2008年4月25日金曜日

再燃前立腺がんのホルモン(化学)療法について

 【A】                 【B】
LH-RH単剤        MAB(LH-RH・抗男性ホルモン)
  ↓                   ↓
抗男性ホルモン      抗男性ホルモン中止
  ↓                  ↓
   → 別種抗男性ホルモン ← 
         ↓ 
     女性ホルモン剤 
         ↓ 
    ステロイドホルモン剤
         ↓
       抗がん剤

・LH-RH: リュープリン ◎
       ゾラデックス ◎
・抗男性ホルモン:非ステロイド系  カソデックス ◎
           非ステロイド系  オダイン   〇(肝機能障害がカソより大)
           ステロイド系   プロスタール 〇(効果が非ステロイドより弱) 
           間歇療法も有用(評価未定だが良の報告多し、少なくとも害はない)
・女性ホルモン系低容量抗がん剤:
        エストラサイト・・・血栓注意(肺塞栓・脳梗塞・脳血栓・心筋梗塞) △
        (効果がなくなれば一旦中止→再使用すれば再度効果復活)
・ステロイド剤 :デカドロン 〇
          プレドニン 〇
・抗がん剤   :タキソテール(プレドニゾン併用) 〇

・骨転移の発現と進行を抑える:ゾメタ 〇
・骨転移の予防照射:頸椎や胸椎などの主要支持部を予防的照射も効果あり
・骨転移の疼痛除去:緩和照射(放射線療法) 〇
        ”8gy x 1回”で有効かつ安全
        骨痛はオピオイドが効かない場合も多い
・多発転移:メタストロン注(Sr-89) 〇

2008年4月2日水曜日

骨転移の痛み緩和:1回照射(8Gy)が分割照射と同等

骨転移の痛み緩和目的の外部照射は、これまでわが国では
通常30Gy/3Gy・10回、24Gy/4Gy・6回、20Gy/4Gy・5回などの分割照射として行なわれて来たが、
欧米ではすでに、病的骨折や他の病的疼痛がない有痛性骨転移に対して、
複数の大規模比較試験の結果、分割照射と8Gy・回照射の同等性が証明されている。
このたび、日本でも多施設共同前向き試験JAROGO201の結果これが追認され、
日本臨床腫瘍学会(2008/3)で発表された。
8Gy・回照射による骨転移の痛み緩和が治療選択肢の1つとなると、
患者の肉体的・時間的負担の緩和、医療コストの節約に繋がることが期待される。

GVAX:前立腺がん免疫療法ワクチン

武田薬品工業は、GVAX免疫療法ワクチンについてCell Genesys社と独占開発販売契約締結を発表した。
同ワクチンは、FDA(米食品医薬品局)の優先審査対象に指定されており、
現在、進行性前立腺がん患者を対象とした2つのフェーズ3臨床試験を実施中。
1つは2009年後半に最終結果が得られる見通しで、他の1つは2009年前半に患者登録が終了する見込み。
GVAX前立腺がんワクチンは、2種類のヒト前立腺腫瘍細胞株を、
遺伝子操作によって人体内での増殖能力をなくした上で、患者の免疫システムを活性化させるもの。
武田はこの契約に一時金として5000万ドル、日米欧の開発・販売の進捗状況に合わせ最大2億7000万ドルを支払う。
さらに、フェーズ3臨床試験を含む今後の開発および上市後の販売に関する費用を全額負担し、
売上額に基づくロイヤルティも別に支払う。


GVAXワクチンの効果が良好というのは前立腺がん以外の肺がんやすい臓がん等でも耳にします。
適応はもっと増えるかもしれません。
我々が恩恵にあずかれるのは、まだだいぶ先の話しでしょうね。
参考までに、以下に『海外癌医療情報リファレンス』関連ブログ(2007-04-05)よりの抜粋記事を載せておきます。
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前立腺がんワクチンGvax、Provenge良好な結果
Gvax(Cell Genesis社)の前立腺癌における第3相試験の結果が予想以上に良好。
同じく有望な前立腺癌ワクチンProvengeの結果をも超える可能性。
2002年の第2相試験(米国)ではホルモン不応性となった前立腺癌対しその生存期間中央値は、
タキソテール18.9ヶ月に対し、Gvaxは22ヶ月・・・2007年の高用量試験(22人)では35ヶ月・・・であった。
Dendron社はProvengeが同様の病態の前立腺癌患者において、生存期間中央値を4ヵ月半改善したとしているが、
Gvaxはそれを上回る期待が持てる。
また、Provengeは個々の患者の細胞からカスタマイズするのに対し、
Gvaxは画一化されたワクチンであるため商業化しやすい利点もある。