ヒト上皮増殖因子受容体-2(HER2)および上皮増殖因子受容体(EGFR)発現は前立腺癌の進行に関連することが知られている。限局性前立腺癌に対し根治的前立腺摘出術ならびに両側リンパ節切除術を施行した患者227例の術前の血漿HER2およびEGFR値を市販のELISAにより測定した。術前血漿EGFRおよびHER2の中央値はそれぞれ31.4ng/mL(4分位範囲19.2ng/mL)および10.0ng/mL(2.7ng/mL)であった。精嚢浸潤のみられた患者ではHER2が上昇していた(p=0.033)。標準的な術前予測因子で補正した個別多変量解析では、EGFRの低値、HERの高値およびHER2/EGFR比の高値がPSA増悪と関連していた(それぞれp=0.003、p<0.001およびp<0.001)。標準的な術後予測因子で補正した個別多変量解析では、EGFRの低値およびHER2/EGFR比の高値がPSA増悪と関連していた(それぞれp=0.027およびp<0.001)。PSA増悪のみられた患者ではHER2が有意に高値(p=0.023)、EGFRが低値(p=0.04)であり、侵襲性癌の特徴(転移の発症、PSA倍加時間<10か月または局所救済放射線療法無効)を示した。
根治的前立腺摘出術前の血漿HER2およびEHFR値は術後の前立腺癌の進行に関連しており、長期の無再発生存期間および早期転移の予測ツールになりうると考えられた。
↓ 原文
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=AbstractPlus&list_uids=17875766