いまさらという気がしないでもないのですが、IMRTに関してこういう報告がありました。(ASCO GU 2012)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523516.html&cnavi=1
前立腺がん患者に対する強度変調放射線照射(IMRT)は、旧来の原体照射法(CRT)と比較して、合併症の発生が少なく、追加治療を必要とする割合も低く、良好な病勢コントロールが可能と考えられる。(ASCO GU 2012)
前立腺がんに対する放射線治療は、IMRTや粒子線治療など、合併症を抑えつつ線量増加を図る方法が急速に導入され、米国におけるIMRTの使用は、2000年の0.15%から、2008年には95.9%まで急速に増加している。
■IMRTとCRTの比較:2002~2006年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
IMRT(6666人) CRT(6310人)
腸疾患 13.4(%/年) 14.7(%/年) CRTで多かった
股関節骨折 0.8 1.0 CRTで多かった
勃起障害の発生 5.9 5.3 IMRTで多かった
尿路疾患 有意差はなし
追加治療の割合 2.5 3.1 CRTで多かった(線量の差)
■粒子線治療とIMRTの比較:2002~2007年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象
粒子線(684人) IMRT(684人)
腸疾患の発生 17.8 12.2 粒子線で多かった
その他の合併症 有意差なし
追加治療の割合 有意差なし
今回の結果は、前立腺癌に対する現在の標準的な放射線療法として、IMRTの使用を裏付けるもの。
腸疾患の発生でもIMRTは粒子線をしのぐ結果を出しているが、コンピュータと連動した高度な照射法が、粒子線に対する物理特性の劣勢を十分カバーしえていると推察できる。
IMRTと粒子線治療の有効性を比較する無作為化臨床試験が今後さらに必要になると思われる。
2012年2月13日月曜日
初回のPSA値は長期的な前立腺癌リスクを予測
デンマークCopenhagen大学のDavid D Orsted氏らは、初めて測定されたPSA値がそれ以降の前立腺癌罹患とこれによる死亡の予測に役立つかどうかを調べ、【ASCO GU 2012】で発表した。
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523517.html&cnavi=1)
デンマーク人の一般男性4383人を、PSA値に基づいて6群に分類し、前立腺癌罹患のハザード比と前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した。
PSA値 0.1-1.00 1.01-2.00、2.01-3.00、3.01-4.00、4.01-10.00、10超
罹患ハザード比 1.0 3.0 6.8 6.6 16 57
死亡ハザード比 1.0 2.2 5.1 4.2 7.0 14
次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めたところ、参照群(PSA=0.1-1.00)では、年齢が上昇しても増加はわずかだったが、PSA値が10ng/mL超群では、それぞれ非常に高い値になった。
年齢層 45歳未満、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上
PSA値0.1-1.00 0.6% 0.7% 1.1% 1.2% 1.3% 1.1% 1.3% 1.5%
PSA値10超 35%、 41%、 63%、 71%、 77%、 69%、 75%、 88%
米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、PSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に過剰治療により有害事象を増加させる可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表したが、今回の発表は過剰診断(治療)に関しては言及されていないものの、PSA検診の取扱いをめぐるガイドラインの論議に一石を投じるものと言えよう。
また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初回PSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。
・4超 引き続き詳細な検査
・2-4 2~4年間隔でPSA検査
・2以下 65歳未満:10年ごとにPSA検査、65歳以上:再検査不要
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523517.html&cnavi=1)
デンマーク人の一般男性4383人を、PSA値に基づいて6群に分類し、前立腺癌罹患のハザード比と前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した。
PSA値 0.1-1.00 1.01-2.00、2.01-3.00、3.01-4.00、4.01-10.00、10超
罹患ハザード比 1.0 3.0 6.8 6.6 16 57
死亡ハザード比 1.0 2.2 5.1 4.2 7.0 14
次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めたところ、参照群(PSA=0.1-1.00)では、年齢が上昇しても増加はわずかだったが、PSA値が10ng/mL超群では、それぞれ非常に高い値になった。
年齢層 45歳未満、45-49歳、50-54歳、55-59歳、60-64歳、65-69歳、70-74歳、75歳以上
PSA値0.1-1.00 0.6% 0.7% 1.1% 1.2% 1.3% 1.1% 1.3% 1.5%
PSA値10超 35%、 41%、 63%、 71%、 77%、 69%、 75%、 88%
米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、PSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に過剰治療により有害事象を増加させる可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表したが、今回の発表は過剰診断(治療)に関しては言及されていないものの、PSA検診の取扱いをめぐるガイドラインの論議に一石を投じるものと言えよう。
また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初回PSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。
・4超 引き続き詳細な検査
・2-4 2~4年間隔でPSA検査
・2以下 65歳未満:10年ごとにPSA検査、65歳以上:再検査不要
2012年2月12日日曜日
MDV3100
2012年国際泌尿器癌会議(ASCO-GU) が2/4に終了しましたが、その中で最も注目されたのが、MDV3100(経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬)の国際第3相臨床試験の結果。
ドセタキセルを含む化学療法にも関わらず、進行してしまった去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の全生存期間(OS)の中央値が18.4カ月となり、プラシボ(偽薬)群より4.8カ月延長するという好結果が得られました。
MDV3100がドセタキセル後の選択肢となる可能性が高まったわけです。
日本ではアステラス製薬がフェーズ1/2試験を進めており、早期の申請、承認が期待されます。
これにより、近い将来の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療手順として、
ドセタキセル→MDV3100→酢酸アビラテロン、Cabazitaxel、ドセタキセルの再投与 という流れが示唆されます。
(酢酸アビラテロン、Cabazitaxelは米国等では承認済みだが、日本では未承認)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523535.html&cnavi=1
ドセタキセルを含む化学療法にも関わらず、進行してしまった去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の全生存期間(OS)の中央値が18.4カ月となり、プラシボ(偽薬)群より4.8カ月延長するという好結果が得られました。
MDV3100がドセタキセル後の選択肢となる可能性が高まったわけです。
日本ではアステラス製薬がフェーズ1/2試験を進めており、早期の申請、承認が期待されます。
これにより、近い将来の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療手順として、
ドセタキセル→MDV3100→酢酸アビラテロン、Cabazitaxel、ドセタキセルの再投与 という流れが示唆されます。
(酢酸アビラテロン、Cabazitaxelは米国等では承認済みだが、日本では未承認)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco_gu2012/201202/523535.html&cnavi=1
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