2013年10月1日火曜日

間欠的ホルモン療法について

ホルモン療法に感受性のある転移、再発がんに対しては、通常持続的ホルモン療法が行われることが多いが、「間欠的ホルモン療法」でも、はたして同等の効果が得られるのか。
2005年に「前立腺癌の間欠的内分泌療法」(赤倉功一郎)が出版されて以来、これまでに、いくつかの研究発表がなされてきた。

2009年
泌尿器の専門雑誌「Urology View」 Vol.7 での報告によると、千葉医療センターのグループが、千葉前立腺研究会の臨床研究を基に次のような結果を発表している。
75ヶ月経過時点のPSA非再燃率は、間欠投与85%に対し、持続投与60%となり、間欠療法のほうが、PSA再燃を遅延させることが判った。

2012年
ASCOでの発表によると、転移がんの前立腺患者約3000人を登録。導入時ホルモン療法(MAB療法7カ月)で、PSAが4以下となったケースの中から、1500人を、持続ホルモン療法群(ADT)と間欠ホルモン療法群(IAD)に、ランダム(約半々)に振分けた。
間欠ホルモン療法では、PSA=20でホルモン療法開始、7カ月以降にPSAが正常化したらホルモン療法を休止し観察に移行する。
結論として、広範転移型では間欠療法が優位となったが、狭小転移型では逆に持続ホルモン療法が優位、総合的には間欠療法の非劣勢は認められないということになった。

2013年
European urology誌のオンライン版、5月に掲載された記事によると、間欠的アンドロゲン除去療法が、従来の持続的アンドロゲン除去療法と比べて劣っていないという分析結果が出た。
4675人の参加者の成績を検証したところ、40カ月から108カ月の追跡で、間欠投与法(IAD群)は従来の持続投与法(ADT群)と、全生存率において同等であることが分かった。QOLはホルモン療法の休止に伴って向上していた。
これは、2012年のASCOでの発表より調査の対象数が多く、信頼性もある。

副作用の軽減に伴う休止期間中のQOLの回復と維持、医療費の軽減(削減)などを考えると、間欠ホルモン療法の魅力は大きい。
適応症例、治療薬剤の選択、投薬(休止)期間の目安、再燃の判定など、判断が難しいことも多いと思われるが、今後は、持続ホルモン療法(ADT)よりも間欠ホルモン療法(IAD)を優先する方向に進むことを期待したい。