2010年12月10日金曜日

IMRT(強度変調放射線治療)実施施設

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)によると、次の47施設です。

【北海道・東北】
札幌医科大学附属病院
北海道大学病院
旭川医科大学病院
東北大学病院

【関東】
栃木県立がんセンター
医療法人社団日高会 日高病院
埼玉医科大学国際医療センター
千葉県がんセンター
国立がんセンター東病院
国立がんセンター中央病院
慶應義塾大学病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京大学医学部附属病院
がん・感染症センター都立駒込病院
癌研有明病院
東京女子医科大学病院
杏林大学医学部付属病院
横浜市立大学附属病院
茅ヶ崎徳州会総合病院

【甲信越】
新潟県立がんセンター新潟病院
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院

【中部・東海】
社会医療法人厚生会 木沢記念病院
聖隷浜松病院
愛知県がんセンター中央病院・研究所
名古屋大学医学部附属病院
名古屋市立大学病院
名古屋第二赤十字病院

【近畿】
市立伊勢総合病院
滋賀医科大学医学部附属病院
大津赤十字病院
京都大学医学部附属病院
大阪大学医学部附属病院
大阪府立成人病センター
松下記念病院
近畿大学医学部附属病院
先端医療センター病院
天理よろづ相談所病院
奈良県立医科大学附属病院

【中・四国】
財団法人倉敷中央病院
JA広島厚生連 廣島総合病院
広島大学病院
山口大学医学部附属病院
川崎医科大学附属病院
四国がんセンター

【九州】
九州大学病院
済生会熊本病院
熊本大学医学部附属病院

 注(1):上記は2010年調べですが、その後IMRT実施施設は増え続け、
    2012年(春)には109施設と、倍以上になっています。

 注(2):2008年(春)現在のIMRT先進医療指定は次の19施設でした。
   http://higepapa.blogspot.jp/2008/10/blog-post_03.html

2010年12月8日水曜日

骨転移にはデノスマブ

(NCI Cancer Bulletin2010年11月30日)抜粋

モノクローナル抗体製剤であるデノスマブは、骨折リスクが高い閉経後女性の骨粗鬆症の治療を目的として2010年6月に承認(米国)されたが、固形腫瘍からの骨転移を有する患者における骨関連事象の予防を目的として、骨粗鬆症より高用量での追加承認を取得した。
追加承認を受けたデノスマブ(Xgeva)の癌患者への投与は、4週間に1回、120mg(注射)。

総計5723人の患者を対象とした3つの国際的な大規模臨床試験では、乳癌の女性患者と前立腺癌の男性患者の治療において、さまざまな種類の癌患者が骨折や脊髄圧迫を発現したり、骨痛のための手術や放射線治療の必要性が生じたりするまでの期間を延長したという点で、デノスマブはゾレドロン酸(ゾメタ)より優れていた。

2010年10月20日水曜日

酢酸アビラテロンは第Ⅲ相臨床試験でも良好な結果を示す

<第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO) Johann de Bono氏(英)の発表>

 フェーズ3の無作為化試験の結果、 化学療法(ドセタキセル)が無効となったホルモン抵抗性の転移性前立腺癌患者に対し、
酢酸アビラテロンの投与が、全生存期間(OS)を延長することが認められた。
 酢酸アビラテロンは、CYP17を選択的に遮断し、アンドロゲン合成(persistent androgen synthesis;PAS)を強力かつ持続的に阻害する。

 試験対象は、13カ国の147施設から参加した、ドセタキセルベースの化学療法の治療歴がある去勢抵抗性の転移性前立腺がん患者1195人。
 まずは被験者を次の2群に分けた。
AA群   :酢酸アビラテロン(経口)を1日1回1000mg、プレドニゾン5mgを1日2回投与する群(797人)
プラセボ群:プラセボとプレドニゾンを投与する群(398人)

 治療前の病状は次の通り。
       PSA中央値、 骨転移、 リンパ節転移、  肺転移、  肝転移
AA群   :128.8ng/mL、 89.2%、  45.4%、  13.0%、  11.3%
プラセボ群:137.7ng/mL、 90.4%、  41.5%、  11.4%、   7.6%

 主要評価項目は全生存期間:OS、副次的評価項目はPSAが上昇するまでの期間:TTPP、rPFS、PSA値における奏効率とした。
 その結果を示すとこのようになる。
        OS、   TTPP、   rPFS、  PSA奏功率
AA群   :14.8ヵ月  10.2ヵ月  5.6ヵ月  38.0%
プラセボ群:10.9ヵ月   6.6ヵ月  3.6ヵ月  10.1%

 全グレードの有害事象はAA群で98.9%、プラセボ群で99%に発現し、グレード3以上の有害事象は54.5%と58.4%だった。
グレード3以上の有害事象による治療中止は、AA群10.5%、プラセボ群13.5%となった。有害事象による死亡は、AA群11.6%、プラセボ群14.7%だった。
 AA群で多く観察された有害事象は、体液貯留、低カリウム血症、肝機能異常、高血圧であったが、グレード3以上はいずれも5%未満だった。

参考:http://higepapa.blogspot.com/2009/03/abiraterone.html

出典:日経メディカル

2010年10月13日水曜日

骨転移を促す遺伝子を特定

NHKニュース 2010年10月11日
がんが骨に転移する「骨転移」を促すとみられる遺伝子を特定し、その働きを抑えて実際に骨転移を防ぐことに、慶応大学のグループがマウスを使った実験で成功しました。骨転移を予防する薬の開発につながる可能性があると注目されています。
がんが骨に転移する骨転移は、骨折や強い痛みを引き起こし、がんを治療するうえで大きな障害となります。このため、慶応大学先端医科学研究所のグループは、骨転移を起こしやすい乳がんや前立腺がんなどのがん細胞で、骨の病気に関係する50の遺伝子がどのように働いているか詳しく調べました。その結果、「FRP」という遺伝子の働きが異常に高まっていることがわかったということです。さらに、FRPにくっついて働きを抑える物質を作り、ヒトのがん細胞を移植したマウスに投与したところ、ほとんど骨転移が起こらないことを確認したとしています。このマウスではリンパ球など免疫を担う細胞が活発になっていたということで、研究グループでは、FRPが免疫の機能を抑え骨転移を促しているのではないかとしています。研究グループの工藤千恵講師は「FRPの働きを抑える薬を開発すれば、骨転移を予防できる可能性がある。治療に使えるよう研究を進めたい」と話しています。

2010年8月19日木曜日

ホルモン療法単独より放射線療法を追加すべき(局所進行前立腺がん)

(NCIキャンサーブレティン2010年6月15日号参照)

1995~2005年の間に行われた国際共同第3相試験の結果によると、アンドロゲン除去療法(ADT)に放射線療法を追加すると、局所進行前立腺癌男性の死亡リスクを43%減少させることが判明した。このデータは先週シカゴで行われたASCO年次総会で発表された。

ADT+放射線療法を受けた男性は、ADT 単独療法を受けた男性よりも10年間の前立腺癌死亡率は少ない(15%対23%)だろうと、研究者らは予測している。最終結果はあと数年で明らかになると期待される。

「この結果は2010年でも意味があると確信している。未だに、高リスク患者の約50%がADT単独で治療されている」とWarde氏は述べた。
ここ10年は放射線治療技術の進歩が著しく、本試験の放射線治療追加の効果は、過少評価されている可能性があると、同氏は述べた。

2010年7月7日水曜日

普及するか、ダヴィンチ手術

昨年11月、ジョンソン・エンド・ジョンソンが海外の臨床試験データを基に手術支援ロボット、
ダヴィンチの薬事承認を取得。この3月からようやく国内での販売がスタートした。
ダヴィンチ本体の価格は3億円程度だが、機器や消耗品にも費用がかかる。
また、これとは別に、年間のメンテナンス費用が約2500万円になるとみられている。

前立腺がんの手術では、腹腔鏡は慣れるまでに80~100症例の経験が必要だが、
ダヴィンチでは10~20症例で良いという。
指先の動きを1/3、1/5に縮小して伝えることができるため、精密な操作もやり易い。
出血量も開腹手術より少なく、患者の負担が少ない低侵襲手術といえる。
「触覚がない」のが欠点だが、これは視覚情報の優位性で補わざるを得ない。

我国では、前立腺がんの腹腔鏡手術は全体の1割以下程度とみられ、開放手術が中心だが、
米国では、すでに85%以上の手術が、1000台以上のダヴィンチにより行われている。

参照 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201007/515535.html

カバジタキセル(商品名:Jevtana)

進行したホルモン不応性前立腺がんの患者にとっては、ドセタキセルが最後の砦ではなく、
新しいタキサン系抗癌剤、カバジタキセル(商品名:Jevtana)によって生存期間の延長が認められた(第Ⅲ相治験)ことは、すでにこの掲示板でもお知らせしました。
これを受けて、米食品医薬品局(FDA)は優先審査プログラムとして審査を行っていましたが、
6月17日、カバジタキセル(Jevtana)をプレドニゾン(ステロイド剤)との併用で承認しました。
ドセタキセルで治療中あるいは治療後に病勢が進行したホルモン不応性前立腺がんは、
これまでほとんど治療の選択の余地がなかったわけですが、この薬剤が初の適応となるわけです。
申請から承認まで11週間のスピード審査で、米国医療行政の面目躍如といったところですが、
我が国ではいったいどうなるんでしょうね。

2010年6月14日月曜日

ラジウム223を用いた放射性医薬品アルファラディン

アルファ線放出核種ラジウム223を用いた放射性医薬品アルファラディン(Alpharadin) は、ホルモン不応性前立腺癌の骨転移に対し、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の試験結果から、忍容性を保ちながら全生存期間の延長も期待できる可能性が示されました。(ASCO2010)
アルファラディンは現在、国際共同第Ⅲ相臨床試験が行われていますが、日本はこれに参加していません。

現在、体内照射として用いられているストロンチウム-89(メタストロン注)は、ベータ線を放出する放射性同位元素で、体内ではカルシウムと同様の働きをするので、骨転移病巣に集まりやすく、集中的に骨転移病巣に放射線が照射され、多発性骨転移などで外部照射が困難な場合でも疼痛の緩和がはかれる可能性があります。

アルファ線(ラジウム223)はベータ線(ストロンチウム-89)に比べて放射線量が数倍大きく、逆に飛距離と崩壊時間が短いのが特徴。

2010年5月18日火曜日

ペプチドワクチン 先進医療

(厚労省「先進医療専門家会議」)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/27652.html
5/18の厚労省「先進医療専門家会議」で、ホルモン不応性再燃前立腺がんに対する「ペプチド・ワクチン療法」が先進医療として認められた。
適応はドセタキセル不適格のホルモン不応性再燃前立腺がんで、ヒト白血球抗原HLA-A24が陽性のもの。
免疫性が高いと推測されるがんペプチドを、それぞれ患者ごとにテーラーメイド治療を行うことで、より早く、強力な特異免疫賦活効果を狙う治療法。
患者自身のがん免疫機能を活発化することで、生命予後の延長やQOLの向上につながることが期待され、技術を申請した久留米大病院の臨床研究では、
24%の患者についてPSA値が50%以上低下した。

ペプチドワクチン 臨床試験

(第98回日本泌尿器科学会総会発表)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jua2010/201005/515081.html
岩手医大の小原氏らは、東大医科学研究所との共同研究で、遺伝子のスクリーニングによって、前立腺癌に高頻度に発現する遺伝子CDCA1を同定した。
CDCA1由来の「HLA-A24拘束性エピトープペプチド」を作製し、ドセタキセル抵抗性の再燃前立腺癌に対し、このペプチドを標的とした癌ペプチドワクチンの
医師主導型第1/2相試験を行ったところ、重篤な全身有害事象はなく安全に施行できることが示された。
効果の判明まではまだ時間がかかるが、小原氏は「ドセタキセル抵抗性患者に対する治療として期待できる」と述べた。

2010年5月17日月曜日

MDV3100(経口アンドロゲン受容体拮抗薬)

経口アンドロゲン受容体拮抗薬MDV3100を、アンドロゲン非依存性の転移性前立腺癌患者に適用したところ、フェーズ1/2試験で好結果が得られた。(Lancet誌電子版4/15 米Medivation社&アステラス製薬)

治療法の選択肢が限られており、余命1年以下と推定される末期の前立腺癌患者において、MDV3100はPSAレベルを低下させ、腫瘍の縮小または病態安定をもたらし、末梢血中の循環癌細胞(CTC)の数を減らすことが明らかになった。
MDV3100は、3つの作用点に働きかけてアンドロゲン受容体拮抗作用を発揮するというユニークな作用機序を持つ。
リスクとベネフィットのバランスは良好と判断され、既に多施設無作為化フェーズ3AFFIRM試験が進行中。

2010年5月16日日曜日

ホルモン療法+ゾレドロン酸(ゾメタ)

横浜市大の上村博司氏らは、4月下旬盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で以下の発表をした。
骨転移がある前立腺癌に対し、ホルモン療法にゾレドロン酸(ゾメタ)を併用することでPSA値が顕著に低下し、PSA最低値は低く、PSA正常化率は高く、再燃までの期間を延長する可能性が示された。
神奈川県下の多施設共同臨床試験で、骨転移の広がりが6ヵ所以上で、ホルモン療法未治療の臨床病期D2前立腺癌患者28人が対象。
PSA初期値の中央値は239だったが、PSA正常化率(4以下に下がった)は75%であった。
4人でグレード2の有害事象(クレアチン上昇、歯肉炎、下顎痛、筋肉痛)が見られたため投与を中止したが、重篤なものはなかった。
PSA再燃は10人に認められ、再燃までの期間中央値は6.6カ月だった。いずれも骨関連事象(SRE)の発現はない。
「初期からゾレドロン酸を投与した方がよいだろう」と答えた。

2010年5月13日木曜日

GnRHアゴニストの副作用

FDA(米国食品医薬品局)は医療従事者および患者に対し、GnRHアゴニスト(日本ではリュープリン、ゾラデックス)の投与により、
糖尿病や心血管疾患のリスクが高まる可能性があると通達した。
ただ、FDAの審査はまだ継続中で、前立腺癌でこれらの薬剤投与を受けている患者のリスクについてはまだ結論は出ておらず、
患者は医師から投与中止を指示されない限りは、GnRHアゴニスト投与を中止すべきではない。
FDAは、これらの安全性問題を認識し、GnRHアゴニスト投与を受ける患者について糖尿病および心血管疾患の発症をモニタリングすべきであると推奨している。

http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20100513hj001hj

http://www.cancerit.jp/xoops/modules/fda_files/index.php?page=article&storyid=115

2010年4月24日土曜日

期待されている新薬の色々

■デノスマブ(denosumab)
デノスマブ(denosumab)はゾレドロン酸(ゾメタ)より優れており、転移性前立腺癌患者の骨関連事象(合併症)の出現を遅らせる効果があるという報告が、2010年6月のASCO(米国臨床腫瘍学会)でなされる予定。


■MDV3100
MDV3100は第二世代の経口抗アンドロゲン剤
カソデックスよりも優れた抑制作用を示し、カソデックス抵抗性癌にも効果が見られる。
現在、ドセタキセル(タキソテール)の治療歴を有するホルモン非感受性前立腺癌患者を対象とした、国際第Ⅲ相臨床試験が行われている。


■デガレリクス
2008年末にFDAが承認し、欧米ではすでに用いられている。
LH-RHアナログ剤(リュープリン、ゾラデックス等)に対し、これはLH-RHアンタゴニスト。
フレアアップ現象(テストステロンの一時的な上昇)を来さない。

■プロベンジ
前立腺がん治療用ワクチン。
ホルモン不応答性前立腺がん患者を対象としたフェーズ3試験では全生存期間の延長が判明。
諮問委員会は17対0で薬の安全性を認め、13対4で効用を認定したが、FDAでは承認されず物議をかもす。
再審査で承認の可能性も?

■アビラテロン
性ホルモンの合成に関与する酵素「CYP17」を選択的に阻害し、精巣や副腎でのテストステロンの産生を抑える新薬。
ホルモン耐性の転移性前立腺癌で、ドセタキセルベースの化学療法が無効となった患者を対象に、フェーズ3(第3相)試験を開始している。試験終了は2011年の予定。

■カバジタキセル
新しいタキサン系抗癌剤。
進行前立腺癌の患者にとってはドセタキセルが最後の砦ではなく、Cabazitaxelによって生存期間を延長できることが第Ⅲ相治験で示された。FDAが承認審査中。・・・・・→ FDAの承認が降りました!
   http://higepapa.blogspot.com/2010/07/jevtana.html

■セディラニブ
VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤cediranib(AZD2171)が、すでにドセタキセル投与を受けた去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に有効かつ安全であることが第Ⅱ相試験で認められた。

■ピコプラチン&ドセタキセル&プレドニゾン
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療として、この3剤の組合せが良好で、安全性も高いことが第Ⅱ相試験で示された。

2010年4月13日火曜日

前立腺癌のTNM分類

【原発腫瘍(T)】
・TX:原発腫瘍の評価が不可能

・T0:原発腫瘍を認めない

・T1:臨床的に不顕性であり、かつ触診によっても画像によっても腫瘍が認められない
 - T1a:偶然に検出された腫瘍で切除組織の5%以下
 - T1b:偶然に検出された腫瘍で切除組織の5%を超える
 - T1c:針生検で腫瘍が同定される(例えば、PSA値の上昇により)

・T2:腫瘍が前立腺内に限局している*
 - T2a:腫瘍の浸潤が1葉の50%以下
 - T2b:腫瘍が1葉の50%を超えて拡がるが、両葉には及んでいない
 - T2c:腫瘍が両葉に及んでいる

・T3:腫瘍が前立腺被膜の外に進展している**
 - T3a:被膜の外へ拡大(片側であるか両側であるかを問わない)
 - T3b:腫瘍が精嚢(左右またはそのいずれか)へ浸潤

・T4:腫瘍が固着しているか、精嚢以外の隣接臓器への浸潤:
   膀胱頸部、外括約筋、直腸、挙筋、および/または骨盤壁

*[注: 針生検により腫瘍が片葉または両葉に認められても、触知されず
   画像によっても確実には認められないものはT1cに分類する]

**[注: 前立腺尖部または前立腺被膜への浸潤(ただし被膜を越えない)は、T3ではなくT2に分類する]

【所属リンパ節(N)】
 所属リンパ節は小骨盤リンパ節であり、本質的には総腸骨動脈分岐部以下の骨盤リンパ節である。
この所属リンパ節には以下のグループがある(N分類では左右の別を問わない):
 骨盤リンパ節(他に特定されない[NOS])、
 下腹部リンパ節、閉鎖リンパ節、
 腸骨リンパ節(すなわち、内腸骨、外腸骨、NOS)、
 および仙骨リンパ節(外側仙骨、仙骨前、岬角[例えば、Gerota's]、NOS)。

 遠隔リンパ節とは、小骨盤の範囲にないものをいう。
これらは、超音波法、CT、MRIまたはリンパ管造影法により画像を得ることができ、以下のものがある:
 動脈リンパ節(傍大動脈、大動脈周囲、または腰部)、
 総腸骨リンパ節、鼠径リンパ節(深層)、
 浅鼠径(大腿)リンパ節、鎖骨上窩リンパ節、
 頸部リンパ節、斜角筋前リンパ節および(NOS)後腹膜腔リンパ節。

 腫大したリンパ節は、時に画像検出できるが、PSAスクリーニングと関連した病期シフトにより、
リンパ節病変を有することが分かる患者がきわめて少数であり、そして画像検査上の偽陽性および偽陰性がよくみられる。
個々の患者のリンパ節転移のリスクを決定するには画像の代わりに、リスク表が一般に使用される。
遠隔リンパ節転移は、M1aに分類される。
 - NX:所属リンパ節が評価されなかった
 - N0:所属リンパ節に転移を認めない
 - N1:所属リンパ節に転移を認める

【遠隔転移 (M)】*
・MX:遠隔転移の評価が不可能(いかなる手法によっても評価できない)

・M0:遠隔転移を認めない

・M1:遠隔転移あり
 - M1a:所属リンパ節以外
 - M1b:骨
 - M1c:骨転移を伴う、または伴わないその他の部位

*[注: 2部位以上に転移が認められれば、最も進行した分類(pM1c)を用いる。]

【病理組織学的分化度 (G)】
・GX:分化の程度の評価が不可能

・G1:高分化 (軽度異型性)(Gleason 2-4)

・G2:中分化 (中等度異型性)(Gleason 5-6)

・G3-4:低分化または未分化 (高度異型性)(Gleason 7-10)

注)現在の分類法では、4以下のグリソンスコアは事実上存在しない。
 5~6: 高分化がん(5も珍しい)
 7 :  中分化がん
 8~9: 低分化がん

監視療法(active surveillance)

 NCI キャンサーブレティン2010年1月12日号(Volume 7 / Number 1) -米国国立癌研究所発行より
 http://www.cancerit.jp/recommendation_file_pdf/Cancer_Bulletin_PDF/100112.pdf

前立腺癌の治療において監視療法(activesurveillance)を普及させるためのこれまでで最も明確な要請が、NCCN(National Comprehensive CancerNetwork:全米癌総合ネットワーク)のガイドラインで示された。
改訂されたNCCNのガイドラインは、生命を脅かす病気へと進行する危険性が低い前立腺癌患者に監視療法を提供することを医師に求めている。

監視療法は、以前には「待機療法(watchfulwaiting, expectant management)」と呼ばれていたが、前立腺癌の診断後すぐに治療せずに、定期的な検査や診察を行って病状を綿密に観察することである。
監視療法にはPSA検査、直腸診(DRE)の他、前立腺生検を含めることができる。
もし、腫瘍の著明な増大、PSA 値の急激な上昇、生検における悪性度の上昇など病状が進行している徴候がい
ずれかの時点で認められた時は、手術や放射線療法などの根治的治療(definitive treatment)が行われる。

「前立腺癌治療委員会は前立腺癌の過剰診断や過剰治療を危惧しています」と委員会の議長でロズウェル
パーク癌研究所のDr.James L. Mohler 氏は説明した。昨年発表された前立腺癌検診についての2 つの
大規模臨床試験の結果、発見されなければ問題とならなかったであろう癌に対して重大な過剰診断と過剰
治療があったことが明らかになり、改訂を進める原動力になったと同氏は述べた。
「自分に前立腺癌があるとわかったほとんどの男性は何を望むでしょうか?彼らは癌がなくなることを望みま
す」とMohler 氏は言う。「あまりにも多くの男性が治療の副作用に苦しんでおり、治療にかかる費用は社
会が負担しています。そして、それらのうちあまりに多くの治療が不必要なのです」。

改訂されたガイドライン(無料登録で利用可能)によると、監視療法は期待される余命が10 年未満の低リス
ク前立腺癌の男性に推奨されるべきである。低リスク癌とはPSA 値が比較的低く、腫瘍が小さく前立腺の
片側に限局し、グリーソンスコアが低い低悪性度のものをいう(表を参照)。
また、ガイドラインは臨床的に問題にならない前立腺に対して超低リスクという新しい分類を定めた。期待される余命が20 年以下でこのカテゴリーに分類される男性の好ましい管理手段として監視療法の提案のみを推奨している。


低リスク◇(期待余命・10年未満に適応)
◇適応
・癌ステージ:T1-T2a
・癌悪性度:グリーソンスコア2-6
・PSA 値:<10 ng/mL
◇必要な検査
・6 カ月に1 回 PSA 検査
・12 カ月に1 回 直腸診

超低リスク(期待余命・20年未満に適応)
◇適応(低リスク条件のすべてと次の条件を満たす場合)
・生検陽性コア<3 か所、各コアの癌細胞≦50%
◇必要な検査(低リスクの場合に同じ)


監視療法は適した患者には明確な利益があるが、この治療方法を選ぶ過程や決定は容易なことではないと、ガイドライン委員会は指摘した。頻回の診察や検査が必要であることに加えて、病気の全過程を考えると、癌が進行していないか注意して見守っていくということは、ついには癌が進行し、治癒の見込みが少なく重大な副作用のリスクがある治療をしなければならなくなる可能性があることを意味する。
また、迅速に根治的治療を行うことが現在もまだ根強いことを考慮すると、医師が改訂されたガイドラインに
どのように対処するかも問題である。例えば、2009年1 月にNew England Journal of Medicine 誌に
よって、低リスク前立腺癌の63 歳男性の模擬症例を提示して行われたオンライン投票によると、米国の投
票者(医師が全てではない)のうち約70%が好ましい治療選択として監視療法よりも放射線療法や手術を
選んだ。
この推奨が「治療の傾向を大きく変える」かどうかは不確定であるとGodley 氏は述べた。しかし、「低リスク患者に自ら監視療法を行う医師や、それを施行する病院へ患者を紹介する医師にとっては、行いやすくなる
でしょう」と同氏は付け加えた。

低リスク前立腺癌の治療について、監視療法(activesurveillance)、外科手術、放射線療法などのさまざ
まなアプローチがいずれも同程度の全生存率および再発率になる、との結論が新たな効果比較研究で出
されている。しかし、本研究で用いた経済モデルによると、監視療法は65 歳以上の男性では即時的な治
療と比較して健康上の純利益および質調整生存年(quality-adjusted life years, QALY)が高いという。

2010年4月2日金曜日

ホルモン製剤がホットフラッシュを抑制

進行前立腺癌(がん)治療のゴールド・スタンダードと考えられているアンドロゲン抑制療法によるホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)は、ホルモン製剤の酢酸シプロテロンや酢酸メドロキシプロゲステロンによって最も抑制されることが、新しい研究によって示された。ホットフラッシュは同療法を受けた患者の約80%に認められる。

①非ホルモン製剤のvenlafaxine(※抗うつ薬Effexor:日本国内未承認、102例)、
②ホルモン製剤の酢酸シプロテロン(※日本では販売中止、101例)
③酢酸メドロキシプロゲステロン(108例)

以上3剤を投与比較した研究の結果、3剤ともホットフラッシュを低減したが、ホルモン製剤のほうが全期間を通して有効であった。
「前立腺癌に対してGn-RHアナログ製剤の投与受けている男性では、12週時でのホットフラッシュの治療に②と③がより効果的である。しかし、②は前立腺癌の治療薬として認められおり、その使用はホルモン療法を阻害する可能性がある。このことから、③を標準治療薬にすべきである」
研究結果は、医学誌「Lancet Oncology」オンライン版に12月7日掲載された。

前立腺癌診断ストレスが心血管イベントの増大につながる

前立腺癌の告知を受けた患者では、情動(emotional)ストレスによって心血管イベントおよび自殺のリスクが増大する可能性があることが、スウェーデンの研究で示された。

スウェーデン、カロリンスカ研究所(ストックホルム)のKatja Fall氏らは、1961~2004年に前立腺癌と診断されたスウェーデン人男性16万8,584人のデータを分析。癌の診断後1年以内に、被験者のうち1万126例(6%)に心血管イベントが発現し、136例(0.08%)が自殺した。

1987年までのデータでは、前立腺癌患者ではそうでない男性に比べて、診断後1週間以内に致死的な心血管イベントを発現する可能性が約11倍高く、1年以内に心血管イベントを発現する可能性はほぼ2倍であった。1987年以降、前立腺癌患者の致死的または非致死的な心血管イベントのリスクは、そうでない患者に比べて、診断後1週間以内で約3倍、1年以内ではやや高かった。

今回の研究では、17万人近くの被験者のうち自殺をしたのは136人のみであったが、前立腺癌に関連する自殺の相対リスクは診断後最初の1週間では8.4、1年間で2.6であった。研究結果は、オンライン医学誌「PLoS Medicine」に12月14日掲載された。

ホルモン療法に専門家グループが警告

米国心臓協会(AHA)、米国癌協会(ACS)、米国泌尿器科学会(AUA)の専門家グループが、アンドロゲン除去療法(ADT)によって心臓発作や心臓死のリスクが高まるとの警告を発した。

医学誌「Circulation(循環器)」オンライン版に2月1日掲載された今回の勧告では、ADTが血清リポ蛋白やインスリン感受性、肥満など従来の心血管リスクファクターに悪影響を及ぼすことを示す十分なデータがあるという。
前立腺癌を有する男性患者全体の約3分の1がADTを受けるが、欧州で実施された2件、米国で実施された4件の研究で、心血管障害の発症が増大することが示されているという。

Brawley氏は「PSA値が上昇し始めてはいるものの、癌進行の他の徴候や症状はみられない場合など、一部の症例ではADTを用いるべきかどうかについては議論があった。ADTは治療には有用であるが、慎重に用いるべきである」という。

米テキサス大学泌尿器科教授のArthur Sagalowsky博士も「心臓障害のリスクは、前立腺癌治療で議論が必要な多くの問題の1つとするべきであり、アンドロゲン除去療法の開始を決定する際に、前立腺癌患者に提示する情報内容に追加すべきものである」と述べている。

2010年3月15日月曜日

中リスク前立腺がんの放射線療法はホルモン療法併用が有利

PSAが20以下の限局前立腺癌患者について、
放射線治療(66.6Gy)単独(A群)と、同程度の放射線治療に短期(4ヶ月間)ホルモン療法の併用(B群)を比較したところ、
中リスク患者では、併用(B群)のほうが生存を延長し再発を減らすことができた。
しかし、併用よる効果は、低リスク患者では認められなかった。(ASCO GU2010)

            放射線治療単独群       ホルモン療法併用群
観察期間中央値       9.1年             9.2年
10年生存率         57%             62%
8年全生存率(中リスク)   68%             72%
 同上   (低リスク)・・・・・・・ 差異なし
生検(複数回)陽性結果   60%             78%

*注:低リスクとはPSA10以下かつGS6以下。
*医療ライターの約文(日経メディカル)をベースにしているが、(原文は読んでいない)
 早期ステージという表現もあれば、局所進行前立腺がんという表記もあり、同じ内容の表現なのに
 判断に苦しむ・・・局所進行前立腺がんならば、それだけで高リスクとなってしまうので、
 結局、「限局(早期)前立腺癌」のことと解釈した。
 

骨関連事象にはデノスマブ(denosumab)

骨転移を有する進行性前立腺癌でdenosumab(完全ヒトモノクローナル抗体)とゾレドロン酸(ビスフォスフォネート)の2剤を比較した国際的なフェーズ3無作為化二重盲検試験の結果が発表された。

 Denosumabは、骨関連事象(SRE)の初回発生までの期間を延長し、SREが複数発生する割合を減少させ、ゾレドロン酸に対する優越性を有意に示した。

 有害事象の発生率は両群間で統計学的有意差はなかった。過去の進行癌の試験と同様、低カルシウム血症はdenosumabを投与した群に多く報告された。全生存期間と無増悪期間は両群で同等だった。

 Amgen社研究開発部の執行副社長、Roger M. Perlmutter氏は 「今回の試験結果により、転移性前立腺癌患者の骨合併症の出現を遅らせるdenosumabの効果が証明された」と話した。
前立腺癌に対する有効性と安全性の全データは、2010年6月上旬に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告される予定。

Cabazitaxel:進行転移性前立腺癌でドセタキセルに続く二次治療薬【ASCO GU2010】

ホルモン療法やドセタキセルベースの化学療法に耐性をもつに至った転移性の進行前立腺癌患者は、次に打つ手に困るわけですが、
新しいタキサン系抗癌剤Cabazitaxel が、良好な結果を示すことが明らかになりました。(ASCO GU2010)

第Ⅲ層の治験では、患者は無作為に次の2群に振り分けられました。
A群:Cabazitaxelとプレドニゾンを投与される群(:378人)
B群:ミトキサントロンとプレドニゾンを投与される群(:377人)

                     A群      B群
全生存期間中央値        15.1カ月     12.7カ月   →  これは死亡率30%低減に該当する
無増悪生存期間中央値       2.8カ月     1.4カ月
奏効率、PSA反応          ◎        ○
(grade3、4の副作用)
好中球減少             81.7%      51.0% 
発熱性好中球減少症        7.5%       1.3%

デューク大学医学部准教授で、総合がんセンター泌尿器外科のDr. Daniel George氏はこう述べています。
「ドセタキセルによる一次治療が効かなくなった患者に対し、一定の有効性と適切な忍容性が得られたのは有望な結果です。一次治療の反応が良かった患者は、二次、三次治療でも好反応を示す傾向にある。
進行前立腺癌の患者にとってはドセタキセルが最後の砦ではなく、Cabazitaxelによって生存期間を延長できることが立証された。癌治療における進歩が常に緩やかであることを考えると、今回の試験は、2004年に進行前立腺癌治療でのドセタキセルの有効性を示した成果に匹敵するだろう」

サノフィ・アヴェンティス社(フランス)は、二次治療薬として本剤の承認申請をFDA(米国食品医薬品局)に対して行っている。cabazitaxelは進行前立腺がんの二次治療において、FDAの承認を受ける初めての薬剤となりそうだ。

(以下蛇足)
日経メディカルでも紹介されていた記事は、内容がわかりにくく、海外癌医療情報なども参照したところ、けっこう重要なニュースのように思えてきました。
ここまでくれば実現性も高いですね。
このたびは私が理解できる範囲で、できるだけ簡潔明瞭に紹介してみました。
ただ、ドセタキセルが米国で承認(2004)されてから、日本で使われるまでには4年以上を要していますし、
医師が使いこなせるまでには、さらに数年かかるのが実情のようです。
いつも残念に思うのですが、我々が新薬の恩恵を被るまでの道のりは、近いように見えても実はうんと遠いんですね。

2010年3月14日日曜日

PSAに関するN.Y Timesの記事

「PSA検査は保険財政を圧迫しその有用性に疑問がある」という意見が、ニューヨーク・タイムズに掲載されたが、その意見の主がPSA検査の生みの親、アブリン教授(アリゾナ大)であったため、議論を呼んでいる。

PSA検査は、治療が必要な進行の早いがんと、治療しなくとも命に別条のない進行の遅いがんを見分けることができない。
さらに、誤診(過剰診断)の恐れもある。PSA値は前立腺がんでも上昇するが、前立腺肥大でも上昇する。
アメリカ人男性のうち前立腺がんと診断されるのは16%だが、その大部分は進行が遅く、死に至るのはわずか3%にすぎない。
PSA検査に要する年間費用は少なくとも30億ドル(約2700億円)、不確実な検査にこれだけの費用をつぎ込む必要はない。

<以下、記事の原文>
EACH year some 30 million American men undergo testing for prostate-specific antigen, an enzyme made by the prostate. Approved by the Food and Drug Administration in 1994, the P.S.A. test is the most commonly used tool for detecting prostate cancer.

The test’s popularity has led to a hugely expensive public health disaster. It’s an issue I am painfully familiar with ― I discovered P.S.A. in 1970. As Congress searches for ways to cut costs in our health care system, a significant savings could come from changing the way the antigen is used to screen for prostate cancer.

Americans spend an enormous amount testing for prostate cancer. The annual bill for P.S.A. screening is at least $3 billion, with much of it paid for by Medicare and the Veterans Administration.

Prostate cancer may get a lot of press, but consider the numbers: American men have a 16 percent lifetime chance of receiving a diagnosis of prostate cancer, but only a 3 percent chance of dying from it. That’s because the majority of prostate cancers grow slowly. In other words, men lucky enough to reach old age are much more likely to die with prostate cancer than to die of it.

Even then, the test is hardly more effective than a coin toss. As I’ve been trying to make clear for many years now, P.S.A. testing can’t detect prostate cancer and, more important, it can’t distinguish between the two types of prostate cancer ― the one that will kill you and the one that won’t.

Instead, the test simply reveals how much of the prostate antigen a man has in his blood. Infections, over-the-counter drugs like ibuprofen, and benign swelling of the prostate can all elevate a man’s P.S.A. levels, but none of these factors signals cancer. Men with low readings might still harbor dangerous cancers, while those with high readings might be completely healthy.

In approving the procedure, the Food and Drug Administration relied heavily on a study that showed testing could detect 3.8 percent of prostate cancers, which was a better rate than the standard method, a digital rectal exam.

Still, 3.8 percent is a small number. Nevertheless, especially in the early days of screening, men with a reading over four nanograms per milliliter were sent for painful prostate biopsies. If the biopsy showed any signs of cancer, the patient was almost always pushed into surgery, intensive radiation or other damaging treatments.

The medical community is slowly turning against P.S.A. screening. Last year, The New England Journal of Medicine published results from the two largest studies of the screening procedure, one in Europe and one in the United States. The results from the American study show that over a period of 7 to 10 years, screening did not reduce the death rate in men 55 and over.

The European study showed a small decline in death rates, but also found that 48 men would need to be treated to save one life. That’s 47 men who, in all likelihood, can no longer function sexually or stay out of the bathroom for long.

Numerous early screening proponents, including Thomas Stamey, a well-known Stanford University urologist, have come out against routine testing; last month, the American Cancer Society urged more caution in using the test. The American College of Preventive Medicine also concluded that there was insufficient evidence to recommend routine screening.

So why is it still used? Because drug companies continue peddling the tests and advocacy groups push “prostate cancer awareness” by encouraging men to get screened. Shamefully, the American Urological Association still recommends screening, while the National Cancer Institute is vague on the issue, stating that the evidence is unclear.

The federal panel empowered to evaluate cancer screening tests, the Preventive Services Task Force, recently recommended against P.S.A. screening for men aged 75 or older. But the group has still not made a recommendation either way for younger men.

Prostate-specific antigen testing does have a place. After treatment for prostate cancer, for instance, a rapidly rising score indicates a return of the disease. And men with a family history of prostate cancer should probably get tested regularly. If their score starts skyrocketing, it could mean cancer.

But these uses are limited. Testing should absolutely not be deployed to screen the entire population of men over the age of 50, the outcome pushed by those who stand to profit.

I never dreamed that my discovery four decades ago would lead to such a profit-driven public health disaster. The medical community must confront reality and stop the inappropriate use of P.S.A. screening. Doing so would save billions of dollars and rescue millions of men from unnecessary, debilitating treatments.

2010年2月25日木曜日

進行大腸癌ペプチドワクチン療法、フェーズ2臨床試験開始

進行大腸癌患者に対するペプチドワクチン療法のフェーズ1試験で、3種以上のペプチドに特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を示した場合、予後が良好であることが示された。
全生存率は治療開始から約半年間は低下するが、その後改善に向かい、生存期間中央値(MST)は12.3カ月だった。
第7回日本免疫治療学研究会学術集会(10/2/20) 硲彰一氏(山口大)

 硲氏らは、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔氏らと共同で、特異的能動免疫療法として大腸癌を中心とする癌ペプチドワクチン療法の研究を行ってきた。この研究では、日本人の約60%が有する白血球型抗原HLA-A*2402に対するペプチドから、3種の大腸癌特異的エピトープペプチド(KOC1、RNF43、TOMM34)と、2種の腫瘍新生血管特異的エピトープペプチド(VEGFR1、VEGFR2)を使用している。
 硲氏らは、FOLFIRI、FOLFOXに併用するベバシズマブまたはセツキシマブに代わる治療として、癌ペプチドワクチン療法を進行・再発性大腸癌のファーストライン治療として検討する多施設共同のフェーズ2試験を実施中である。
 フェーズ2試験では、対象全員にmFOLFOX6に併用してペプチドワクチン療法を行い、HLA-A*2402の患者とHLA-A*2402以外の患者を比較検討する予定。

2010年1月25日月曜日

前立腺癌対象にCabazitaxelの米国での段階的申請が開始

日経メディカルオンライン(2010-1-12)
 フランスSanofi aventis社は、このほど前立腺癌の第2選択薬としてタキサン系抗癌剤であるCabazitaxel (XRP-6258)の段階的承認申請を米国で既に開始していることを明らかにした。
Cabazitaxelは、米食品医薬品局(FDA)から段階的申請が可能になるファーストトラック審査の対象として認められていた。 Cabazitaxelは、フェーズ3臨床試験であるTROPIC試験で前立腺癌に対して、全生存率について統計学的に有意に優れることが示されたという。TROPIC試験の詳細は、3月にサンフランシスコで開催されるGenitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で発表される予定。
Cabazitaxelのわが国における開発については、現在評価中だという。

2010年1月20日水曜日

重度尿失禁の治療法

詳細は下記サイトを参照

がんナビ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/201001/100434.html

東北大泌尿器科教授の荒井陽一氏によれば
「男性の重度尿失禁治療のゴールドスタンダードは人工尿道括約筋の埋め込み術。
 海外では教科書にすら書かれているのに、日本では普及が遅れている。」

中~重度の尿失禁の原因としては、前立腺の全摘術が過半数を占め59%、
続いて神経因性膀胱が23%、前立腺肥大症手術が1割程度を占めていた。
前立腺がんの全摘術は年間約2万件が行われ、ほぼ全員に一時的な尿失禁が生じ、
そのうち1~3%程度に体操や薬物療法では治りきらない尿失禁が生じてしまう。

このような患者にの残された唯一と言っても良い治療法が人工尿道括約筋の埋め込み術。
ただし、この治療が可能な医療機関は限られている。

2010年1月18日月曜日

限局性前立腺癌の管理における前立腺全摘術と強度変調放射線治療の比較

PubMed 論文抄録 (海外癌医療情報: 2009-10-18)

大学医学部放射線治療学科(米国)背景と目的:限局性前立腺癌において、前立腺全摘術 (RP)または適応例にはホルモン療法を併用した72Gy以上照射の強度変調放射線治療(IMRT)により、生化学的無病生存率(BDFS)が改善するかどうかを検討した。

対象と方法:1997年から2005年に2箇所の専門医療センターでRP(204名)またはIMRT(352名)を受けた患者556例の連続標本について解析した。臨床病期、グリーソンスコア、治療前の前立腺特異抗原(PSA)に基づき、患者を予後グループに層別化した。アウトカム指標はBDFSとした。

結果:ベースラインでの病変の進展度は、IMRT例のほうが高かった(p<.001)。RPとIMRTの5年BDFSの差異は、予後良好群(92.8% vs. 85.3%, p=.20)、中間的予後群(86.7% vs. 82.2%, p=.46)では認められなかった。予後不良群においてはホルモン療法併用IMRTのほうがBDFS成績は良好であった(38.4% vs. 62.2%, p<.001)。全コホートにおいて交絡因子で補正したところ、グリーソンスコア(p<.001)と臨床病期(p<.001)からBDFSが予測されたが、治療法からはBDFSは予測されなかった(p=.06)。予後不良群では、治療法からBDFSが予測された(p=.006)。結論:RPとIMRTのBDFSは、予後良好群や中間的予後群については同程度である。予後不良群では、ホルモン療法を併用した72Gy以上照射のIMRT例のほうがBDFSは高いことを示している。PMID:19800702

平 栄(放射線腫瘍科) 訳

乳癌の遺伝子検査(Oncotype DX)

(日経メディカル記事 2010. 1. 14)

 タモキシフェンによるホルモン療法を受けた早期乳癌患者について、再発リスクと化学療法から得られるベネフィットを21種類の遺伝子から予測する遺伝子検査「Oncotype DX」は、術後補助療法を決定するうえで医師と患者に大きな影響を与えることが分かった。
米Loyola大学Health System MedicalのShelly S. Lo氏らによる試験の結果が、1月11日のJournal of Clinical Oncologyのオンライン版に掲載された。 

 Oncotype DXは米Genomic Health社が開発した検査で、切除した乳癌組織を検体として21種類の遺伝子の発現量を測定し、再発スコアを計算する。再発スコアは0~100で表し、値の高低で再発リスクの高さを予測する。スコアが低い女性に化学療法は推奨されない。
 2004年に米国でOncotype DXが商業化されてから、この検査を受けた乳癌患者は12万人を超える。検査の対象となるのはエストロゲン受容体陽性でリンパ節転移がない早期乳癌患者だ。毎年約10万人が、このタイプの乳癌と診断されている。

 今回の試験の対象はOncotype DXを受けた89人の乳癌患者。Loyola大学など4施設の医師17人が治療を担当した。
 医師らは28人の患者(31.5%)について治療の決定を変更した。このうち20人(22.5%)の患者の検査実施前の推奨治療は化学療法とホルモン療法の併用だったが、検査後にはホルモン療法単独に変更した。さらに患者24人(27%)が治療に対する決定を変え、うち9人は化学療法とホルモン療法の併用から化学療法をはずすことを希望した。

 「今回の結果から、この遺伝子検査が医師と患者による治療の決定に同時に影響を与えることが初めて示された」とLo氏は話した。 医師らは、この検査により患者68人(76%)において推奨した治療への信頼度が高まったと話した。
 一方、検査結果を受け取った患者は、自分たちが治療について決定したことへの葛藤と、自分たちが置かれた状況への不安が顕著に減少したと報告した。

 検査費用は日本円で約36万円かかるが、研究者らはこの検査により化学療法の支出を回避できる患者を選別でき、全体の費用削減につながる可能性があると説明している。

(森下 紀代美=医学ライター)

2010年1月11日月曜日

MDV3100

MDV3100は第二世代の経口抗アンドロゲン剤で、ビカルタミド(カソデックス)よりも優れた抑制作用を示し、ビカルタミド抵抗性癌にも効果が見られるという。現在、ドセタキセル(タキソテール)の治療歴を有するホルモン非感受性前立腺癌患者を対象とした、国際第Ⅲ相臨床試験が行われている。2009/10/28、アステラス製薬は米Medivation社とMDV3100の開発・商業化に関する契約を締結し、国内における開発ならびに臨床試験を検討中。

前立腺がん:ステージD1

(ひげの父さんの掲示板書込み:2010-1-10)
かなり進行した前立腺がんでも、ホルモン療法で共存をはかることもできれば、かなりの高齢者であれば、無治療のまま天寿をまっとうできることも珍しくはないのですが、比較的若い人の場合は、いつかホルモン療法に耐性が生じる日を恐れながら暮すよりは、「治せるものなら治してしまいたい」と思うほうが普通じゃないでしょうか。

こうした場合、治療法の選択しだいでその運命が大きく分かれるのは、5~6年前はステージCだったと思うのですが、今やそれがステージD1に移りつつあると感じています。ただし、ステージD1に対しては、ほとんど全ての泌尿器科医はホルモン療法を勧めるでしょうし、放射線治療医でもまだD1に対する積極的治療には否定的な見解のほうが多いはずです。

EBMに基づくデータが出そろうには、経過観察も含めれば5~6年はかかってしまうのが当たり前です。ガイドラインというのは、そうした時間を経て作成されるわけですし、それと同時に、特定の医療施設、特定の医師だけしかできない治療法じゃなく、多くの医療施設でも実施(再現)可能な治療法というのが重視されてもいるわけです。また、書かれていないことや、決められていない事項も当然たくさんあるわけです。

新しい治療法よりも標準治療を第一と考え、これに逸脱することや極端に遅れた治療法に警鐘をならすことは、格差是正や均てん化を図るという意味では非常に大事なことですが、ガイドラインに書かれていないやり方でも、治る可能性がわずかでもあるものなら、それに賭けてみようと思うのも、これまた当然でしょうし、そういうことも必要な自己決定の一つだと思うわけです。

海外では、こうした治療法も、治験(clinical trial)という形で、患者の選択肢として提供されているわけですが、日本では残念ながら、こうした情報は待っていても与えてもらうことはまずできません。なんとかしたいと思うなら、ガイドラインというのは法律ではありませんから、そうした道がまったく閉ざされているわけではありません。

開いている門はあるはずですが、そこまでの道案内がほとんどないのが実情です。むしろ、始めからそうした道案内をしてくれる医師に出合うことは稀だと思って、ここぞと思う医師や医療施設を、積極的に自分から訪ねていく姿勢が必要ではないでしょうか。
たとえそれがセカンドオピニオンであれ、サードオピニオンであったとしても。
始めからホルモン療法で良いということであれば、なにもこうした努力をする必要はないわけですから、それも含めて、自己決定が大事ということになるでしょうね。

2010年1月7日木曜日

がんペプチドワクチン療法

市民のためのがん治療の会「がん医療の今 No.12」より、
http://www.com-info.org/ima/ima_20091202_nakamura.html
東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター長 中村 祐輔 教授
(以下はその要約です。一部表現が原文と異なる部分もありますので、詳しくは上記サイトをご覧ください)

がんの免疫療法は期待されつつも、そのエビデンスが必ずしも十分でない状況が長く続いていましたが、ようやく、外科療法、化学療法、放射線療法に続く第4の治療法として、ワクチン免疫療法が科学的に実証可能な治療法として認識されつつあります。

  外科療法や放射線療法は、限局がんには有効な治療法ですが、転移・再発がん、あるいは、手術やその他の治療を受けたが目には見えないレベルで全身に広がり残っているがんに対しては、限界がある治療法です。
  全身病としてのがんに対しては、現在では、化学療法が唯一の科学的にその効果が実証された治療法として認められています。
 医療関係者の間では、免疫療法と言うだけで顔をしかめる人が多いのですが、 その効果が科学的に十分実証がされないまま、進行がん患者さんにとって、生きる望みをつなぐ副作用の少ない治療法として、高額な細胞免疫療法などが広がり、患者さんやその家族の生活を圧迫していることが、大きな反感を買っている理由でもあります。

 丸山ワクチンや蓮見ワクチン、あるいは、養子免疫細胞療法などが非特異的免疫療法であるのに対し、がんワクチン療法は特異的免疫療法として区別されます。
 いろいろな種類のリンパ球を選別せずに増やして免疫を高める方法を非特異的免疫療法、
がん細胞の目印となるような分子を認識してがん細胞をやっつけるリンパ球だけを増やす方法を特異的免疫療法と呼びます。

免疫の基本的仕組みは、自分自身と自分でないものを見極め外敵の侵入を防ぐことです。外敵は攻撃しても、自分自身に対して攻撃が起これば、われわれにとって不都合なことがたくさん起こるため、このような免疫反応が起こらないような仕組みが備わっています。 しかし、最近になって、自分のタンパク質であってもそれを攻撃する細胞(細胞障害性リンパ球=CTL)がわずかながら残っており、これをうまく活用すると、これまで自分自身の細胞と見分けのつかなかったがん細胞も攻撃できることが分かってきました。
がんには、それぞれに特異的なタンパク質が存在しますが、それが細胞内で分解され小さなペプチド断片となり、白血球型が一致すればHLA分子と結合して細胞の表面に浮上します。がん細胞の表面にだけ存在しているこうした目印を人工的に作り出し、これをうまく見つけて反応してくれる細胞障害性リンパ球(CTL)を多く増やして注射してやれば、がんを叩くことが出来るという考え方で、これをペプチドワクチン療法と呼んでいます。
 ワクチン療法で重要なもののひとつは、細胞障害性リンパ球(CTL)で、このうち、主にがん細胞だけに反応するCTLを増やすことを目的としてがんワクチンが利用されるようになってきています。
人工的に合成したがん細胞の目印=ペプチド(9個か10個のアミノ酸をつなげたもの)を用いると、以下のことを科学的に検証することができます。
 (1)ペプチドワクチンに反応して患者さんの血液中で特異的CTLが増えていること、
 (2)CTLががんの組織に浸潤していること、
 (3)ペプチドワクチン治療を受けた患者さんの体内で増えたペプチド特異的CTLが本当にがん細胞を死滅させることができるかどうか

まだ限られた症例数ですが、ワクチンに反応するリンパ球の増えている患者さんは、そうでない患者さんに比して生存期間が延長していることが確認されつつあります。ペプチドワクチン療法ががん治療の一翼を担う治療法としての評価を受けるには、まだまだ不十分ですが、日進月歩で変わりつつあると言えるでしょう。

 注:がんペプチドワクチンの臨床研究をおこなっている施設は次の通りです。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/nakamura/main/cancer_peptide_vaccine.pdf

2010年1月6日水曜日

がん患者の精子保存

『がん治療によって精子をつくる能力がなくなった後に子どもをつくる可能性を残すため、 治療前に患者の精子を採取し 凍結保存しているのは、全国の大学病院とがんセンターのうち27%にとどまる・・・中略・・・自施設で凍結保存しているのは24の大学病院で、がんセンターはゼロ。』(京都大泌尿器科による調査:共同通信)

前立腺がんの全摘手術の副作用として、尿失禁や性機能障害が語られることは良くありますが、「不妊症(男性)」については、正面から語られることは、我が国ではほとんどありません。
しかし、ACS(アメリカがん協会)などのHPを見ると、前立腺がんの手術の副作用として、「ED」とは別に「不妊症」という独立した項目があります。(「リンパ浮腫」についても、頻度は少ないと書かれてはいますが、これも独立した項目となっています。)
精嚢で作られた精子は精管を通って前立腺内で尿管と合流するわけですが、手術ではこの精管を切断してしまうので、要するに避妊による「パイプカット」と同じことをするわけですね。
したがって、もはや人為的なことをしない限り、自然には子供の父親となることはできないので、子供を望む場合には、精子バンクへの登録について医師と相談するように・・・という説明がきっちり書いてあります。
前立腺がんの場合は、確かに高齢者が多いため、そういう話は今更、という気がしないでもないのですが、そうした希望の多い少ないにかかわらず、(精子バンクの良し悪しも別として)、患者としては、こうした情報も事前にはっきり知っておく必要があると思うのです。
世の中には、五十を超えていても、2~30代の女性と結ばれるといううらやましい人も、少なからず居られるわけですから(笑)
精巣腫瘍となると、若年者が多いため、これはまた非常に切実な問題となってきます。
日本では精子保存なんてどうしているんだろうと思っていたところに、ちょうど前述の記事が目につきました。

米国のHPを見ていると、「患者のための情報」の提供が実に細やかですね。もっとご紹介したいのはやまやまですが、私の語学力では、解読にも時間がかかって、よほど暇じゃないと、そう簡単にはできそうにありません。
医療関係者に奮起してもらいたいところなんですが、こうしたことには皆さん、あまり興味がないようで(^^;;;