胆道がん(胆嚢を含む)は欧米では非常にまれだが日本ではさほど珍しくはない。治療法としては手術が中心で、日本の胆道がんの手術成績は世界でもトップクラスにある。5年生存率は進行度(ステージ)に比例する。1988~1997の国内4770人のデータ分析によるとステージ1:77%、ステージ2:60%、ステージ3:29%、ステージ4a:12%、ステージ4b:3%、近傍のリンパ節転移だとステージ2でしょうか?この時のデータ分析では術後補助化学療法(5FU、UFT、アドリアマイシン等)では予後の改善はみられなかった。ただし、ここ1~2年で胆道がんへ適応が拡大された新しい治療薬が登場し、ゲムシタビン(商品名「ジェムザール」)とS-1(経口5-FU系抗がん剤:商品名「TS-1」)、においては、予後の向上が期待されている。近年は放射線治療(IMRT等の外部照射、術中照射、腔内照射)も可能となっているが・・・放射線治療医でなければこれを否定する人も多い・・・リンパ節転移がある場合は根治的照射とはならないでしょう。
膵がんでは「放射線+化学療法」よりもゲムシタビン単独のほうが良い効果を上げている。ゲムシタビン(ジェムザール)との組み合わせで効果が期待できそうなのはカペシタピン(ゼローダ)と エルロチニブ(タルセバ)だけ。5Fu、ペメトレキセド、イリノテカン、シスプラチン、オキサリプラチン等は効果なし。ただし、胆道がんでのデータはない。
2008年6月4日水曜日
米国がん治療学会(ASCO)の報告-3
(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 鈴木啓悦Dr)
MAB療法が進行前立腺がん患者の生存率を改善することはすでに報告されている。LH-RHアゴニスト(ゴセレリンorリュープロレリン)と、非ステロイド系抗男性ホルモン剤(フルタミドorビカルタミド)を併用する「MAB療法」継続中にがんが再燃し、アンドロゲン非依存性がん症例を示した場合、抗男性ホルモン剤を中断しアンチアンドロゲン除去症候群を見極めたうえで(PSA値が50%以上低下することを確認)、抗男性ホルモン剤を別種のものと交換する・・・いわゆるアンチアンドロゲン交替療法を施行と、約60%は再びホルモンに対する感受性を示し、がん特異的生存期間が有意に延長された。別種の抗男性ホルモンを用いた2次MAB療法への反応が生存期間を延長する最も重要な因子の1つとなる。2次MAB療法に反応しなかった症例はホルモン非依存性のがんであり、ドセタキセルを含む化学療法等の新規治療法を早期に開始する必要がある。(病期C,Dの前立腺がん症例232例の内、1次MAB療法に対する反応はPSAが4以下に下がったのが175例(75%)残りは全てPSAが50%以下となった。)
MAB療法が進行前立腺がん患者の生存率を改善することはすでに報告されている。LH-RHアゴニスト(ゴセレリンorリュープロレリン)と、非ステロイド系抗男性ホルモン剤(フルタミドorビカルタミド)を併用する「MAB療法」継続中にがんが再燃し、アンドロゲン非依存性がん症例を示した場合、抗男性ホルモン剤を中断しアンチアンドロゲン除去症候群を見極めたうえで(PSA値が50%以上低下することを確認)、抗男性ホルモン剤を別種のものと交換する・・・いわゆるアンチアンドロゲン交替療法を施行と、約60%は再びホルモンに対する感受性を示し、がん特異的生存期間が有意に延長された。別種の抗男性ホルモンを用いた2次MAB療法への反応が生存期間を延長する最も重要な因子の1つとなる。2次MAB療法に反応しなかった症例はホルモン非依存性のがんであり、ドセタキセルを含む化学療法等の新規治療法を早期に開始する必要がある。(病期C,Dの前立腺がん症例232例の内、1次MAB療法に対する反応はPSAが4以下に下がったのが175例(75%)残りは全てPSAが50%以下となった。)
2008年6月3日火曜日
米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表-2
表在性膀胱癌患者の再発予防には、膀胱内へのゲムシタビン投与の方がマイトマイシンを投与するよりも効果が高く、安全性は同等であることが明らかとなった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506654.html
スニチニブ(転移性腎細胞がんに適応)
マルチキナーゼ阻害剤スニチニブは、転移性腎細胞癌に対して、既に無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)でインターフェロン(IFN)αを上回ることが示されていたが、全生存期間(OS)でも上回ることが明らかとなった。これでスニチニブは転移性腎細胞癌のファーストライン薬としての地位が明確となった。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506657.html
米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表
米国臨床腫瘍学会(ASCO)における発表
2008年4月25日金曜日
再燃前立腺がんのホルモン(化学)療法について
【A】 【B】
LH-RH単剤 MAB(LH-RH・抗男性ホルモン)
↓ ↓
抗男性ホルモン 抗男性ホルモン中止
↓ ↓
→ 別種抗男性ホルモン ←
↓
女性ホルモン剤
↓
ステロイドホルモン剤
↓
抗がん剤
・LH-RH: リュープリン ◎
ゾラデックス ◎
・抗男性ホルモン:非ステロイド系 カソデックス ◎
非ステロイド系 オダイン 〇(肝機能障害がカソより大)
ステロイド系 プロスタール 〇(効果が非ステロイドより弱)
間歇療法も有用(評価未定だが良の報告多し、少なくとも害はない)
・女性ホルモン系低容量抗がん剤:
エストラサイト・・・血栓注意(肺塞栓・脳梗塞・脳血栓・心筋梗塞) △
(効果がなくなれば一旦中止→再使用すれば再度効果復活)
・ステロイド剤 :デカドロン 〇
プレドニン 〇
・抗がん剤 :タキソテール(プレドニゾン併用) 〇
・骨転移の発現と進行を抑える:ゾメタ 〇
・骨転移の予防照射:頸椎や胸椎などの主要支持部を予防的照射も効果あり
・骨転移の疼痛除去:緩和照射(放射線療法) 〇
”8gy x 1回”で有効かつ安全
骨痛はオピオイドが効かない場合も多い
・多発転移:メタストロン注(Sr-89) 〇
LH-RH単剤 MAB(LH-RH・抗男性ホルモン)
↓ ↓
抗男性ホルモン 抗男性ホルモン中止
↓ ↓
→ 別種抗男性ホルモン ←
↓
女性ホルモン剤
↓
ステロイドホルモン剤
↓
抗がん剤
・LH-RH: リュープリン ◎
ゾラデックス ◎
・抗男性ホルモン:非ステロイド系 カソデックス ◎
非ステロイド系 オダイン 〇(肝機能障害がカソより大)
ステロイド系 プロスタール 〇(効果が非ステロイドより弱)
間歇療法も有用(評価未定だが良の報告多し、少なくとも害はない)
・女性ホルモン系低容量抗がん剤:
エストラサイト・・・血栓注意(肺塞栓・脳梗塞・脳血栓・心筋梗塞) △
(効果がなくなれば一旦中止→再使用すれば再度効果復活)
・ステロイド剤 :デカドロン 〇
プレドニン 〇
・抗がん剤 :タキソテール(プレドニゾン併用) 〇
・骨転移の発現と進行を抑える:ゾメタ 〇
・骨転移の予防照射:頸椎や胸椎などの主要支持部を予防的照射も効果あり
・骨転移の疼痛除去:緩和照射(放射線療法) 〇
”8gy x 1回”で有効かつ安全
骨痛はオピオイドが効かない場合も多い
・多発転移:メタストロン注(Sr-89) 〇
2008年4月2日水曜日
骨転移の痛み緩和:1回照射(8Gy)が分割照射と同等
骨転移の痛み緩和目的の外部照射は、これまでわが国では
通常30Gy/3Gy・10回、24Gy/4Gy・6回、20Gy/4Gy・5回などの分割照射として行なわれて来たが、
欧米ではすでに、病的骨折や他の病的疼痛がない有痛性骨転移に対して、
複数の大規模比較試験の結果、分割照射と8Gy・1回照射の同等性が証明されている。
このたび、日本でも多施設共同前向き試験JAROGO201の結果これが追認され、
日本臨床腫瘍学会(2008/3)で発表された。
8Gy・1回照射による骨転移の痛み緩和が治療選択肢の1つとなると、
患者の肉体的・時間的負担の緩和、医療コストの節約に繋がることが期待される。
通常30Gy/3Gy・10回、24Gy/4Gy・6回、20Gy/4Gy・5回などの分割照射として行なわれて来たが、
欧米ではすでに、病的骨折や他の病的疼痛がない有痛性骨転移に対して、
複数の大規模比較試験の結果、分割照射と8Gy・1回照射の同等性が証明されている。
このたび、日本でも多施設共同前向き試験JAROGO201の結果これが追認され、
日本臨床腫瘍学会(2008/3)で発表された。
8Gy・1回照射による骨転移の痛み緩和が治療選択肢の1つとなると、
患者の肉体的・時間的負担の緩和、医療コストの節約に繋がることが期待される。
GVAX:前立腺がん免疫療法ワクチン
武田薬品工業は、GVAX免疫療法ワクチンについてCell Genesys社と独占開発販売契約締結を発表した。
同ワクチンは、FDA(米食品医薬品局)の優先審査対象に指定されており、
現在、進行性前立腺がん患者を対象とした2つのフェーズ3臨床試験を実施中。
1つは2009年後半に最終結果が得られる見通しで、他の1つは2009年前半に患者登録が終了する見込み。
GVAX前立腺がんワクチンは、2種類のヒト前立腺腫瘍細胞株を、
遺伝子操作によって人体内での増殖能力をなくした上で、患者の免疫システムを活性化させるもの。
武田はこの契約に一時金として5000万ドル、日米欧の開発・販売の進捗状況に合わせ最大2億7000万ドルを支払う。
さらに、フェーズ3臨床試験を含む今後の開発および上市後の販売に関する費用を全額負担し、
売上額に基づくロイヤルティも別に支払う。
GVAXワクチンの効果が良好というのは前立腺がん以外の肺がんやすい臓がん等でも耳にします。
適応はもっと増えるかもしれません。
我々が恩恵にあずかれるのは、まだだいぶ先の話しでしょうね。
参考までに、以下に『海外癌医療情報リファレンス』関連ブログ(2007-04-05)よりの抜粋記事を載せておきます。
---------------------------------------------------------------------------------
前立腺がんワクチンGvax、Provenge良好な結果
Gvax(Cell Genesis社)の前立腺癌における第3相試験の結果が予想以上に良好。
同じく有望な前立腺癌ワクチンProvengeの結果をも超える可能性。
2002年の第2相試験(米国)ではホルモン不応性となった前立腺癌対しその生存期間中央値は、
タキソテール18.9ヶ月に対し、Gvaxは22ヶ月・・・2007年の高用量試験(22人)では35ヶ月・・・であった。
Dendron社はProvengeが同様の病態の前立腺癌患者において、生存期間中央値を4ヵ月半改善したとしているが、
Gvaxはそれを上回る期待が持てる。
また、Provengeは個々の患者の細胞からカスタマイズするのに対し、
Gvaxは画一化されたワクチンであるため商業化しやすい利点もある。
同ワクチンは、FDA(米食品医薬品局)の優先審査対象に指定されており、
現在、進行性前立腺がん患者を対象とした2つのフェーズ3臨床試験を実施中。
1つは2009年後半に最終結果が得られる見通しで、他の1つは2009年前半に患者登録が終了する見込み。
GVAX前立腺がんワクチンは、2種類のヒト前立腺腫瘍細胞株を、
遺伝子操作によって人体内での増殖能力をなくした上で、患者の免疫システムを活性化させるもの。
武田はこの契約に一時金として5000万ドル、日米欧の開発・販売の進捗状況に合わせ最大2億7000万ドルを支払う。
さらに、フェーズ3臨床試験を含む今後の開発および上市後の販売に関する費用を全額負担し、
売上額に基づくロイヤルティも別に支払う。
GVAXワクチンの効果が良好というのは前立腺がん以外の肺がんやすい臓がん等でも耳にします。
適応はもっと増えるかもしれません。
我々が恩恵にあずかれるのは、まだだいぶ先の話しでしょうね。
参考までに、以下に『海外癌医療情報リファレンス』関連ブログ(2007-04-05)よりの抜粋記事を載せておきます。
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前立腺がんワクチンGvax、Provenge良好な結果
Gvax(Cell Genesis社)の前立腺癌における第3相試験の結果が予想以上に良好。
同じく有望な前立腺癌ワクチンProvengeの結果をも超える可能性。
2002年の第2相試験(米国)ではホルモン不応性となった前立腺癌対しその生存期間中央値は、
タキソテール18.9ヶ月に対し、Gvaxは22ヶ月・・・2007年の高用量試験(22人)では35ヶ月・・・であった。
Dendron社はProvengeが同様の病態の前立腺癌患者において、生存期間中央値を4ヵ月半改善したとしているが、
Gvaxはそれを上回る期待が持てる。
また、Provengeは個々の患者の細胞からカスタマイズするのに対し、
Gvaxは画一化されたワクチンであるため商業化しやすい利点もある。
2008年3月19日水曜日
タキソテール投与のタイミング
■<前立腺がんにタキソテールはどのタイミングで投与すべきか~2007年ASCOより>2007年8月6日
既にホルモン療法抵抗性前立腺がんに対するタキソテールの有効性は、TAX327試験の結果より明らかになり、日本国内でも急速に投与が進んでいますが、どのタイミングで投与すべきかを明らかにしたのがGeneral-Poster5149の発表です。この発表によればホルモン療法に抵抗性になったら、間髪いれずタキソテールを開始することが必要とされています。特に骨痛の点から見ると、骨痛なしの時点で開始すると平均生存期間21.4月、骨痛が強い段階での投与開始では平均生存期間13.1月と、生存期間に60%以上差がつくことが判明しました。この発表は転移性前立腺がん患者には重要であり、もしホルモン療法が奏効しなくなったら、ぐずぐずせずタキソテールの投与に踏み切る必要があることを示しています。つまりもし現在治療中の医療機関ではタキソテールが使用できないなら、ホルモン療法が奏効しなくなる前に直ぐに転院する準備を始めなくてはなりません。
既にホルモン療法抵抗性前立腺がんに対するタキソテールの有効性は、TAX327試験の結果より明らかになり、日本国内でも急速に投与が進んでいますが、どのタイミングで投与すべきかを明らかにしたのがGeneral-Poster5149の発表です。この発表によればホルモン療法に抵抗性になったら、間髪いれずタキソテールを開始することが必要とされています。特に骨痛の点から見ると、骨痛なしの時点で開始すると平均生存期間21.4月、骨痛が強い段階での投与開始では平均生存期間13.1月と、生存期間に60%以上差がつくことが判明しました。この発表は転移性前立腺がん患者には重要であり、もしホルモン療法が奏効しなくなったら、ぐずぐずせずタキソテールの投与に踏み切る必要があることを示しています。つまりもし現在治療中の医療機関ではタキソテールが使用できないなら、ホルモン療法が奏効しなくなる前に直ぐに転院する準備を始めなくてはなりません。
悪性の骨盤進展前立腺癌
悪性度の高い若年者骨盤進展前立腺癌に対しては、ホルモン治療・放射線治療に併用して、保険適応はありませんがドセタキセル(タキソテール)を含む抗癌剤治療の実施を勧めています。但し、完全アンドロゲン遮断治療+照射治療後の再燃ではエストラサイト・ドセタキセル・白金製剤・ジェムザール、最近ではオキサリプラチン・イリノテカン・アバスチンの順にケースバイケースで治療する事もあります。いずれにしても放射線治療後の再燃については、グリーソンスコア・進行度(Stage)・PSA倍加時間で遠隔転移の時期、予後が左右されます。
保険適応外の薬を試す前に、放射線治療・白金製剤あるいはVP-16(ラステット)、フッ化ピリミジン系等の保険適応となっている治療薬もあります。また抗アンドロゲン剤の内服あるいは第2次・第3次ホルモン治療も試してみる価値があります。
カルシトリオール、アンジオテンシンⅡあるいはゾメタ、アレディア等の補助薬についても上記IDで回答しております。アバスチンについては化療の中間~最終段階の治療として取っておきます。
エストラサイトの内服試用と照射治療が必要と思われます。また、体重を支える骨転移病巣や神経を圧迫する骨病巣があれば同様に照射が適応です。エストラサイトが不効であれば、ドセタキセル・白金製剤さらにはジェムザール等の新規抗癌剤も効果が期待出来ます。ステロイドは疼痛緩和、食欲増進あるいは癌再燃・悪化に伴う発熱等に効果は認めますが、これだけでは正攻法ではありません。照射治療はすぐにでも開始可能だと思います。他の転移・進行前立腺癌の方のIDもご参照下さい。また低分化前立腺癌には小細胞癌系への分化もありますので、マーカーとしてNSE、ProGRPも併せてチェックが必要です。一時的な疼痛緩和として積極的にデュロパッチ、オプソあるいはオキシコンチンを使用して下さい。
多発性骨転移を有する前立腺癌であっても、直腸診あるいはCTを含む画像診断で、骨盤内病変即ち前立腺が大きく(バルキー)て局所進展型であれば、比較的若年を考慮し、当科は迷わずホルモン治療+動注抗癌剤(白金製剤にドセタキセル、あるいはジェムザールの3者併用:保健不適応)に照射治療を併せた3者併用治療を実施します。原発巣あるいは骨盤内病変が小さい(ノンバルキー)ケースであればホルモンと照射の2者併用のみで対処します。
食欲不振に対しては、ヒスロンH 他に アセナリン、六君子湯、ガスモチン、ステロイド等。
エストラサイト、VP-16、インフォマイド、ビンブラスチン、フッ化ピリミジン、ドセタキセルを含む化療が一般的です。ドキタキセルに抵抗性の時は白金製剤あるいはジェムザールを追加します。また将来的にはアバスチン、グリベックあるいはオキサリプラチンも候補です。 抗癌剤以外の補助薬としてのビスホスホネート系薬剤使用も多発性骨転移には有用です。
保険適応外の薬を試す前に、放射線治療・白金製剤あるいはVP-16(ラステット)、フッ化ピリミジン系等の保険適応となっている治療薬もあります。また抗アンドロゲン剤の内服あるいは第2次・第3次ホルモン治療も試してみる価値があります。
カルシトリオール、アンジオテンシンⅡあるいはゾメタ、アレディア等の補助薬についても上記IDで回答しております。アバスチンについては化療の中間~最終段階の治療として取っておきます。
エストラサイトの内服試用と照射治療が必要と思われます。また、体重を支える骨転移病巣や神経を圧迫する骨病巣があれば同様に照射が適応です。エストラサイトが不効であれば、ドセタキセル・白金製剤さらにはジェムザール等の新規抗癌剤も効果が期待出来ます。ステロイドは疼痛緩和、食欲増進あるいは癌再燃・悪化に伴う発熱等に効果は認めますが、これだけでは正攻法ではありません。照射治療はすぐにでも開始可能だと思います。他の転移・進行前立腺癌の方のIDもご参照下さい。また低分化前立腺癌には小細胞癌系への分化もありますので、マーカーとしてNSE、ProGRPも併せてチェックが必要です。一時的な疼痛緩和として積極的にデュロパッチ、オプソあるいはオキシコンチンを使用して下さい。
多発性骨転移を有する前立腺癌であっても、直腸診あるいはCTを含む画像診断で、骨盤内病変即ち前立腺が大きく(バルキー)て局所進展型であれば、比較的若年を考慮し、当科は迷わずホルモン治療+動注抗癌剤(白金製剤にドセタキセル、あるいはジェムザールの3者併用:保健不適応)に照射治療を併せた3者併用治療を実施します。原発巣あるいは骨盤内病変が小さい(ノンバルキー)ケースであればホルモンと照射の2者併用のみで対処します。
食欲不振に対しては、ヒスロンH 他に アセナリン、六君子湯、ガスモチン、ステロイド等。
エストラサイト、VP-16、インフォマイド、ビンブラスチン、フッ化ピリミジン、ドセタキセルを含む化療が一般的です。ドキタキセルに抵抗性の時は白金製剤あるいはジェムザールを追加します。また将来的にはアバスチン、グリベックあるいはオキサリプラチンも候補です。 抗癌剤以外の補助薬としてのビスホスホネート系薬剤使用も多発性骨転移には有用です。
粒子線治療施設
■粒子線治療施設(07/12/10:読売 07/12/11:朝日)
日本各地で粒子線治療施設が「計画ラッシュ」世界の4割が日本に集中・・・という記事が12/11の朝日新聞にでていました。読売新聞にも同様の記事が出ていたようです。(YOMIURI ONLINE 12/10)http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071210it05.htm
12/13から福岡市で開かれる日本放射線腫瘍学会で「粒子線治療施設はどこまで必要か」が議論されるとのことですが、この発表を受けての記事ではないでしょうか。(推測)
到達エネルギーが体表面で強く深部に行くほど減少するX線においては、副作用軽減のためには照射方法に様々な工夫をこらす必要があるのですが、最先端技術である粒子線治療では、がんが深部にあってもその部分で集中的に高いエネルギーを出せるから治療がしやすいと言われてきました。そのなかでも破壊力の強い重粒子線は治療回数も少なくて済み、がんの種類によってはその威力に頼らざるをえないものもあり、治療に大きな期待が寄せられています。ただ現時点では治療開始からの経過年数が浅く、粒子線治療の5年生存率が従来のX線治療を上回るという明白なデータは得られていません。
具体的な事実関係:( )内の数値は日本以外の合計数・日本には現在重粒子線施設が2(1)、陽子線施設が5(21)ある。・日本で計画中の粒子線施設は17(20)・一施設で100億は必要。維持費は年間十数億(患者負担は自費で約300万/回)・採算上は年間500人の患者が必要だがこれを満たしているのは放医研(千葉)と 兵庫県立粒子線センターのみ。国立がんセンター東病院でも100人程度。・国際的にも粒子線施設は"1施設/1000万人"で良いといわれているが、 日本の24施設(将来)は多すぎる。・マンパワー(放射線治療医、医学物理士)が少なすぎる(米国の1割未満)
識者(専門家)のコメント・京大:平岡教授 欧米の放射線治療は、数億で導入できるIMRT(強度変調放射線療法)が主流だが 日本では10施設程度しか普及していない。 粒子線でしか治療できないがんもあるが、それは着工中も含め既存の施設で対応可能。 粒子線施設の新設をすべて否定はしないが、まずはX線治療のレベルアップを計るべき。・東大:中川恵一准教授 国産車もあまり走ってない国に高級外車をどんどん走らせるようなもの。 もっと必要性を議論すべき。
神奈川県では県と民間病院が別々に重粒子線施設の計画を進め、愛知県でも名古屋市の陽子線施設構想と県が支援する民間の重粒子線施設構想が並行する。北九州近辺に集中して3ヶ所の計画が持ち上がっているのも疑問。
こうした計画があいつぐのはなぜ?・自治体首長の打上げ花火に「命を救う最先端施設」はうってつけ。 →自治体財政の足を引っ張る『箱もの行政』にならないか。・原子力施設の新設が難しいなか、メーカーが技術をその生かせる分野に活路を求め 営業を強化した結果。 →広い視野から再検討の必要があるのでは?
手術療法に偏りすぎる傾向がある日本のがん治療を、放射線療法にももっと目を向けていただく広告塔としての意味はあるかもしれないが、意識啓発のためだけならなにも1施設百億単位の金を使う必要はないわけです。(下手をすると毎年の維持費も大きな赤字としてのしかかってくる)先端技術の「箱」をたくさん作ることよりも、まずは放射線治療医、医学物理士の充実とIMRTの普及を目指すべきでしょう。テクニックさえあれば普通のリニアックでも高度な治療ができるのですから。 参考:http://www.geocities.jp/nekoone2000v/CFIMRT_top.html
日本各地で粒子線治療施設が「計画ラッシュ」世界の4割が日本に集中・・・という記事が12/11の朝日新聞にでていました。読売新聞にも同様の記事が出ていたようです。(YOMIURI ONLINE 12/10)http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071210it05.htm
12/13から福岡市で開かれる日本放射線腫瘍学会で「粒子線治療施設はどこまで必要か」が議論されるとのことですが、この発表を受けての記事ではないでしょうか。(推測)
到達エネルギーが体表面で強く深部に行くほど減少するX線においては、副作用軽減のためには照射方法に様々な工夫をこらす必要があるのですが、最先端技術である粒子線治療では、がんが深部にあってもその部分で集中的に高いエネルギーを出せるから治療がしやすいと言われてきました。そのなかでも破壊力の強い重粒子線は治療回数も少なくて済み、がんの種類によってはその威力に頼らざるをえないものもあり、治療に大きな期待が寄せられています。ただ現時点では治療開始からの経過年数が浅く、粒子線治療の5年生存率が従来のX線治療を上回るという明白なデータは得られていません。
具体的な事実関係:( )内の数値は日本以外の合計数・日本には現在重粒子線施設が2(1)、陽子線施設が5(21)ある。・日本で計画中の粒子線施設は17(20)・一施設で100億は必要。維持費は年間十数億(患者負担は自費で約300万/回)・採算上は年間500人の患者が必要だがこれを満たしているのは放医研(千葉)と 兵庫県立粒子線センターのみ。国立がんセンター東病院でも100人程度。・国際的にも粒子線施設は"1施設/1000万人"で良いといわれているが、 日本の24施設(将来)は多すぎる。・マンパワー(放射線治療医、医学物理士)が少なすぎる(米国の1割未満)
識者(専門家)のコメント・京大:平岡教授 欧米の放射線治療は、数億で導入できるIMRT(強度変調放射線療法)が主流だが 日本では10施設程度しか普及していない。 粒子線でしか治療できないがんもあるが、それは着工中も含め既存の施設で対応可能。 粒子線施設の新設をすべて否定はしないが、まずはX線治療のレベルアップを計るべき。・東大:中川恵一准教授 国産車もあまり走ってない国に高級外車をどんどん走らせるようなもの。 もっと必要性を議論すべき。
神奈川県では県と民間病院が別々に重粒子線施設の計画を進め、愛知県でも名古屋市の陽子線施設構想と県が支援する民間の重粒子線施設構想が並行する。北九州近辺に集中して3ヶ所の計画が持ち上がっているのも疑問。
こうした計画があいつぐのはなぜ?・自治体首長の打上げ花火に「命を救う最先端施設」はうってつけ。 →自治体財政の足を引っ張る『箱もの行政』にならないか。・原子力施設の新設が難しいなか、メーカーが技術をその生かせる分野に活路を求め 営業を強化した結果。 →広い視野から再検討の必要があるのでは?
手術療法に偏りすぎる傾向がある日本のがん治療を、放射線療法にももっと目を向けていただく広告塔としての意味はあるかもしれないが、意識啓発のためだけならなにも1施設百億単位の金を使う必要はないわけです。(下手をすると毎年の維持費も大きな赤字としてのしかかってくる)先端技術の「箱」をたくさん作ることよりも、まずは放射線治療医、医学物理士の充実とIMRTの普及を目指すべきでしょう。テクニックさえあれば普通のリニアックでも高度な治療ができるのですから。 参考:http://www.geocities.jp/nekoone2000v/CFIMRT_top.html
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