<米科学誌「キャンサー・セル」(電子版)に2009/3/3>
慶応大学の河上裕教授と工藤千恵助教らは、がん細胞が転移する際に、免疫の働きを抑えて転移をしやすくしていることを発見した。新しい治療薬開発にもつながる成果。 研究チームはがん細胞で働く「Snail」という遺伝子に注目。この遺伝子が働くと細胞同士がくっつく力が弱まり、がんが転移しやすいことが知られている。マウスでこの遺伝子の働きを調べたところ、免疫反応に必要な細胞の働きを弱めるなど、がん細胞を体内の異物として認識されないようにして免疫から逃れたりしていた。
この遺伝子が働かないようマウスを操作したところ、がん細胞の転移や増殖が抑えられたほか、免疫反応も活発になったという。