(NCI Cancer Bulletin 2009/5/5)
先週シカゴで行われた米国泌尿器科学会年次総会において、転移性前立腺癌の男性で、研究中の免疫療法を受けた場合はプラセボ投与に比べ全生存期間が約4カ月延長したことが報告された。これは、sipuleucel-T(Provenge〔プロベンジ〕)の第3相ランダム化二重盲検試験であるIMPACT試験の結果に基づいたものである。Sipuleucel-Tとは患者の血中から抗原提示細胞を分離し、腫瘍特異的な免疫反応を活性化させ、再度患者に注入する免疫療法である。試験に参加した500人以上の患者は無症候性あるいはわずかな症状のみの転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌であった。免疫療法群では、sipuleucel-Tが1カ月に3回に分けて投与され、生存期間の中央値はプラセボ群に比べて22.5%改善した(25.8カ月対21.7カ月)。Sipuleucel-Tのより早期の2つの試験でもそうであったように、無増悪生存期間、つまり腫瘍の増殖が認められない状態で生存できる期間については、統計的に有意な改善はみられなかった。試験の主導者のひとりである、南カリフォルニア大学のDr. David Penson氏によると、有害事象は軽度でわずかであるという。Sipuleucel-T投与の翌日に最も多く見られた事象としては、発熱、悪寒および頭痛があったが、これらの副作用は通常1~2日で解消した。全体として、免疫療法群では患者の約99%が3度の投与をすべて受けた。
生存期間に関するデータは、特に年齢、治療前PSA値、および骨転移の程度などによるサブグループ分析のすべてにおいて「極めて一貫していた」とPenson氏は説明している。「これは非常に心強い結果である」と彼は言う。