2014年4月15日火曜日

抗がん剤に思う

抗がん剤については、私はまだまだ悟りを開いておらず、あれこれ迷う事も多いのが現状です。
近藤先生のようにほぼ一律に否定するような気にはなれないし、前立腺がんに限ってみれば、ドセタキセルの延命効果もほんのわずかなので、被るダメ―ジと比較すれば、それほどありがたみもなさそうに思えるのですが、人によっては、たとえ寝た切りであろうと、数ヵ月でも長く生きられるほうを選びたいという人もおられるやも知れません。
1~3ヵ月という時間の長さをしっかり頭に入れた上で、それを「せいぜい」と思うのか「貴重」と思うのか、それぞれの価値観に照らしながら個別に考えるしかないのではと思っています。
がん全体を見渡した場合には、血液がんや固形がんのいくつかの種類においては、かなり良好な結果や、延命が期待できるものもあるのは事実です。
副作用の違いは人によって差が大きいことを考えると、抗がん剤に耐えれない人もおられれば、抗がん剤のベネフィットがリスクに優る人もおられるはずです。最近の分子標的薬では、副作用からの解放は読み通りには行かないようですが、抗がん剤=「毒薬」とばかりも言えなくなりつつあるのも確かなようです。

これまで、効かないと思われていた薬が「ある特定の遺伝子に特徴のあるグループでは思いのほか良く効く」ということが判明するようなケースも出てきました。
治験でトーナメントに勝ち残った薬がエビデンスのある薬だとされていますが、これはどこかに落とし穴がある考え方ではないかと思っています。
トーナメントで敗者となった薬も、適合グループを特定できなかっただけではないのか・・・もし、そのようなマッチングをうまく見つけることができるなら、我々はもっと抗がん剤の恩恵を被ることもできるのではないか・・・漠然とそんなことも考えています。

人間と抗がん剤との適合の妙が少しずつ見えてきて、効く人、効かない人の見分け方がわかって来ると、抗がん剤のイメージももう少し変わって行くように思うのですが、ことによるとまだまだこれから数十年、あるいは百年以上という長いスパンが必要なのかも知れません。
だったら無駄や、と言いきるのも一つの見解ですが、それなりの限界を知りつつ、わずかでも現在得られる恩恵にさずかろうというのも、患者の姿勢としてはむしろ自然ではないかと思っています。