSA検査の普及前に限局性前立腺癌と診断され、その後、注意深い経過観察もしくはホルモン療法により、
20年に渡り追跡観察された患者767人の、集団ベースコホート研究調査の長期追跡結果(米国)は次のとおり。

グリソンスコア  前立腺癌特異的死亡率(1000人当たり)
  2~4        6人
   5         12人
   6         30人
   7         65人
  8~10       121人

高分化がん(GS2~4)に対する低分化がん(GS8~10)の死亡率(生命危険度)は約20倍。