米国心臓協会(AHA)、米国癌協会(ACS)、米国泌尿器科学会(AUA)の専門家グループが、アンドロゲン除去療法(ADT)によって心臓発作や心臓死のリスクが高まるとの警告を発した。
医学誌「Circulation(循環器)」オンライン版に2月1日掲載された今回の勧告では、ADTが血清リポ蛋白やインスリン感受性、肥満など従来の心血管リスクファクターに悪影響を及ぼすことを示す十分なデータがあるという。
前立腺癌を有する男性患者全体の約3分の1がADTを受けるが、欧州で実施された2件、米国で実施された4件の研究で、心血管障害の発症が増大することが示されているという。
Brawley氏は「PSA値が上昇し始めてはいるものの、癌進行の他の徴候や症状はみられない場合など、一部の症例ではADTを用いるべきかどうかについては議論があった。ADTは治療には有用であるが、慎重に用いるべきである」という。
米テキサス大学泌尿器科教授のArthur Sagalowsky博士も「心臓障害のリスクは、前立腺癌治療で議論が必要な多くの問題の1つとするべきであり、アンドロゲン除去療法の開始を決定する際に、前立腺癌患者に提示する情報内容に追加すべきものである」と述べている。