2010年10月13日水曜日

骨転移を促す遺伝子を特定

NHKニュース 2010年10月11日
がんが骨に転移する「骨転移」を促すとみられる遺伝子を特定し、その働きを抑えて実際に骨転移を防ぐことに、慶応大学のグループがマウスを使った実験で成功しました。骨転移を予防する薬の開発につながる可能性があると注目されています。
がんが骨に転移する骨転移は、骨折や強い痛みを引き起こし、がんを治療するうえで大きな障害となります。このため、慶応大学先端医科学研究所のグループは、骨転移を起こしやすい乳がんや前立腺がんなどのがん細胞で、骨の病気に関係する50の遺伝子がどのように働いているか詳しく調べました。その結果、「FRP」という遺伝子の働きが異常に高まっていることがわかったということです。さらに、FRPにくっついて働きを抑える物質を作り、ヒトのがん細胞を移植したマウスに投与したところ、ほとんど骨転移が起こらないことを確認したとしています。このマウスではリンパ球など免疫を担う細胞が活発になっていたということで、研究グループでは、FRPが免疫の機能を抑え骨転移を促しているのではないかとしています。研究グループの工藤千恵講師は「FRPの働きを抑える薬を開発すれば、骨転移を予防できる可能性がある。治療に使えるよう研究を進めたい」と話しています。