ホルモン療法やドセタキセルベースの化学療法に耐性をもつに至った転移性の進行前立腺癌患者は、次に打つ手に困るわけですが、
新しいタキサン系抗癌剤Cabazitaxel が、良好な結果を示すことが明らかになりました。(ASCO GU2010)
第Ⅲ層の治験では、患者は無作為に次の2群に振り分けられました。
A群:Cabazitaxelとプレドニゾンを投与される群(:378人)
B群:ミトキサントロンとプレドニゾンを投与される群(:377人)
A群 B群
全生存期間中央値 15.1カ月 12.7カ月 → これは死亡率30%低減に該当する
無増悪生存期間中央値 2.8カ月 1.4カ月
奏効率、PSA反応 ◎ ○
(grade3、4の副作用)
好中球減少 81.7% 51.0%
発熱性好中球減少症 7.5% 1.3%
デューク大学医学部准教授で、総合がんセンター泌尿器外科のDr. Daniel George氏はこう述べています。
「ドセタキセルによる一次治療が効かなくなった患者に対し、一定の有効性と適切な忍容性が得られたのは有望な結果です。一次治療の反応が良かった患者は、二次、三次治療でも好反応を示す傾向にある。
進行前立腺癌の患者にとってはドセタキセルが最後の砦ではなく、Cabazitaxelによって生存期間を延長できることが立証された。癌治療における進歩が常に緩やかであることを考えると、今回の試験は、2004年に進行前立腺癌治療でのドセタキセルの有効性を示した成果に匹敵するだろう」
サノフィ・アヴェンティス社(フランス)は、二次治療薬として本剤の承認申請をFDA(米国食品医薬品局)に対して行っている。cabazitaxelは進行前立腺がんの二次治療において、FDAの承認を受ける初めての薬剤となりそうだ。
(以下蛇足)
日経メディカルでも紹介されていた記事は、内容がわかりにくく、海外癌医療情報なども参照したところ、けっこう重要なニュースのように思えてきました。
ここまでくれば実現性も高いですね。
このたびは私が理解できる範囲で、できるだけ簡潔明瞭に紹介してみました。
ただ、ドセタキセルが米国で承認(2004)されてから、日本で使われるまでには4年以上を要していますし、
医師が使いこなせるまでには、さらに数年かかるのが実情のようです。
いつも残念に思うのですが、我々が新薬の恩恵を被るまでの道のりは、近いように見えても実はうんと遠いんですね。