2008年6月20日金曜日

胆道がん

胆道がん(胆嚢を含む)は欧米では非常にまれだが日本ではさほど珍しくはない。治療法としては手術が中心で、日本の胆道がんの手術成績は世界でもトップクラスにある。5年生存率は進行度(ステージ)に比例する。1988~1997の国内4770人のデータ分析によるとステージ1:77%、ステージ2:60%、ステージ3:29%、ステージ4a:12%、ステージ4b:3%、近傍のリンパ節転移だとステージ2でしょうか?この時のデータ分析では術後補助化学療法(5FU、UFT、アドリアマイシン等)では予後の改善はみられなかった。ただし、ここ1~2年で胆道がんへ適応が拡大された新しい治療薬が登場し、ゲムシタビン(商品名「ジェムザール」)とS-1(経口5-FU系抗がん剤:商品名「TS-1」)、においては、予後の向上が期待されている。近年は放射線治療(IMRT等の外部照射、術中照射、腔内照射)も可能となっているが・・・放射線治療医でなければこれを否定する人も多い・・・リンパ節転移がある場合は根治的照射とはならないでしょう。
膵がんでは「放射線+化学療法」よりもゲムシタビン単独のほうが良い効果を上げている。ゲムシタビン(ジェムザール)との組み合わせで効果が期待できそうなのはカペシタピン(ゼローダ)と エルロチニブ(タルセバ)だけ。5Fu、ペメトレキセド、イリノテカン、シスプラチン、オキサリプラチン等は効果なし。ただし、胆道がんでのデータはない。

2008年6月4日水曜日

米国がん治療学会(ASCO)の報告-3

(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 鈴木啓悦Dr)
MAB療法が進行前立腺がん患者の生存率を改善することはすでに報告されている。LH-RHアゴニスト(ゴセレリンorリュープロレリン)と、非ステロイド系抗男性ホルモン剤(フルタミドorビカルタミド)を併用する「MAB療法」継続中にがんが再燃し、アンドロゲン非依存性がん症例を示した場合、抗男性ホルモン剤を中断しアンチアンドロゲン除去症候群を見極めたうえで(PSA値が50%以上低下することを確認)、抗男性ホルモン剤を別種のものと交換する・・・いわゆるアンチアンドロゲン交替療法を施行と、約60%は再びホルモンに対する感受性を示し、がん特異的生存期間が有意に延長された。別種の抗男性ホルモンを用いた2次MAB療法への反応が生存期間を延長する最も重要な因子の1つとなる。2次MAB療法に反応しなかった症例はホルモン非依存性のがんであり、ドセタキセルを含む化学療法等の新規治療法を早期に開始する必要がある。(病期C,Dの前立腺がん症例232例の内、1次MAB療法に対する反応はPSAが4以下に下がったのが175例(75%)残りは全てPSAが50%以下となった。)

2008年6月3日火曜日

米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表-2

表在性膀胱癌患者の再発予防には、膀胱内へのゲムシタビン投与の方がマイトマイシンを投与するよりも効果が高く、安全性は同等であることが明らかとなった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506654.html

スニチニブ(転移性腎細胞がんに適応)

マルチキナーゼ阻害剤スニチニブは、転移性腎細胞癌に対して、既に無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)でインターフェロン(IFN)αを上回ることが示されていたが、全生存期間(OS)でも上回ることが明らかとなった。これでスニチニブは転移性腎細胞癌のファーストライン薬としての地位が明確となった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506657.html
米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表