2010年1月6日水曜日

がん患者の精子保存

『がん治療によって精子をつくる能力がなくなった後に子どもをつくる可能性を残すため、 治療前に患者の精子を採取し 凍結保存しているのは、全国の大学病院とがんセンターのうち27%にとどまる・・・中略・・・自施設で凍結保存しているのは24の大学病院で、がんセンターはゼロ。』(京都大泌尿器科による調査:共同通信)

前立腺がんの全摘手術の副作用として、尿失禁や性機能障害が語られることは良くありますが、「不妊症(男性)」については、正面から語られることは、我が国ではほとんどありません。
しかし、ACS(アメリカがん協会)などのHPを見ると、前立腺がんの手術の副作用として、「ED」とは別に「不妊症」という独立した項目があります。(「リンパ浮腫」についても、頻度は少ないと書かれてはいますが、これも独立した項目となっています。)
精嚢で作られた精子は精管を通って前立腺内で尿管と合流するわけですが、手術ではこの精管を切断してしまうので、要するに避妊による「パイプカット」と同じことをするわけですね。
したがって、もはや人為的なことをしない限り、自然には子供の父親となることはできないので、子供を望む場合には、精子バンクへの登録について医師と相談するように・・・という説明がきっちり書いてあります。
前立腺がんの場合は、確かに高齢者が多いため、そういう話は今更、という気がしないでもないのですが、そうした希望の多い少ないにかかわらず、(精子バンクの良し悪しも別として)、患者としては、こうした情報も事前にはっきり知っておく必要があると思うのです。
世の中には、五十を超えていても、2~30代の女性と結ばれるといううらやましい人も、少なからず居られるわけですから(笑)
精巣腫瘍となると、若年者が多いため、これはまた非常に切実な問題となってきます。
日本では精子保存なんてどうしているんだろうと思っていたところに、ちょうど前述の記事が目につきました。

米国のHPを見ていると、「患者のための情報」の提供が実に細やかですね。もっとご紹介したいのはやまやまですが、私の語学力では、解読にも時間がかかって、よほど暇じゃないと、そう簡単にはできそうにありません。
医療関係者に奮起してもらいたいところなんですが、こうしたことには皆さん、あまり興味がないようで(^^;;;