2008年11月14日金曜日

クモ膜下オピオイド投与

薬剤がモルヒネだけだった時代は疼痛コントロール率は6割程度だったが、近年はオピオイドのバリエーションが増え、WHO提唱の適切な処置を行えば、9割近くの患者は疼痛が取れるようになった。
残る1割に対しても、疼痛コントロール専門施設(ペインクリニックや疼痛麻酔科)では、良く施される神経ブロック以外にも「クモ膜下オピオイド投与」が用いられつつある。これは、オピオイドやNSAIDsが効かない難治性の痛みに対し、皮下埋め込み型ポートを使ってくも膜下にオピオイドを投与するもので、手術時の麻酔手法を疼痛緩和に用いたもの。 痛みさえ緩和されれば普通に生活できる患者でも、強い疼痛が除去できないためにオピオイドを増量しなければならず、傾眠がちになって、結果的にQOLを大きく下げてしまっているという現状があるが、クモ膜下オピオイド投与はこういったケースに劇的に効き、寝たきりだった患者さんが普通の生活ができるほどになることもある。

(その他、疼痛緩和の注意事項)
胸水の貯留による苦悶感は、胸水のコントロールが先。
長期臥床患者で気をつけなければならないのは、廃用性の痛み。
フェンタニルは便秘の出現率がほかのオピオイドより低いが、それでも排便コントロールに油断があってはならない。

2008年11月8日土曜日

耐性がんの原因は「RPN2」遺伝子の働き

中日新聞他 2006 /9
 抗がん剤が効かなくなる耐性をがん細胞に持たせる遺伝子のひとつを【国立がんセンター研究所】【大阪府立成人病センター】のグループなどが特定した。この遺伝子の働きを抑えることで抗がん剤の効き目を回復させられる可能性があるという。
 研究グループは「RPN2」と呼ばれる遺伝子が、がん細胞の内部から外部へポンプのように抗がん剤をくみ出すたんぱく質の働きを調整していることを発見。
RNAの断片を細胞に入れ遺伝子の働きを抑えるRNA干渉という手法を用い、マウスに移植した薬剤(ドセタキセル)耐性乳がんでRPN2が働かないようにしたところ、抗がん剤が劇的に効くようになり、直径5ミリあったがんが7日間で1ミリ以下に縮小した。