(ウォール・ストリート・ジャーナル8/29 を参照)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323779204579044262457153946.html
米国には陽子線治療施設が11カ所あり、現在計画中の施設はさらにそれを上回るという。
そんな背景の中、米国では最近になって、主要保険会社のうち少なくとも3社が、早期前立腺がんを対象とした陽子線治療を、保険の適用外であるという判断を下した。
ただし、最も影響力のある保険制度、メディケアは、まだ陽子線治療に対する支払いを続けている。
陽子線治療の擁護者は、この治療法はより高い精度で腫瘍に対処するため、副作用は減ると主張し、保険適用から外すという判断は、コストへの過剰な警戒感に基づく短絡的な考え方だと主張している。
一方、この治療法は、小児がんや脳腫瘍、眼腫瘍、膀胱腫瘍、脊髄腫瘍など、比較的まれな腫瘍にも用いられており、こうした利用法においては、波紋はあまり見られていない。
陽子線治療を、IMRTなどの標準的な治療法と比較した場合、陽子線治療のほうが効果が上回るという証拠はそれほど得られておらず、陽子線治療は有効な治療法の一つではあるものの、比較対象となる他の放射線治療に比べて、その費用が高く、コストパフォーマンスという点では大幅に劣ることは間違いない。
我国では、陽子線治療は、現在「先進医療」という扱いを受けており、保険が効かないわけですが、この治療を受けた前立腺がん患者の間では、陽子線治療の保険適用を望む声もあるようです。
でも、これは税金の無駄使いと言われても仕方がないと思っています。
標準治療である他の放射線治療と比べて、その効果や副作用に変わりがなく、うんと高価なわけですから、陽子線治療を選ぶ必然性に乏しいわけで、国民全体の医療費負担を考えても、前立腺がん患者への保健適用は、甘やかしと言われても弁解の余地はありません。このまま「先進医療」という形が続いても、止むを得ないのではないでしょうか。
ただし、がん種によっては、陽子線治療のほうが優れていると思われるものがあることも確かなので、こうしたがん種に対する健康保険の適用の話が持ち上がれば、喜んでご協力したいと考えています。