2015年11月4日水曜日

小線源療法(LDR)の長期治療成績

泌尿器腫瘍学会(東京医療センターの齊藤史郎先生)発表より

小線源療法を施した1036例の長期治療成績の解析結果

【生存率     全生存率   疾患特異的生存率
   10年      89.8%       99.5% 
     5年      96.7%       99.8% 

【非再発生存率  低リスク   中リスク   高リスク   全 体
   10年       98.2      87.8       78.6     90.7
     5年       98.9      94.7       86.9     95.4

小線源療法は、ロボット手術が保健収載された2012以降減少傾向が見られたが、2014年よりまた増加に転じている。
小線源療法は、最近は症例数の多い施設と少ない施設が明確に分れてきている。
中間リスクにおいては症状によってシード単独治療と外照射併用とに分かれるが、外照射併用でもホルモン療法は行なっていない。
トリモダリティ(小線源療法+外照射+ホルモン療法)を行うのは高リスクに限られ、その有用性は国内外で示されている。
こうした認識も徐々に広まりつつあるので、今後はさらにトリモダリティの支持が得られるようになるであろう。

リバビリンの併用でドセタキセルの効果が復活か

日本泌尿器科学会(2015) 慶応大学:小坂威雄先生

ホルモン療法の効かなくなったがん(CRPC)に対しては、ドセタキセルを用いることが多いが、それもやがて効果がなくなってきます。
そのような状態のがん細胞では、遺伝子の働きに変化が見られることが多く、その遺伝子変化を打ち消す薬を、3000種の既存薬の中から探したところ、9種類の候補が見つかった。
さらに、マウス実験で候補を絞ってみると、C型肝炎の抗ウイルス薬「リバビリン」が浮上してきた。
ドセタキセルの効かなくなった患者5人に、リバビリンを併用した臨床試験を行ったところ、
PSAの奏功が2人に見られ、うち1人は骨転移が消えた(画像診断による)という。
ドセタキセルにリバビリンを併用することで、抗がん剤が効きにくくなったがんを、再び効くがんに巻き戻す(Re-programing)効果があると思われる。

2015年10月1日木曜日

リュープリンに6ヶ月(24週間)製剤が誕生

ホルモン療法の代表的な薬の一つ、「リュープリン(LH-RHアゴニスト)」には、これまで4週と12週の持続製剤はありましたが、このたび新たに、24週間持続製剤である「リュープリン®PRO注射用キット22.5mg」が、厚労省の承認を取得した。
注射1本で半年間薬効が持続するわけです。病院通いの回数が減るのと併せ、費用もおそらく割安となるはずです。

 武田薬品のプレスリリースはこちらから。
 http://www.takeda.co.jp/news/2015/20150928_7142.html

2015年9月13日日曜日

毎年600万人が死亡(喫煙被害)

世界では、毎年600万人が喫煙により死亡している!
以下の研究は米国がん協会、ハーバード大学医学部、米国国立がん研究所(NCI)、フレッドハッチンソンがん研究センターの研究者らによるもので、科学雑誌JAMA Internal Medicine誌に掲載された。
http://www.nhs.uk/news/2015/06June/Pages/Smoking-causes-half-of-all-deaths-in-12-different-cancers.aspx

研究者らは、2011年米国国民調査を基に喫煙率を調査し、喫煙に起因するがん毎の死亡数の人口寄与割合(PAF:population attributable fraction)を求めた。
PAFを判り易く言えば、タバコが原因の死亡数の割合(喫煙しなかったら助かる人の割合)である。

2011年の、35歳以上の成人における12種のがんによる死亡は345,942人であった。
研究者らは、がんによる死亡全体のうち167,805人すなわち48.5%(95% 信頼区間(CI) 46.2−51.2%) が、喫煙による死亡と推測した。
がんのPAFは、男性では51.5%、女性では44.5%であった。

(PAF) ( がん種)
 80%  肺がん
 75%  喉頭がん
 50%  口腔がん 咽頭がん 食道がん 膀胱がん
 25%  子宮頚がん 肝臓がん
 20%  腎臓がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、血液がん

2015年7月8日水曜日

アビラテロン(ザイティガ)に「重大な副作用」

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の治療薬 アビラテロン(ザイティガ)で、因果関係が否定できない劇症肝炎・肝不全が5例(うち1例は死亡)が確認されたことを受け、厚労省医薬品食品局は2015年7月7日、医療用薬の添付文書の「重大な副作用」に「劇症肝炎、肝不全」を明記するよう日本製薬団体連合会に通知した。
アビラテロンの使用時に、血液検査で通常良く見られる副作用は、AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、低カリウム血症等で、これらの低減のためにもプレドニゾロン(ステロイド)との併用が原則とされている。
従来より添付文書に記載されていた重大な副作用は、心障害、肝機能障害、低カリウム血症、血小板減少、横紋筋融解症など。
肝機能障害については、患者選択基準でも、重度の肝機能障害者には「禁忌」、中程度の肝機能障害者には「慎重投与」とされてきたが、劇症肝炎・肝不全を「重大な副作用」に明記することにより、より一層の注意を喚起するもの。

2015年5月23日土曜日

オラパリブ(PARP阻害薬)

2015/2/15
BRCA1/2遺伝子の突然変異の起きている場合に、新しい経口抗がん剤「オラパリブ」が有効である可能性。
BRCA1およびBRCA2(BRCA1/2)という2つの遺伝子に突然変異が起きている場合は、乳がんや卵巣がんに対するリスクの増大が懸念され、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーが女房を予防切除した話はまだ耳新しいが、この変異は進行前立腺がんにも多く存在し、重要な役割を果たしている可能性があることが判明した。

末期前立腺がん患者150人のDNA解析を行ったところ、がん抑制遺伝子「BRCA1/2」の変異が15%で見られ、これと同意の機能を持つ別の遺伝子の変異も、さらに5%に見られた。
早期の前立腺がん患者に比べて、明らかに多いという。
オラパリブ(ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤)は昨年12月、BRCA変異陽性の進行卵巣がんの治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認されている。
BRCA1/2遺伝子の突然変異が関係するがんで再発した人を対象にオラパリブの有効性と安全性について評価したところ、前立腺がんでは8人中4人(5割だが総数が少ない!)に反応が見られた。
前立腺がんには、遺伝子変異においても、乳がん・卵巣がんと類似点があるといえるかも知れない。
(参考)
ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー誌 2015年1月20日
http://www.mededge.jp/a/canc/7858 
ウォールストリートジャーナル
http://jp.wsj.com/articles/SB10690484242962743932404581001033226916552

2015年3月12日木曜日

がん検診は「線虫」で

九大味覚・嗅覚センサ研究開発センターの広津崇亮助教らは、
①健康な人と②がん患者(胃がん、食道がん、前立腺がん、膵臓がんなど)
それぞれの尿に対し、線虫(C.エレガンス)の寄り付きを調査したところ、
①では23匹/24匹(95.8%)で近寄り、②では207匹/218匹(95.0%)で遠ざかった。
これは検査方法としてはかなり優秀であり(初期がんにも反応している)、
がんの種類や進行度の特定は現時点では難しいが、がんか否かの振り分けは可能となる。
さらに精度を高めつつ、臨床試験を経て10年以内に実用化させたいとか。
遺伝子操作で一部の嗅覚を欠落させた線虫は、これに反応しなかったので、
「がん探知犬」の嗅覚と同様、臭いに反応していることが確認された。
実用化されれば、数百円でがんの有無を調べることができるという。
米科学誌「Plos One」電子版 2015/3/11

線虫:土壌中に莫大な数が生息し、体長は約1mmで半透明。
におい分子と結合するたんぱく質が犬とほぼ同数あるという。




2015年3月10日火曜日

「これでいいのか、日本のがん医療」

シカゴ大学内科・外科教授 中村祐輔氏 特別講演
於:東京大学医科学研究所 (2015/2/18)

A:画期的な新薬が生まれにくい土壌
 近年、政府によって「ドラッグ・ラグ解消策」が行われてきたが、
 恩恵を受けたのは海外の製薬企業。 
 国内での創薬を促し、もっと国際競争力を付ける施策に力を入れるべき。

B:「標準治療」という名の「マニュアル療法」
 病気を見て患者を診ない「マニュアル医療」が横行しているが、
 エビデンスの重視とは「標準治療」の枠にとらわれることではない。
 患者によって望む治療や、終末の迎え方が異なるのは当然であり、
 臨機応変により添う姿勢が必要だが、実際はガイドラインに書かれていない段階になると、
 自分の責任は終わったと勘違いする医者が多い。

C:癌免疫療法急進展への対応
 癌免疫療法では、体内で癌細胞を守ろうとする免疫系統を抗体で無力化することが肝要。
 抗体薬による臨床効果は癌細胞での遺伝子変異が多いほど強まり、
 変異の数と治療効果が有意に比例する。
 しかし、効果を適切に見極めるには時間を要する。

D:致命的に遅れた「医療のオーダーメイド化」
 遺伝子変異別の診断や投薬を行うゲノム医療には薬剤の効率利用や副作用回避、
 無駄な医療を省くなど大きなインパクトがある。
 仏国では既に、遺伝子検査を受けなければ特定の治療薬が使えないという施策が採られ、
 米国や韓国では10万円台で遺伝子を解析する機器の導入が相次いでいる。
 日本でも早急にゲノム医療の重要性を意識した国策を進めねばならないが、
 現段階では欧米に比べてはるかに遅れている。

2015年2月18日水曜日

MR/US標的生検(ターゲット・バイオプシー)

標的生検に関する米国国立癌研究所(NCI)の研究者らの発表です。
(JAMA誌:2015年1月28日)


経直腸的超音波のみに頼る従来の生検と、MRIと経直腸的超音波を組合せた標的生検(MR/US標的生検)を比較したところ、MR/US標的生検は、高リスクがんを30%多く検出すると共に、低リスクがんの検出を17%減少させた。(対象者:1,003人)
つまり、従来の生検で見落とされた高リスク前立腺がん患者をより多く特定できると共に、低リスクがんの検出を減らせるので、過剰診断、過剰治療の恐れも軽減できる可能性が示されたと言えよう。

わが国でも、学会等でいくつかの施設から「標的生検(ターゲット・バイオプシー)」に関する発表が行われており、いずれもかなりの精度と良好な結果が示されているようです。

標的生検には、MRIではなくCTを用いるものもあります。
これらをシステムとして医療者に販売している会社も出てきました。
どの医療施設がこれを行っているかを知りたいところですが、全体像はまだ把握できておりません。

以下、海外癌医療情報リファレンスの記事を参照願います。

2015年1月31日土曜日

監視療法

(前立腺がんガイドブックの監視療法の項目を修正しました・・・以下、本文)

低リスクがんの場合、10年生存率は治療を行っても行わなくてもほとんど変わらないと言われています。
つまり、特別な処置をしなくても健康なまま天寿を全うできる可能性が高いので、病態の進行や変化をすばやくキャッチして臨機応変に対処できるだけの体制さえ整っておれば、積極的な治療をせずフォロー(監視)だけで様子を見るというのも賢いやり方かも知れません。
ただ、「がん」という言葉を始めて聞いた人の多くは、体内にがん細胞があるというだけで冷静さを失い、人生最大の危機に巡り合わせたように思って治療を急ぐ傾向があるのですが、積極的な治療にはかならず副作用がついて廻ります。
低リスクの場合には、がんの進行によって命が脅かされるリスクと、積極的治療によって副作用を被るリスクを比較すれば、後者のリスクのほうが明らかに高いと思われる場合も多いので、適切なフォローすなわち”監視療法”という「治療法」が選択肢の一つとして積極的に評価されるようになってきました。

米国ではPSA検診の普及が進み、実に8~9割の人がそれを受けていますが、近年、PSA検査でごく初期の小さながんが見つかる確率が増えてきて、それが過剰検診や過剰治療につながる恐れが顕著になってきて、医療費の抑制も併せて考えると、この際PSAを検査を止めてしまうのが近道であるという考え方がでてきました。
しかし、PSA検診の要否については、検診率が2割にも届かない我国と同列に論じて良いものかどうかははなはだ疑問の残るところですが、少なくとも共通問題として捉えておくべきことは、「低リスク」のがんでは、必ずしもがんを死滅させる積極的治療が第一選択とはかぎらないということで、不要な治療を受けることによって失うものもある。時によってはそれが一生抱えて生きなければならない重大な副作用であるかも知れないわけです。
 ”PSA監視療法”というのは、定期的にPSAの動向を見守ると共に、必要な時には針生検(MRIがこれに代わる時代がまもなく来ると思いますが)も行い、病態の進行を監視するもので、低リスクなら、まずはこの可能性を探ってみるべきでしょう。

NCCNガイドラインでは「超低リスク」という概念を設け、これに相当するなら年齢に関係なく、監視療法が第一選択であると明言しています。
しかし、日本の医療機関では、まだこの監視療法をあまり患者には詳しく説明しない所も多くあり、患者が監視療法という選択肢をしらないまま、なんらかの処置を望んだ場合(患者に余程の予備知識がない限り、そう思う方が自然です)安易に手術や放射線治療を勧めたり、内分泌療法を行うケースも多いと思われます。
「初期のがんですから、切ったらすぐ治ります。」などと言いながら手術を勧められ、性機能不全や排尿障害の後遺症に悩むというのは、過剰治療の最たるものですが、一生続く場合もある日常の不幸にじっと堪え、それでも恨み辛みを言うわけでもなく、命が助かった代償なので仕方がないと思って諦めて、手術をしてくれた医者に感謝するという、なんとも複雑で哀しい現実があるわけです。
「がんより怖いがん医療」(近藤誠)というのは、中身はともかく、おそらくこのようなことを言いたいのでしょうね。

積極的な治療には、多かれ少なかれ二次的な障害(副作用)を被る危険性があるわけですが、目の前に「がん」という言葉を付きつけられれば、たいていの患者は動揺し、治療後長く続くかもしれない副作用の重大性になかなか気付かないケースが多いわけです。
期待余命の長さが10年以内(概ね75歳以上)なら「中リスク」でもこの監視療法が成立します。
期待余命が5年以内と目される高齢患者はもちろんのこと、他に重い病を抱えているような人は、もっと積極的に監視療法を選択肢に加えても良いのではないでしょうか。
恐れるべきがんであれば、早期にしかるべき治療を受ける必要があるのはもちろんですが、ほとんど恐れる必要のないがんを恐れるあまり、自分自身に一生取り返しのつかない傷をつけてしまうこともあるわけです。

「動かざること山の如し」・・・ ” 何もしないという勇気 ” を持つということも、時には必要なことかも知れません。

2015年1月27日火曜日

双極性アンドロゲン療法(bipolar androgen therapy)

 「Science Translational Medicine」2015年1月7日号

前立腺がん細胞にとってアンドロゲン(男性ホルモン)というのはいわば「餌」。
その「餌」を奪って前立腺がん細胞を弱らせるというのがホルモン量の定番だが、それを続けているとやがてCRPC(去勢抵抗性前立腺がん)となり、アンドロゲンがほとんどなくても生きていけるしぶといがん細胞に変質する。

しかし、CRPC患者に常識では禁避ともいえるテストステロン(アンドロゲンの95%は精巣で作られるテストステロン)を与えるという大胆な臨床試験を行ったグループが居た。
ワシントン大学のMichael Schweizer氏、ジョンズ・ホプキンス大学のSamuel Denmeade氏らのグループで、去勢抵抗性に陥った前立腺がん細胞に高いテストステロンを浴びせかけるというショック療法で一発逆転を狙うもの。
小規模な臨床試験ではあるが、実に驚くべき発想であり、コロンブスの卵を彷彿させる。

その結果、テストステロン値を急激に上下させると、ホルモン療法に対する前立腺がんの反応性を取り戻せる可能性が示唆された。
さらに、被験者の男性にとっては、テストステロン値の回復により、ホルモン療法によるさまざまな副作用が軽減し、あきらめていたセックスが可能になったという喜びの声もあったとか。
テストステロンの過剰供給と枯渇を繰り返すこの治療法は
双極性アンドロゲン療法と名付けられた。
ワシントン大のMichael Schweizer氏は、CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)患者の新たな治療法につながる可能性があると述べている。

被験者は、痛みなどの症状の伴わないCRPC(去勢抵抗性前立腺がん)患者16人で平均4年間標準的なホルモン療法を受けていた。
化学的(薬物)去勢を行いながら4週ごとにテストステロンを投与するという双極性アンドロゲン療法を実施した。テストステロン値は標準範囲を超えて上昇、その後徐々に低下し化学的去勢レベルまで下がることを繰りかえす。
その結果、7人は寛解、4人は腫瘍が縮小、1人は腫瘍が消失したという。
全体的に見れば、約半数の患者にPSAの低下とがんの縮小が認められた。

前立腺がん細胞には、元々アンドロゲンに対する依存性が高いものと低いものが混在しているが、通常のホルモン療法(アンドロゲン枯渇)を継続すると、徐々に依存性が高いがん細胞死滅し、依存性が低いものが増えて行く。
CRPCというのは、時間の経過と共に大部分の前立腺がん細胞が依存性が低いものに置き換わった状態であり、低レベルのテストステロン環境に馴染んだ前立腺がん細胞にとっては、その環境がぬるま湯のように思えていたのに、テストステロンの急激な増加という熱湯(冷水?)を浴びせられると、驚いて死滅することがあるらしい。
また、僅かに生き残っていたテストステロン環境を必要とする前立腺がん細胞は、それで一旦喜びほっとするものの、テストステロンがまた下がってくると、環境の変化についていけなくなり死滅することもあるらしい?!
興味ある報告だが「敵」もさるもの、そのような環境変化のパターンを学習するのか、結局7ヶ月後ぐらいにPSAは再び上昇を始め、新たな腫瘍の増殖が確認されたという。

双極性アンドロゲン療法は初期治療には適さず、長期的な効果もまだ判っていない。
テストステロン値の変動によりがんが増殖して死期が早まる可能性を指摘する専門医も多いので、現時点ではかなり危険な挑戦であることは間違いなさそうだ。
より大規模な試験で、この治療法の効果を確認し、安全に適応できる患者を識別する必要もあり、臨床への応用までには、まだしばらく時間が必要だろう。

2015年1月18日日曜日

NCI臨床試験(前立腺がん):海外癌医療情報リファランスより

海外癌医療情報リファランス(http://www.cancerit.jp/)の「NCI」関連ページより、
前立腺がんに関する臨床試験の結果報告(≠日本)を抜粋させていただきました。

タイトルは内容が判りやすいよう、適宜変更を加えています。

2014年7月15日
エンザルタミドは転移性前立腺癌患者の生存を改善する
http://www.cancerit.jp/28699.html

2013年9月22日
フィナステリドは前立腺癌リスクを低下させる
http://www.cancerit.jp/23756.html

2013年8月26日
ラジウム223は進行性前立腺癌患者の生存期間を延長する
http://www.cancerit.jp/23365.html

2011年8月19日
早期前立腺癌には全摘除術か経過観察か
http://www.cancerit.jp/7207.html

2011年8月8日
限局がんでは放射線単独より短期ホルモン療法併用のほうが生存期間を延長する
http://www.cancerit.jp/6415.html

2011年4月21日
進行前立腺癌に対しatrasentan(第3相臨床試験)の有益性は示されず
http://www.cancerit.jp/2498.html

2011年4月13日
進行性前立腺癌においてデノスマブの骨関連事象抑制効果はゾレドロン酸に優る
http://www.cancerit.jp/2481.html

2011年4月13日
PSA上昇速度によって前立腺癌の検出精度は向上しない
http://www.cancerit.jp/2472.html

2010年7月8日
局所進行前立腺癌ではホルモン療法単独より放射線併用のほうが生存期間を延長する
http://www.cancerit.jp/9509.html

2010年4月12日
デュタステリドは前立腺癌リスクを低下させる
http://www.cancerit.jp/9156.html

2010年3月15日
放射線療法は高線量照射のほうが前立腺癌の「生化学的再発」が減少する
http://www.cancerit.jp/9138.html

2010年2月25日
3種類の薬剤に前立腺癌のホットフラッシュ抑制効果を確認
http://www.cancerit.jp/9131.html

2009年10月28日
デノスマブは前立腺癌治療中も強骨度を維持
http://www.cancerit.jp/9102.html


2015年1月3日土曜日

既存肝炎治療薬にがん転移抑制効果?!

こんな情報が流れてます。(米科学誌 Journal of clinical investigation 2015年1月2日)
中山敬一・九州大教授(分子医科学)らのチームによると、既存の肝炎治療薬(プロパゲルマニウム)にがんの転移を抑制する効果があるらしい。
マウス実験の段階なのでまだ実用化については何とも言えないが、副作用が少ない薬なので期待が持てるという。

がんが転移すると、細胞のまわりに「がんニッチ」と呼ばれる正常な細胞の集団ができ、免疫機能の攻撃からがん細胞を守るバリヤーの働きをして?、がん細胞の成長を助けることが判ってきた。
乳がん患者の血液分析から、特定の酵素(Fbxw7)が少ない人はがんを再発しやすいことを確認。この酵素を減じるよう遺伝子操作をしたマウスにがん細胞を移植したところ、がん細胞の周りにある線維芽細胞からCCL2というたんぱく質を分泌し、これが白血球の一種「単球」を呼び寄せることによりがんニッチを形成、がんの転移を早めていることを、世界で初めて突き止めた。
CCL2というたんぱく質は、B型肝炎ウイルスが炎症を起こす仕組みにも関係しているので、慢性肝炎治療薬として使われているプロパゲルマニウムをマウスに投与してみたところ、乳がんの転移はほぼゼロに、悪性の皮膚がんの転移は3分の1以下に抑えられたという。
中山教授は「承認されるまでに早くて5年。使用はそれまで待ってほしい。
がんの摘出手術に前後して服用を始めれば、再発や転移を防げるはずだ」と話している。

すぐに飛びつきたい気分の方も居られるとは思いますが、
ここは落ち着いて今後の進展を見守るべきではないでしょうか。