2009年10月13日火曜日

プロベンジ(免疫療法)により転移性前立腺癌の生存率が改善

(NCI Cancer Bulletin 2009/5/5)
先週シカゴで行われた米国泌尿器科学会年次総会において、転移性前立腺癌の男性で、研究中の免疫療法を受けた場合はプラセボ投与に比べ全生存期間が約4カ月延長したことが報告された。これは、sipuleucel-T(Provenge〔プロベンジ〕)の第3相ランダム化二重盲検試験であるIMPACT試験の結果に基づいたものである。Sipuleucel-Tとは患者の血中から抗原提示細胞を分離し、腫瘍特異的な免疫反応を活性化させ、再度患者に注入する免疫療法である。試験に参加した500人以上の患者は無症候性あるいはわずかな症状のみの転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌であった。免疫療法群では、sipuleucel-Tが1カ月に3回に分けて投与され、生存期間の中央値はプラセボ群に比べて22.5%改善した(25.8カ月対21.7カ月)。Sipuleucel-Tのより早期の2つの試験でもそうであったように、無増悪生存期間、つまり腫瘍の増殖が認められない状態で生存できる期間については、統計的に有意な改善はみられなかった。試験の主導者のひとりである、南カリフォルニア大学のDr. David Penson氏によると、有害事象は軽度でわずかであるという。Sipuleucel-T投与の翌日に最も多く見られた事象としては、発熱、悪寒および頭痛があったが、これらの副作用は通常1~2日で解消した。全体として、免疫療法群では患者の約99%が3度の投与をすべて受けた。
生存期間に関するデータは、特に年齢、治療前PSA値、および骨転移の程度などによるサブグループ分析のすべてにおいて「極めて一貫していた」とPenson氏は説明している。「これは非常に心強い結果である」と彼は言う。

デュタステリド&フィナステリド:前立腺がん罹患予防に有効

(NCI Cancer Bulletin 2009/5/5)
4月27日シカゴで行われた米国泌尿器科学会年次総会において、dutasteride〔デュタステリド〕(Avodart〔アヴォダート〕)は、前立腺癌リスクが高い男性の罹患予防に役立つ可能性があると、大規模国際臨床試験の初期データで示されたことが報告された。
REDUCEと呼ばれるこの試験では、前立腺特異抗原(PSA)値が高い前立腺癌高リスク男性8,200人に対して、デュタステリド治療とプラセボを比較した。全員、試験参加前6カ月以内に受けた前立腺生検で陰性であった。2年後および4年後に行った追跡生検により、デュタステリド群ではプラセボ群に比べ、前立腺癌リスクが23%減少したことが明らかになった。
また、デュタステリド群では高悪性度の前立腺癌リスクがプラセボ群と同程度であることも明らかになった。「これは、われわれに大きな希望を与えてくれる知見である」と、主任研究者であるワシントン大学医学部のDr. Gerald Andriole氏は声明の中で述べている。本研究はデュタステリドの製造元であるグラクソスミスクライン社による助成を受けている。
本研究結果と類似したものに、以前行われたNCI主導による前立腺癌予防試験(Prostate Cancer Prevention Trial: PCPT)があるが、これはフィナステリド(Proscar)という同系統の薬剤を用いた前立腺癌予防試験である。PCPTによる初期の知見は、フィナステリドは前立腺癌リスクを減少させる一方、より悪性度の高い癌においては発生リスクを増加させる可能性を示唆するものであった。NCIの研究者らにより行われたその後の調査では、フィナステリドが高悪性度の癌の発生を助長することはなく、実際にはそのリスクを減少させることが示された。フィナステリドおよびデュタステリドは共に前立腺肥大症の治療薬として承認されている。