2008年8月8日金曜日

前立腺癌にabirateroneが顕著な結果

前立腺癌の新薬abirateroneの著しい結果が英国他で期待を集めている。
Abiraterone(アビラテロン)はテストステロンを阻害する薬剤で、最新の第2相試験では、前立腺癌のマーカーであるPSA値を半分に下げ、治療後増殖していた腫瘍をも縮小させた。

この発表は7月8日の欧州癌学会(ESMO)年 次総会で報告されたもので、Institute of Cancer ResearchおよびInstitute and The Royal Marsden NHS Foundation Trustによる進行前立腺癌対象の2つの第2相試験からの結果である。両試験でabirateroneは患者のPSA値を50%低下させた。

両試験では、テストステロンの生成を抑えるため精巣を摘出していた参加者全員がabiraterone1,000ミリ/日を受けた。
1つの試験は、化学療法を受けていない患者が対象とされた。34人のうち22人で2ヵ月後にPSA値が50%低下、一部の患者で腫瘍縮小が認められた。も う1つの試験では、標準であるドセタキセル化学療法にも進行した患者28人にabirateroneを投与した結果、10人で50%以上のPSA減少が 3ヶ月以上進んだ。大きな副作用は報告されていない。
男性ホルモンは主に精巣で生成されるが、副腎やほかの場所でも作られる。これらのホルモンが前立腺癌を促進するため、まず、精巣でのテストステロン生成を 阻害する治療が行われるが、精巣以外で作られるホルモンに対して有効でなかった。Abirateroneはその他の場所で男性ホルモンを作る際に必要な酵 素を標的にしている点でこれまでの治療と異なっている。

研究者らは、この結果はあらゆる治療が効かなくなった前立腺がん患者にとって大きな前進となるであろうこと、および、この薬剤はこれまで治療不可能とされ た患者にとってきわめて有望であると述べている。しかし、この結果は初期段階であり、極端な期待はしないようにとの勧告も出された。同薬は2011年ごろ 利用可能となる見込みとのこと。
原文記事Cancer Research UK