2009年3月25日水曜日

定位放射線治療

現在の高精度放射線治療は、定位放射線治療(stereotactic radiotherapy:SRT)、
定位手術的照射(stereotactic radiosurgery、SRS)、強度変調放射腺治療(intensity
modulated radiotherapy:IMRT)へと進歩し、さらには病巣を追跡しながら照射する4次元照射、動体
追跡照射(real-time tumor-tracking radiotherapy)へと進化した。

脳腫瘍、肺癌などの治療は、かつて手術が第一選択であったが、今や定位放射線治療で手術と同等の
治療成績が得られるようになった。
定位放射線照射法とは「多軌道の回転照射あるいは多門照射を用いて、小病変に対して線量を集中的に
照射する方法で、照射野の中心精度が頭部では±1mm以内、体幹部では左右背腹が±5mm 以内、
頭尾が±10mm 以内のもの」と定義されている。

1951年にスウェーデンの脳外科医Lars Leksell が定位放射線治療(stereotactic radiosurgery )の
概念を提唱し、1968 年にカロリンスカ大学において、ガンマナイフ(201 個のコバルトからガンマ線を
集中させ、癌を手術と同様に1回で治療する装置)による治療が始まった。
これが契機となり、一般的な放射線治療器であるリニアックに改良を加え、X線の集中精度を高める照射方
法として発達したのが定位放射線治療(stereotactic radiotherapy:SRT)で、その手法は脳腫瘍にと
どまらず、頭頸部腫瘍、肺癌、肝臓癌、前立腺癌へと適用されるようになった。

この方法により、通常の照射方法では困難とされるような大線量を投与できることになり、腫瘍制御率
が大幅に改善された。一回の線量は一般に広く用いられてきた2Gyかつ週5回の通常分割照射と異なり
1回が3Gy〜35Gyと大きい。そのためBiological Effective Dose(BED、生物学的等価線量)に換算して
評価し、通常分割照射と比較する。
10Gy ×5〜6回、12Gy ×4〜5回、15Gy ×3〜4回では、いずれもBED 100Gy 以上となる。