先に、アビラテロンに関するこれまでの情報をまとめてみますと・・・
テストステロンの合成酵素「CYP17A1」を選択的に阻害し、精巣や副腎でのテストステロンの
産生を抑える薬剤で、”タキソテールベースの化学療法が無効となった”患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験で、全生存期間の3.9ヵ月延長が認められ、2011年4月、FDA(米国食品医薬品局)はプレドニゾンとの併用でこれを承認、以降世界39カ国で同様の承認が得られています。
日本はあいかわらず出遅れていますね・・・39カ国と言えば、先進国ではほとんどの国が承認済み?
このたびの新情報は次の通り。
”化学療法歴のない”転移性の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)を対象に、アビラテロンとプレドニゾンを併用する第Ⅲ相臨床試験の中間評価を行ったところ、主要評価項目である無増悪生存期間と全生存期間において臨床利益と忍容性を確認したため、評価を行った独立データモニタリング委員会は、全会一致で臨床試験の盲検化を解除する勧告を出し、プラセボ(偽薬)群にもアビラテロンの投与を開始するよう求めた。
臨床試験に参加しても、プラシボに振り分けられれば、患者は何の恩恵も受けられないわけですが、これによって参加者全員がアビラテロンの恩恵を受けられるわけですから、良い判断ですよね。
他の臨床試験でもこういう判断の前例があったのでしょうか?
臨機応変に、こういう融通をきかした判断が出てくるのはありがたいことですね。
日本のお役所仕事ではたぶんこうはいかないでしょう。アメリカならでは?
●●● ひげの父さん:MEMO ●●●
2012年3月7日水曜日
軽度~中等度の排尿障害
前立腺がんの全摘術を受けた場合、短期的にはほとんどの人がなんらかの排尿障害を経験します。なかにはいつまでたってもひどい尿漏れが継続する、高度の排尿障害も見受けますが、それについては 別項(こちら) をご覧ください。
軽度の排尿障害では、骨盤底筋を鍛える運動が基本となりますが、 外尿道括約筋を締める薬(スピロペントetc)や、「切迫型」の尿漏れに対しては 過活動膀胱を抑える薬(抗コリン薬)を併用します。 適宜、尿パッドや失禁パンツなどのケアアイテムを用い、治療・訓練を続けるうちに数週間から数カ月で治るものがほとんどです。
薬が効きにくい軽度~中度の排尿障害では、装着型収尿器やペニクランプを用いたり、コラーゲン注入術や スリング術を行うこともあります。
● 尿パッド・失禁パンツ
ズレを予防できる男性専用パッドはほとんどないので、男女共用型を失禁量に合わせて使用する。(写真は男性用パッドの一例)
失禁パンツ(図-1)は、前側に吸収体が入っていて、30mL以内の少量の漏れに対応できる。
● 装着型収尿器
使い捨てタイプ(図-2)は、直接ペニスに付けるので、長時間付け続けるとスキントラブルを起こ す可能性がある。
再利用タイプ(図-3)は、パンツ内に固定された受尿器に逆流防止弁の付いたチューブ部分が接続されている。 スキントラブルはこのほうが少ない。
受尿器は、排泄姿勢により、一人ひとりに適したタイプが選べる。
● ペニクランプ
ペニスを挟み、漏れを防ぐ用具(図-4)です。簡便に使用でき、漏れその ものを抑えることができますが、少なくとも2~3時間ごとにペニスを解放する必要がある。 長時間、使用しているとうっ血を起こす可能性があるので、自己管理ができることが使用条件の一つ。
切迫性尿失禁で膀胱の収縮が激しい患者には適しない。
● コラーゲン注入術 (医療保険適用あり)
内視鏡を使い尿道粘膜の下にコラーゲンを注射する方法。
比較的簡単で合併症も少ないが、確実性と持続性に欠けるのが欠点。
● (尿道)スリング術 (医療保険適用あり)
外尿道括約筋の機能がある程度残っており、 腹圧時に尿道が後方にぐらつくタイプの尿失禁で、失禁量が200-300g/日 程度までの軽~中度の排尿障害に対しては、 尿道を恥骨側に人工テープで吊り上げる「スリング術」によりしばしば症状の改善がみられる。
女性の尿失禁にはこの「ぐらぐら型」が多いので、スリング術が広く用い
られているが、 全摘術後の尿失禁に対しては確実性は乏しい。ただし、
自然排尿ができるのが利点。
軽度の排尿障害では、骨盤底筋を鍛える運動が基本となりますが、 外尿道括約筋を締める薬(スピロペントetc)や、「切迫型」の尿漏れに対しては 過活動膀胱を抑える薬(抗コリン薬)を併用します。 適宜、尿パッドや失禁パンツなどのケアアイテムを用い、治療・訓練を続けるうちに数週間から数カ月で治るものがほとんどです。
薬が効きにくい軽度~中度の排尿障害では、装着型収尿器やペニクランプを用いたり、コラーゲン注入術や スリング術を行うこともあります。
● 尿パッド・失禁パンツ
ズレを予防できる男性専用パッドはほとんどないので、男女共用型を失禁量に合わせて使用する。(写真は男性用パッドの一例)
失禁パンツ(図-1)は、前側に吸収体が入っていて、30mL以内の少量の漏れに対応できる。
● 装着型収尿器
使い捨てタイプ(図-2)は、直接ペニスに付けるので、長時間付け続けるとスキントラブルを起こ す可能性がある。
再利用タイプ(図-3)は、パンツ内に固定された受尿器に逆流防止弁の付いたチューブ部分が接続されている。 スキントラブルはこのほうが少ない。
受尿器は、排泄姿勢により、一人ひとりに適したタイプが選べる。
● ペニクランプ
ペニスを挟み、漏れを防ぐ用具(図-4)です。簡便に使用でき、漏れその ものを抑えることができますが、少なくとも2~3時間ごとにペニスを解放する必要がある。 長時間、使用しているとうっ血を起こす可能性があるので、自己管理ができることが使用条件の一つ。
切迫性尿失禁で膀胱の収縮が激しい患者には適しない。
● コラーゲン注入術 (医療保険適用あり)
内視鏡を使い尿道粘膜の下にコラーゲンを注射する方法。
比較的簡単で合併症も少ないが、確実性と持続性に欠けるのが欠点。
● (尿道)スリング術 (医療保険適用あり)
外尿道括約筋の機能がある程度残っており、 腹圧時に尿道が後方にぐらつくタイプの尿失禁で、失禁量が200-300g/日 程度までの軽~中度の排尿障害に対しては、 尿道を恥骨側に人工テープで吊り上げる「スリング術」によりしばしば症状の改善がみられる。
女性の尿失禁にはこの「ぐらぐら型」が多いので、スリング術が広く用い
られているが、 全摘術後の尿失禁に対しては確実性は乏しい。ただし、
自然排尿ができるのが利点。
2012年3月6日火曜日
人工尿道括約筋 (高度排尿障害)


前立腺がんの場合、全摘術後の排尿障害は、つきものと言っても過言ではありませんが、これらのほとんどは一時的なものか、もしくは障害が残っても、なんとか我慢の限度内に留まっています。
しかしながら、全摘術を受ける患者のうち、約1~3%の患者は、外尿道括約筋を損傷し、(手術ミスもあれば、浸潤状態にもよる)多量かつ頻繁な尿漏れに悩まされ(おむつ代が年間数十万!)、ひきこもりから鬱になる人もめずらしくありません。
こうした患者は年間数百人と見られていますが、男性尿失禁治療に習熟している医師、医療機関は極めて少なく、治療法を知る機会もほとんどないまま”見放されてきた”のが実情でした。
こうした高度尿失禁(400g/日が目安)に対する唯一効果的な治療法は「人工尿道括約筋」の埋込み手術です。
半数近くの患者でほぼ完全に尿失禁がなくなり、ほぼ9割が生活に支障がない程度まで改善するという治療法で、米国ではすでに30年以上の実績を有し、「教科書にも載っている男性重症尿失禁治療のゴールドスタンダード」とのことですが、わが国では、先進医療としてまだ限られた医療機関で行われているにすぎません。
160~170万という高額医療費も、人工尿道括約筋の普及発展の妨げとなっていましたが、2012年1月30日に開かれた中央社会保険医療協議会総会でこの4月より保険適応となることが決定しました。
重度の尿失禁に悩む人には大きな朗報であり、人工尿道括約筋の普及にも、これではずみがつくのではないでしょうか。
人工尿道括約筋(右図)の埋め込み術は全身麻酔下で行われ、手術に要する時間は1~2時間。入院期間も1週間弱。
外見上装着の有無はまずわかりません。また、感染や機器の初期不良さえなければ、長期間の継続利用が可能で、国内のデータでも、 10年間継続利用している患者の割合が7割を超えています。
激しい運動も可能で、少量の尿漏れや尿滴下がある以外、尿失禁は認められなくなります。
人工尿道括約筋を開発した米国のAMS社によると、これまでこの治療を受けた患者は、全世界で13万人に上るということです。
<人工尿道括約筋のしくみ> (右図参照)
【図-1】 通常はカフに循環液(生理食塩水)が満たされ尿道を
締め付けているので、膀胱内に尿が溜まる。
【図-2】 陰嚢内のコントロールポンプを押すと、カフ内の循環
液がバルーンに移動し、カフが緩んで排尿可能となる。
【図-3】 排尿終了後は、数分で自動的にバルーンの循環液が
カフに移動し、また尿道を締め付ける。
<人工尿道括約筋手術」で先進医療指定を受けている病院>(平成22年12月現在)
・原三信病院(福岡市) ・東北大学病院 ・北海道大学病院 ・北里大学病院
・東京医科歯科大学病院 ・国立がん研究センター中央病院 ・島根大学病院
<人工尿道括約筋の緊急時トラブルに対応できる病院>(全国で20箇所)
・旭川医科大学病院 ・北海道大学病院 ・東北大学病院 ・八戸市立市民病院 ・秋田大学病院
・東京医科歯科大学 ・国立がん研究センター中央病院 ・東京女子医科大東医療センター
・帝京大学病院 ・東京大学病院 ・北里大学病院 ・日本大学板橋病院 ・山梨大学病院
・西野クリニック(各務原市) ・近畿大学病院 ・関西医科大学枚方病院 ・島根大学病院
・香川大学病院 ・原三信病院 ・琉球大学病院
2012年3月1日木曜日
デガレりクス
ここのところ評価の高いデガレりクスですが、
このたび(2012年2月28日)、スイスFerring Pharmaceuticals社より新しい発表がなされました。
「ゴセレリン+ビカルタミド」とデガレリクスの比較で、腫瘍縮小(前立腺体積の変化率)効果はほぼ同じだが、(12週の時点で、デガレリクスが-36.0%、「ゴセレリン+ビカルタミド」が-35.3%)
患者のQOLに大きな影響を与える下部尿路症状の軽減では、ゴセレリンの方が優れていたというものです。
(注:ゴセレリンやリュープロレリンというのはリュープリンやゾラデックスと同じLH-RHアナログ剤。)
有害事象発生率は両群間で差はなかった。
ついでにデガレりクスについてこれまでの情報を整理しておきます。
・デガレりクスは、Gn-RHアンタゴニスト(拮抗剤)である。
・2008年12月にFDA(米国食品医薬品局)が承認。
・リュープリン等のLH-RHアゴニストは、投与直後にテストステロンの上昇を招き
(フレアーアップ現象)、抗テストステロン剤(カソデックス等)の併用が
欠かせないのに対し、アンタゴニストは直接テストステロンの産生を抑制するので、
抗テストステロン剤の併用を必要としない。
・デガレりクスと「リュープロリド(±ビカルタミド)」を比較したところ、
デガレりクスはリュープロリドに比べ速やかにテストステロン値を低下させ、
PSAの上昇または死亡のリスクを34%低減させ、
PSA無増悪生存率でも有意に優れていた。
デガレリクスに関して入ってくる情報は、良いことずくめ・・・多少割り引いても期待できる薬であることに間違いはなさそうです。
このたび(2012年2月28日)、スイスFerring Pharmaceuticals社より新しい発表がなされました。
「ゴセレリン+ビカルタミド」とデガレリクスの比較で、腫瘍縮小(前立腺体積の変化率)効果はほぼ同じだが、(12週の時点で、デガレリクスが-36.0%、「ゴセレリン+ビカルタミド」が-35.3%)
患者のQOLに大きな影響を与える下部尿路症状の軽減では、ゴセレリンの方が優れていたというものです。
(注:ゴセレリンやリュープロレリンというのはリュープリンやゾラデックスと同じLH-RHアナログ剤。)
有害事象発生率は両群間で差はなかった。
ついでにデガレりクスについてこれまでの情報を整理しておきます。
・デガレりクスは、Gn-RHアンタゴニスト(拮抗剤)である。
・2008年12月にFDA(米国食品医薬品局)が承認。
・リュープリン等のLH-RHアゴニストは、投与直後にテストステロンの上昇を招き
(フレアーアップ現象)、抗テストステロン剤(カソデックス等)の併用が
欠かせないのに対し、アンタゴニストは直接テストステロンの産生を抑制するので、
抗テストステロン剤の併用を必要としない。
・デガレりクスと「リュープロリド(±ビカルタミド)」を比較したところ、
デガレりクスはリュープロリドに比べ速やかにテストステロン値を低下させ、
PSAの上昇または死亡のリスクを34%低減させ、
PSA無増悪生存率でも有意に優れていた。
デガレリクスに関して入ってくる情報は、良いことずくめ・・・多少割り引いても期待できる薬であることに間違いはなさそうです。
MDV3100
MDV3100が、フェーズ3試験の中間解析で進行前立腺癌患者の全生存期間(OS)を4.8カ月延長したことが、2月24日~26日、パリで開催された欧州泌尿器学会(EAU)総会では発表された。
(2012年国際泌尿器癌会議(ASCO-GU)でも、同じ内容が発表されており、すでに紹介済みですが、こんどはもう少し詳しく紹介しておきます)
MDV3100が主要エンドポイントである全生存期間(OS)とすべての二次エンドポイントを達成したため、独立データモニタリング委員会の判断により試験は早期終了となった。(いわばコールド勝ち)
MDV3100はアンドロゲン受容体シグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖を抑制し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する経口剤。
ドセタキセルベースの化学療法を受けた進行前立腺癌患者1199人が
MDV3100(160mg/日)1日1錠服用群とプラセボ群に2:1で割り付けられた。
【臨床試験結果】
(主要エンドポイント) MDV3100群 プラセボ群
全生存期間(OS)中央値 18.4カ月 13.6カ月
(二次エンドポイント) MDV3100群 プラセボ群
無増悪生存期間中央値 8.3カ月 2.9カ月
PSA値が上昇するまでの期間中央値 8.3カ月 3.0カ月
PSA値が50%以上低下 54.0%低下 1.5%低下
PSA値が90%以上低下 24.8% 0.9%
最も一般的な副作用は疲労、下痢、ホットフラッシュで同薬の認容性はきわめて良好。
有害事象データには大差がなく、重篤な副作用も特になし。
デガレリクスはまだホルモン療法が有効な患者向けの薬として期待されるわけですが、
MDV3100は転移を有しホルモン療法に耐性が生じた患者向けの薬(経口剤)として期待されています。
(2012年国際泌尿器癌会議(ASCO-GU)でも、同じ内容が発表されており、すでに紹介済みですが、こんどはもう少し詳しく紹介しておきます)
MDV3100が主要エンドポイントである全生存期間(OS)とすべての二次エンドポイントを達成したため、独立データモニタリング委員会の判断により試験は早期終了となった。(いわばコールド勝ち)
MDV3100はアンドロゲン受容体シグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖を抑制し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する経口剤。
ドセタキセルベースの化学療法を受けた進行前立腺癌患者1199人が
MDV3100(160mg/日)1日1錠服用群とプラセボ群に2:1で割り付けられた。
【臨床試験結果】
(主要エンドポイント) MDV3100群 プラセボ群
全生存期間(OS)中央値 18.4カ月 13.6カ月
(二次エンドポイント) MDV3100群 プラセボ群
無増悪生存期間中央値 8.3カ月 2.9カ月
PSA値が上昇するまでの期間中央値 8.3カ月 3.0カ月
PSA値が50%以上低下 54.0%低下 1.5%低下
PSA値が90%以上低下 24.8% 0.9%
最も一般的な副作用は疲労、下痢、ホットフラッシュで同薬の認容性はきわめて良好。
有害事象データには大差がなく、重篤な副作用も特になし。
デガレリクスはまだホルモン療法が有効な患者向けの薬として期待されるわけですが、
MDV3100は転移を有しホルモン療法に耐性が生じた患者向けの薬(経口剤)として期待されています。
2012年2月13日月曜日
IMRTは合併症が少なく病勢コントロールも良好
いまさらという気がしないでもないのですが、IMRTに関してこういう報告がありました。(ASCO GU 2012)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523516.html&cnavi=1
前立腺がん患者に対する強度変調放射線照射(IMRT)は、旧来の原体照射法(CRT)と比較して、合併症の発生が少なく、追加治療を必要とする割合も低く、良好な病勢コントロールが可能と考えられる。(ASCO GU 2012)
前立腺がんに対する放射線治療は、IMRTや粒子線治療など、合併症を抑えつつ線量増加を図る方法が急速に導入され、米国におけるIMRTの使用は、2000年の0.15%から、2008年には95.9%まで急速に増加している。
■IMRTとCRTの比較:2002~2006年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
IMRT(6666人) CRT(6310人)
腸疾患 13.4(%/年) 14.7(%/年) CRTで多かった
股関節骨折 0.8 1.0 CRTで多かった
勃起障害の発生 5.9 5.3 IMRTで多かった
尿路疾患 有意差はなし
追加治療の割合 2.5 3.1 CRTで多かった(線量の差)
■粒子線治療とIMRTの比較:2002~2007年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
粒子線(684人) IMRT(684人)
腸疾患の発生 17.8 12.2 粒子線で多かった
その他の合併症 有意差なし
追加治療の割合 有意差なし
今回の結果は、前立腺癌に対する現在の標準的な放射線療法として、IMRTの使用を裏付けるもの。
腸疾患の発生でもIMRTは粒子線をしのぐ結果を出しているが、コンピュータと連動した高度な照射法が、粒子線に対する物理特性の劣勢を十分カバーしえていると推察できる。
IMRTと粒子線治療の有効性を比較する無作為化臨床試験が今後さらに必要になると思われる。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523516.html&cnavi=1
前立腺がん患者に対する強度変調放射線照射(IMRT)は、旧来の原体照射法(CRT)と比較して、合併症の発生が少なく、追加治療を必要とする割合も低く、良好な病勢コントロールが可能と考えられる。(ASCO GU 2012)
前立腺がんに対する放射線治療は、IMRTや粒子線治療など、合併症を抑えつつ線量増加を図る方法が急速に導入され、米国におけるIMRTの使用は、2000年の0.15%から、2008年には95.9%まで急速に増加している。
■IMRTとCRTの比較:2002~2006年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
IMRT(6666人) CRT(6310人)
腸疾患 13.4(%/年) 14.7(%/年) CRTで多かった
股関節骨折 0.8 1.0 CRTで多かった
勃起障害の発生 5.9 5.3 IMRTで多かった
尿路疾患 有意差はなし
追加治療の割合 2.5 3.1 CRTで多かった(線量の差)
■粒子線治療とIMRTの比較:2002~2007年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
粒子線(684人) IMRT(684人)
腸疾患の発生 17.8 12.2 粒子線で多かった
その他の合併症 有意差なし
追加治療の割合 有意差なし
今回の結果は、前立腺癌に対する現在の標準的な放射線療法として、IMRTの使用を裏付けるもの。
腸疾患の発生でもIMRTは粒子線をしのぐ結果を出しているが、コンピュータと連動した高度な照射法が、粒子線に対する物理特性の劣勢を十分カバーしえていると推察できる。
IMRTと粒子線治療の有効性を比較する無作為化臨床試験が今後さらに必要になると思われる。
初回のPSA値は長期的な前立腺癌リスクを予測
デンマークCopenhagen大学のDavid D Orsted氏らは、初めて測定されたPSA値がそれ以降の前立腺癌罹患とこれによる死亡の予測に役立つかどうかを調べ、【ASCO GU 2012】で発表した。
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523517.html&cnavi=1)
デンマーク人の一般男性4383人を、PSA値に基づいて6群に分類し、前立腺癌罹患のハザード比と前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した。
PSA値 0.1-1.00 1.01-2.00、2.01-3.00、3.01-4.00、4.01-10.00、10超
罹患ハザード比 1.0 3.0 6.8 6.6 16 57
死亡ハザード比 1.0 2.2 5.1 4.2 7.0 14
次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めたところ、参照群(PSA=0.1-1.00)では、年齢が上昇しても増加はわずかだったが、PSA値が10ng/mL超群では、それぞれ非常に高い値になった。
年齢層 45歳未満、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上
PSA値0.1-1.00 0.6% 0.7% 1.1% 1.2% 1.3% 1.1% 1.3% 1.5%
PSA値10超 35%、 41%、 63%、 71%、 77%、 69%、 75%、 88%
米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、PSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に過剰治療により有害事象を増加させる可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表したが、今回の発表は過剰診断(治療)に関しては言及されていないものの、PSA検診の取扱いをめぐるガイドラインの論議に一石を投じるものと言えよう。
また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初回PSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。
・4超 引き続き詳細な検査
・2-4 2~4年間隔でPSA検査
・2以下 65歳未満:10年ごとにPSA検査、65歳以上:再検査不要
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523517.html&cnavi=1)
デンマーク人の一般男性4383人を、PSA値に基づいて6群に分類し、前立腺癌罹患のハザード比と前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した。
PSA値 0.1-1.00 1.01-2.00、2.01-3.00、3.01-4.00、4.01-10.00、10超
罹患ハザード比 1.0 3.0 6.8 6.6 16 57
死亡ハザード比 1.0 2.2 5.1 4.2 7.0 14
次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めたところ、参照群(PSA=0.1-1.00)では、年齢が上昇しても増加はわずかだったが、PSA値が10ng/mL超群では、それぞれ非常に高い値になった。
年齢層 45歳未満、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上
PSA値0.1-1.00 0.6% 0.7% 1.1% 1.2% 1.3% 1.1% 1.3% 1.5%
PSA値10超 35%、 41%、 63%、 71%、 77%、 69%、 75%、 88%
米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、PSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に過剰治療により有害事象を増加させる可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表したが、今回の発表は過剰診断(治療)に関しては言及されていないものの、PSA検診の取扱いをめぐるガイドラインの論議に一石を投じるものと言えよう。
また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初回PSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。
・4超 引き続き詳細な検査
・2-4 2~4年間隔でPSA検査
・2以下 65歳未満:10年ごとにPSA検査、65歳以上:再検査不要
2012年2月12日日曜日
MDV3100
2012年国際泌尿器癌会議(ASCO-GU) が2/4に終了しましたが、その中で最も注目されたのが、MDV3100(経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬)の国際第3相臨床試験の結果。
ドセタキセルを含む化学療法にも関わらず、進行してしまった去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の全生存期間(OS)の中央値が18.4カ月となり、プラシボ(偽薬)群より4.8カ月延長するという好結果が得られました。
MDV3100がドセタキセル後の選択肢となる可能性が高まったわけです。
日本ではアステラス製薬がフェーズ1/2試験を進めており、早期の申請、承認が期待されます。
これにより、近い将来の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療手順として、
ドセタキセル→MDV3100→酢酸アビラテロン、Cabazitaxel、ドセタキセルの再投与 という流れが示唆されます。
(酢酸アビラテロン、Cabazitaxelは米国等では承認済みだが、日本では未承認)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523535.html&cnavi=1
ドセタキセルを含む化学療法にも関わらず、進行してしまった去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の全生存期間(OS)の中央値が18.4カ月となり、プラシボ(偽薬)群より4.8カ月延長するという好結果が得られました。
MDV3100がドセタキセル後の選択肢となる可能性が高まったわけです。
日本ではアステラス製薬がフェーズ1/2試験を進めており、早期の申請、承認が期待されます。
これにより、近い将来の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療手順として、
ドセタキセル→MDV3100→酢酸アビラテロン、Cabazitaxel、ドセタキセルの再投与 という流れが示唆されます。
(酢酸アビラテロン、Cabazitaxelは米国等では承認済みだが、日本では未承認)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523535.html&cnavi=1
2012年1月30日月曜日
TAK-700 第Ⅲ相治験開始
(2012/01/30)
武田薬品は1月27日、米子会社ミレニアム・ファーマシューティカルズを通じて、グロバールで臨床試験を進めている前立腺がん治療薬「TAK-700」について、国内での患者登録を終了し、フェーズ3試験を開始したと発表した。同社が重点疾患領域と位置づける「がん・泌尿器科疾患」で期待の開発品。国内では14~15年度、欧米では14年度に上市を見込む。
TAK-700は同社が創製した経口かつ新規の作用機序(非ステロイド系の男性ホルモン合成酵素阻害剤)の前立腺がん治療薬。既存薬のリュープリンは、精巣での男性ホルモンの産生のみを抑制する「LH/RH誘導体」で注射剤であるのに対し、TAK-700は男性ホルモンの生成に重要な役割を持つ酵素(17、20-リアーゼ)を選択的に阻害し、精巣と副腎の両方に由来する男性ホルモンであるアンドロゲンの生成を抑制する経口剤で、リュープリンとは異なる特徴を持つ。
今回のフェーズ3試験が「転移性のホルモン抵抗性の前立腺がん」を対象にした臨床試験であるのに対し、「非転移性のホルモン抵抗性の前立腺がん」という別の適応症取得に向けた臨床試験も進行中。ホルモン抵抗性の前立腺患者を幅広く治療できる薬剤を目指す。
2012年1月27日金曜日
ロボット支援手術(他)が新たに保険認定へ
(2012年1月19日)
厚生労働省の先進医療専門家会議(座長は慶応大名誉教授の猿田亨男氏)は、第2項先進医療に指定されていた技術のうち、23技術について保険導入が妥当とし、2012年度の診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会に報告することを決定した。
(追記:この報告の内容は1月30日開催の中央社会保険医療協議会で了承され、
2012年4月からの保険適用が決定しました)
(追記:この報告の内容は1月30日開催の中央社会保険医療協議会で了承され、
2012年4月からの保険適用が決定しました)
保険導入が妥当とされたものは23技術(カッコ内は総合評価)。
そのうち、泌尿器関係と思われるもの5技術を抜粋しておきます。
・人工括約筋を用いた尿失禁手術(A)*
・内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術(A)
・根治的前立腺全摘除術における内視鏡下手術用ロボット支援(A)*
・腹腔鏡下膀胱内手術(B1)
・腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術(B1)
* 前立腺がんの手術による尿失禁の重症者は約2200人で、年間約360人の新規患者が出ているという。
治療には、骨盤底筋を鍛える体操や尿道へのコラーゲン注入、薬物療法の他、メッシュテープで尿道をつり上げる手術もあるが、いずれも重症者への効果は期待できず、人工括約筋が最も重症者に適した治療法となる。
* 前立腺がんの手術では、腹腔鏡手術や小切開手術はすでに保険適応となっているので、このたび注目されるのは、ロボット(ダ・ヴィンチ)支援手術。
2010年9月時点におけるダ・ヴィンチの保有台数は、アメリカが1160台(2010年6月時点)、ヨーロッパが276台、アジアが81台(日本13台、韓国30台、中国15台)です。
まだまだ国内の普及度は低いのですが、保険適応となったのは、今後さらなる普及が見込めそうという読みがあったのかも知れません。
アメリカでは前立腺がんでの前立腺全摘除術の85%がロボット支援手術となっています。
日本でもっとも実施例の多い東京医科大学病院でも、前立腺全摘除術の80%をロボット支援手術が占めるまでになっています。
* 一方、保険適応が見送られたのは、粒子線治療(陽子線や重粒子線)です。
治療実績というよりも、保険適応した場合の負担額の多さに腰が引けたということではないでしょうか。
参考までに、上記以外に保険導入が妥当とされた18技術は次の通りです。
・CTガイド下気管支鏡検査(A)
・抗悪性腫瘍剤感受性検査(HDRA法又はCD-DST法)(A)
・内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術(A)
・超音波骨折治療法(A)
・色素性乾皮症の遺伝子診断(A)
・腹腔鏡下直腸固定術(A)
・肝切除手術における画像支援ナビゲーション(A)
・先天性難聴の遺伝子診断(A)
・マイクロ波子宮内膜アブレーション(A)
・内視鏡的大腸粘膜下層剥離術(A)
・インプラント義歯(B1)
・筋強直性ジストロフィーの遺伝子診断(B1)
・腫瘍脊椎骨全摘術(B1)
・腹腔鏡補助下膵体尾部切除又は核出術(B1)
・エキシマレーザー冠動脈形成術(B1)
・三次元再構築画像による股関節疾患の診断及び治療(B1)
・隆起製皮膚線維肉腫の遺伝子検査(B1)
・先天性銅代謝異常症の遺伝子診断(B1)
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