<第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO) Johann de Bono氏(英)の発表>
フェーズ3の無作為化試験の結果、 化学療法(ドセタキセル)が無効となったホルモン抵抗性の転移性前立腺癌患者に対し、
酢酸アビラテロンの投与が、全生存期間(OS)を延長することが認められた。
酢酸アビラテロンは、CYP17を選択的に遮断し、アンドロゲン合成(persistent androgen synthesis;PAS)を強力かつ持続的に阻害する。
試験対象は、13カ国の147施設から参加した、ドセタキセルベースの化学療法の治療歴がある去勢抵抗性の転移性前立腺がん患者1195人。
まずは被験者を次の2群に分けた。
AA群 :酢酸アビラテロン(経口)を1日1回1000mg、プレドニゾン5mgを1日2回投与する群(797人)
プラセボ群:プラセボとプレドニゾンを投与する群(398人)
治療前の病状は次の通り。
PSA中央値、 骨転移、 リンパ節転移、 肺転移、 肝転移
AA群 :128.8ng/mL、 89.2%、 45.4%、 13.0%、 11.3%
プラセボ群:137.7ng/mL、 90.4%、 41.5%、 11.4%、 7.6%
主要評価項目は全生存期間:OS、副次的評価項目はPSAが上昇するまでの期間:TTPP、rPFS、PSA値における奏効率とした。
その結果を示すとこのようになる。
OS、 TTPP、 rPFS、 PSA奏功率
AA群 :14.8ヵ月 10.2ヵ月 5.6ヵ月 38.0%
プラセボ群:10.9ヵ月 6.6ヵ月 3.6ヵ月 10.1%
全グレードの有害事象はAA群で98.9%、プラセボ群で99%に発現し、グレード3以上の有害事象は54.5%と58.4%だった。
グレード3以上の有害事象による治療中止は、AA群10.5%、プラセボ群13.5%となった。有害事象による死亡は、AA群11.6%、プラセボ群14.7%だった。
AA群で多く観察された有害事象は、体液貯留、低カリウム血症、肝機能異常、高血圧であったが、グレード3以上はいずれも5%未満だった。
参考:http://higepapa.blogspot.com/2009/03/abiraterone.html
出典:日経メディカル