(2009年2月20日 読売新聞)
がんワクチン療法」とは、がんを攻撃対象だとわかるような目印(がん細胞特有のペプチド)や、体外でがんの目印を覚えさせた免疫細胞(樹状細胞)を、ワクチンとして体内に注入し、体内の免疫細胞に、がんを攻撃させようというもの。
樹状細胞には、がん細胞を食べることで、リンパ球にがんの目印を覚えさせる働きがあるが、元々体内には少ない。そこで、体外で増やして体に戻し、免疫細胞にがんを攻撃させようというのが、樹状細胞療法だ。
白血球のうちの単球を、患者から採血して取り出し培養。数を増やすだけではなく、がんを攻撃対象として学習させながら育てるのが特徴だ。
滋賀医大助教の寺本晃治さん(呼吸器外科)は「治療期間中に限れば、約40%の患者でがんの増大を抑えられた」と話す。
がんの免疫療法は、一部のがんへのインターフェロン治療などを除き、原則保険がきかない。
樹状細胞療法は、滋賀医大など五つの大学病院で、一部に保険がきく国の先進医療の認可を受けており、患者の自己負担額は約3か月で70万円前後。東大など、病院負担の臨床試験として行っている大学病院もある。患者の自費診療で行っている民間のクリニックでは約3か月で150万~200万円かかる。
◆樹状細胞療法を先進医療 として行っている病院
・福島県立医大(福島市) (電)024・547・1111
・東京女子医大(東京都新宿区) (電)03・3353・8112
・滋賀医大(大津市) (電)077・548・2111
・大阪大(大阪府吹田市) (電)06・6879・5111
・九州大別府先進医療センター(大分県別府市) (電)0977・27・1600