「日経メディカルオンライン」2007. 7. 23 より引用
[リポート]ASCO 2007 [07 Summer]
患者の局所前立腺がんの治療法選択において、最初にコンタクトした医師の専門分野が大きな影響を及ぼしていることが、米国立がん研究所(NCI)サーベイランス・疫学・最終結果プログラムのデータ分析で明らかになった。
局所前立腺がんの治療オプションとしては、前立腺切除術、放射線療法、ホルモン療法、待機管理(watchful waiting)があり、治療効果とともにそれぞれに有害作用をもたらすリスクが存在する。
研究では、1994~2002年の間に局所前立腺がんと診断された65歳以上の男性8万5088例のデータを解析した結果、医師の専門性と患者の治療法選択の間に強い相関のあることが明らかになった。
65~69歳の男性では、泌尿器科医に診断評価された場合には70%が前立腺切除術を選択、75歳以上では泌尿器科医のみに評価された場合には、83(75~79歳)~97%(80歳以上)が待機管理かホルモン療法を選択していた。
これに対して、年齢に関係なく全男性において、泌尿器科医と放射線腫瘍専門医の両方に評価されたケースでは、放射線療法の選択頻度が高く、65~69歳で78%、70歳以上85%であった。泌尿器科医と臨床腫瘍医の両方に評価されたケースでは、また異なる傾向が認められた。
前立腺がん患者の大部分は、最初に泌尿器科医に診察を受けるケースが多いが、報告者の米Memorial SloanKettering Cancer Center(ニューヨーク)泌尿器科のThomas L. Jang氏は「現状では、どのような患者が泌尿器科医にかかるべきか確立されたガイドラインはない。しかし今回の知見からは、前立腺患者は特定の治療法を選択する前に、あらゆる情報にアクセルすることが好ましいことが示唆される」と述べている。「早期前立腺がん治療の優位性は確立しておらず、患者は最初に医相談した医師の勧めに従いやすい。患者は、バイアスのかかっていない、バランスのとれた治療オプションを選択することが重要」としている。