米国Preventive Services Task Force(USPSTF)は、75歳以上の男性には、PSA(前立腺特異抗原)検査による前立腺癌検診を行わないように推奨する新しいガイドラインを発表した。同ガイドラインでは、75歳未満の男性においても、PSA検査による弊害が有効性に勝るという十分なデータがないとしている。
このガイドラインは、Annals of Internal Medicine誌の8月5日号に掲載された。同ガイドラインによると、75歳以上の男性もしくは予想される余命が10年以下の場合には、前立腺癌検診で 発見された癌を治療することで得られる利益は少なく、検査陽性時に行う生検などで生じる不利益に勝らないとした。そのため、75歳以上の男性に対しては、 PSAを用いた前立腺癌検診は行わないよう推奨するとしている。
また、75歳未満の場合でも、前立腺癌検診で得られる利益に関する十分な科学的データがなく、生検などで生じる不利益に勝るかどうかの判断を行うことができないとした。そのため、75歳未満についても、PSA検査による前立腺癌検診の有効性を判断していない。
日本においても、PSA検査による前立腺癌検診を巡って、厚生労働省と泌尿器科学会が対立している。今回米国で発表された新しいガイドラインは、日本におけるPSA検査のあり方にも影響を及ぼしそうだ。