2014年7月26日土曜日

カバジタキセル(ジェブタナ)の用い方

7月10日(木)開催のメディアセミナー(主催:サノフィ株式会社)における要旨
(講師:横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学 准教授 上村 博司氏)

今年(2014年)承認された前立腺がんの治療薬は以下の3つ
・5月 エンザルタミド(イクスタンジ アンドロゲン受容体阻害薬) 発売済
・7月 アビラテロン (ザイティガ  アンドロゲン合成阻害薬)    未発売
・7月 カバジタキセル(ジェブタナ 化学療法剤  注射剤)      未発売

去勢抵抗性前立腺がんの標準治療であるドセタキセル無効後の治療選択として、実臨床ではまず経口薬であるアンドロゲン受容体標的薬2剤のどちらかを選択することが多いが、化学療法を優先すべき患者を見極めることも重要。

全身状態が良い(行動の自己管理ができ、貧血が軽度)のが前提であり、
経口ホルモン療法が効きにくい症例であること。
 1)転移部位が多く初期ホルモン療法の効果が短期間
 2)転移部位の症状が強くPSA上昇が速い
 3)肝臓・肺などに転移がある

先にアンドロゲン受容体標的薬による治療を行っている場合は、病勢の進行を見逃さず、適切なタイミングで治療を切り替えることが重要。

 1)最初から抵抗性を示す症例(プライマリーレジスタンス)
     ・・・治療開始から3ヵ月以内に画像上(CT・骨シンチ)で進行の有無を確認する!
 2)1年以内に無効となる部分的抵抗性症例
 3)1年半以上効果が継続する感受性症例

頻回なモニタリングが海外のガイドラインでも推奨されている。

2014年7月10日木曜日

カバジタキセル(ジェブタナ)承認

前立腺癌を対象とした抗がん剤「カバジタキセル(JEVTANA®)」の製造販売が、7月4日に承認されました。
カバジタキセルは細胞内の微小管に作用して細胞増殖を阻害するもので、ドセタキセル治療後の前立腺癌患者の全生存期間の延長を示すことが、海外で実施された第Ⅲ相臨床試験と国内での第Ⅰ相臨床試験結果で明らかになった。
海外で実施された第Ⅲ相臨床試験(TROPIC試験、NCT00417079)では、カバジタキセル群はミトキサントロン併用群に対し、全生存期間(OS)で2.4ヶ月(中央値)の有意な延長を示した。
カバジタキセルはドセタキセルと同じくタキサン系の抗がん剤で、2013年7月にサノフィが承認申請を行い、優先審査品目として審査されていたものですが、海外ではすでに85ヶ国で承認(2014年1月現在)されています。

「いのち」というのは「元気で長生き」が基本だと思うので、もしも副作用が辛くて「気力」がなくなるなら、2.4ヶ月という全生存期間の延長も、一概に喜べないと思うのですが、副作用の現れ方には個人差があるので、この薬の恩恵に授かる前立腺がん患者も少なからず居られるのではないでしょうか。

2014年7月4日金曜日

アビラテロン(ザイティガ)承認

2013年7月にヤンセンファーマ㈱より承認申請が出されていたアビラテロン(ザイティガ)ですが、本日(2014年7月4日)付で、去勢抵抗性前立腺がんの治療剤「ザイティガ®錠250mg(アビラテロン酢酸エステル)」として、製造販売承認を取得したというニュースが流れてきました。
使用のタイミングとしては「化学療法後」と明記されていないので、「化学療法前」でも使えるものと思われます。
アビラテロンはアンドロゲン合成酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示すCYP17阻害剤で、プレドニゾロンと併用し、通常は1日1回1,000mgを空腹時に経口投与する。
昔より承認が早くなったという声も聞きますが。
2014年1月現在、アビラテロンは世界87カ国で承認されているので、相変わらず薬の承認では後進国と言われてしかたがないでしょう。