2009年3月7日土曜日

BNCT(ホウ素中性子補足療法)

中性子線を使ってがんを叩く「ホウ素中性子補足療法(BNCT)」が、今、注目されている。
がん細胞が取り込みやすいホウ素化合物をあらかじめ投与しておき、そこに中性子線を照射すると、中性子とホウ素が微小核反応を起こし、がん細胞のDNAを切断破壊するが、ホウ素を集積しない正常細胞を傷つけることはない。
BNCTは、がん細胞だけを狙い打ちできる次世代の放射線治療とも言われ、治療の難しい脳腫瘍や口腔がんに効果的なことがわかってきた。
まだ臨床試験段階だが、すでに400例を超える実施例がある。

ただ、これまでは、中性子線を発生されるためには原子炉が必要で、京大原子炉や日本原子力研究開発機構の研究炉など、研究施設が限定されていたが、このたび中性子を照射できる小型加速器(約3m四方)が、京大原子炉実験所の小野公二教授と住友重機械工業の手により開発された。
ホウ素も大阪府立大の切畑光統教授とステラファーマにより、より安定性の高い薬剤が開発されている。

今後は、原子炉などの大げさな装置が不要となったこともあり、大学病院への設置も視野に、研究に弾みがかかる見通し。
ただ、中性子を扱える専門家が少ないことが問題で、これをもっと普及させるためには、今後の人材育成も欠かせない。